
杉ちゃん一推しのラドビッグ・アバーグ(撮影/Blue Sky Photos)
今週はカナダのナショナルオープンとして「カナディアンオープン」が“TPCトロント at オスプレイバレー”を舞台に開催される。昨年はロバート・マッキンタイアがツアー初優勝を飾ったこの大会で、今年はどのようなドラマが繰り広げられるのか。
「このカナディアンオープンは、1904年に始まり、PGAツアーの中でもメジャー大会以外では最も古いトーナメントになります。そしてこの大会は毎年コースが異なるのも特徴の一つです」(以下、杉澤)
今回の舞台は“TPCトロント at オスプレイバレー”。
「今回の舞台であるTPCトロントは、元々2001年に設計されたオスプレイ・バレーというゴルフ場でした。2018年に(TPC・Tournament Players Club)のネットワークに加盟し、カナダでは初めての施設となりました。2023年には、ノースコースを中心に大規模な改修が行われました。プロのトーナメントにも対応できるよう、コースレイアウトの変更や灌漑システムの導入など、持続可能性を考慮した改修が施されています」
本コースはグリーンを狙うほど難しくなるコースである。
「コース全体の特徴として、ティーショットは比較的やさしいが、グリーンサイドの深いバンカーなど、グリーンに近づくほど難易度が増していきます。2001年の設計当時は、あらゆるプレーヤーにプレーしやすいコースでしたが、2023年にイアン・アンドリューによる全面的なリノベーションが行われ、ハイレベルな競技が行われるコースへと生まれ変わりました」
「このコース設計は、すべてのゴルファーにチャンピオンシップの雰囲気を体験してもらうことを目的としており、競技志向のゴルファーにとっては、プロが難しいコースでどのようにプレーしているのかを体感できる、挑戦心を掻き立てられるようなコースと言えます」

左から大西魁斗、久常涼、金谷拓実
日本からは、久常涼プロ、金谷拓実プロ、大西魁斗プロの3名が出場する。
「特に大西魁斗選手は、先日行われたミズノオープンで全英オープンへの切符を惜しくも逃しており、今回のカナディアンオープンでリベンジを果たしたいところです。カナディアン・オープンでは有資格者を除く上位3名には、全英オープンへの出場権が与えられるので、ぜひ日本勢にも期待です」
杉澤一推しの選手、スウェーデン出身の25歳の“ラドビッグ・アバーグ”。
「勿論、この大会の歴代チャンピオンであるローリー・マキロイにも注目して欲しいのですが、今回は“ラドビッグ・アバーグ”にぜひ注目して欲しいです。オリンピック選手でもある彼は、今シーズン、ザ・ジェネシスインビテーショナルで優勝するなど、PGAツアー2勝を挙げています」

ラドビッグ・アバーグの同郷で全米女子オープンを制したマヤ・スターク(撮影/Blue Sky Photos)
先日行われた全米女子オープンでは、彼と同じスウェーデン出身の“マヤ・スターク”が優勝を飾った。
「先日の全米女子オープンで、同郷のマヤ・スタークが優勝したことは、彼にとって大きな刺激になっているはずです。彼女は25歳でオリンピック選手であり、幼い頃から切磋琢磨してきた仲間であることは間違いないです。彼は今週、他の選手よりも高いモチベーションで大会に臨むでしょう」
U-NEXゴルフの公式Xでマヤ・スタークの全米女子オープン優勝の瞬間をチェック
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x.com調子が伸び悩むアバーグの覚醒の鍵は、“シンプル“な戦略。
「彼が素晴らしい選手であることは間違いないですがが、今シーズンの成績を見ると、ポテンシャルを十分に発揮できているとは言えません。グリーンインレギュレーション(日本でいう“パーオン率”)は64%で全体117位と、決して高い数字ではありません。特に課題として挙げられるのは、175〜200ヤードのミドルアイアンと、100〜125ヤードのアプローチウェッジの精度ですね。パー4でのセカンドショットやパー3でグリーンを捉えきれず、パー5でもバーディを奪いきれていないことが、スコアを伸ばせない要因となっていると考えられます。しかし、今回のカナディアンオープンは、彼にとって復活のきっかけとなる可能性が大いにあります。
様々な選択肢がある状況では迷いが生じやすいものです。彼自身できる技をたくさん持っている故に起こることだと思います。しかし、やるべきことが明確な今回のコースでは、集中力を高め、本来の力を発揮できるはずだと思います。全米オープンを見据え、今大会で結果を出すことが、彼にとって非常に重要となります」
新たなスターが誕生するのか、それとも実力者が意地を見せるのか。カナディアンオープンの熱い戦いから目が離せない。
U-NEXT 木村真希