第125回全米オープンがフィラデルフィア州ピッツバーグ近郊のオークランドCCを舞台に現地時間12日に開幕。「世界一難しいコース」は牙をひそめ、比較的穏やかな天候に恵まれるなか、午前6時45分大会の映えあるオープニングショットを放ったのは34歳のアマチュア、マット・ヴォグトだった。本業は歯科医。しかもかつてオークモントCCでキャディを務めたことのある人物だ。
画像: オープニングショットを打つマット・ヴォグト(写真/Getty Images)

オープニングショットを打つマット・ヴォグト(写真/Getty Images)

インディアナ州の地区予選を勝ち上がりワシントン州ワイン・バレーGC で行われた最終予選(出場枠わずか2)を1位で通過しメジャーの夢舞台にコマを進めたヴォグト。

アマチュア競技に出場してはいるが世界アマランキングは2078位。全米オープン予選会にはハンディキャップインデックス0.4以上でないと参加でできないのでそれだけの実力はあるのだが最終予選突破はうれしい誤算だった。

彼にとってオークモントCCでおこなわれる最高峰メジャーへの出場は特別な意味を持っている。地元ピッツバーグ出身でオークモント高校時代には月曜日の夜にラウンドが許されるため5シーズンに渡りキャディを務めた経歴がある。

優秀なジュニアゴルファーでバトラー大学時代も最初の頃はゴルフ部で活躍していたがプロを目指すことはなかった。

バトラー大学で生物学の学位を取得したあとインディアナ大学の歯学部に進み18年自身の歯科医院を開業。現在施術とともに他の歯科医院開業のコンサルティングも行なっている。

この経歴が話題となり大会前の月曜日記者会見に呼ばれたヴォグトのストーリーはゴルフウィークやゴルフ.comといったゴルフメディだけでなく一般紙・誌にも波及。

「全米オープン出場権獲得のマット・ヴォグト、歯科医院の業績も好調」、「元キャディ&開業医のシンデレラストーリー」などの見出しで紹介された。

会見では最終予選を突破し、オークモントに到着するまでの激動の日々を「やることが多すぎて、仕事をしながら新しいボールの試打をしたり練習ラウンドをしたり。荷作りをして土曜日にここに来るまでの6日間はまるで3年くらいに長く感じられた」と表現した。

出場できたこと事態が奇跡。だから彼は「ティーからグリーンまでこの感激にどっぷり浸かりながらプレーしたい」といった。

最終日は父の日。だが父は数カ月前に他界し晴れ姿を見せることはできない。代わりに生後15カ月の長女が父の勇姿を見守ってくれる。

「父の息子からひとりの成長した大人=父親になってこの日を迎えました。会場に来ている子どもたちに私のようなアマチュアがロープの中でプレーする姿を見てもらいたいです。夢を追いかければ叶うことを知って欲しい。そして家族で楽しい思い出を作ってもらいたいです」

初日はノーバーディ、6ボギー、3ダブルボギーの12オーバー82、149位タイだった。それでもヴォグトの心は幸福感で満たされていた。

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2025 U.S. Open Highlights: Round 1, Condensed

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