今年で125回目を迎える“全米オープン”は毎年人気の大会の一つである。
「全米オープンは世界中の予選会を勝ち上がってきた選手たちの中で、真のナンバーワンを決める大会です。アマチュアの選手も出場が可能で、多くの人にチャンスがある魅力的な大会であり、大変人気があります。出場権という意味ではある意味フェアです。裾野の広い山は高い山を描けます。そんな1番高い山に今年は誰が立つのか楽しみですね」(杉澤・以下同)
今回の戦いの舞台は、ペンシルベニア州にある “オークモントカントリークラブ”である。
「オークモントカントリークラブは、これまでも全米オープンを開催しており、今年は2016年以来の10回目の開催となります。まさに“全米オープンの顔”とも言えるコースです。ちなみに今後このコースでは2033年、2042年、2049年の全米オープン開催地として予定がされています」
“オークモントカントリークラブ”は全米のゴルフ場の中で最も難しいことでも知られる、語弊を恐れずにいえば悪名高き難コースだ。

3番ホールと4番ホールの間に配置されたバンカー「チャーチピューズ」(PHOTO/Getty Images)
「今回の会場は全米のゴルフ場の中で最も難しいコースです。特に有名なのは、3番と4番ホールの間に広がる“チャーチピューズ”と呼ばれるバンカーです。長さが100ヤード、幅が40ヤードのバンカーの中に、教会の椅子のようなものが連なっている巨大なバンカー群です。オークモントはグリーンのスピードが速く、コース全体の傾斜がきついです。その結果、ティーショットでフェアウェイを捉えるのが難しいですが、フェアウェイからでもグリーンでボールを止めることが難しかったり、グリーンに乗って2パットで抑えることも難しかったりとすべてのショットで難しさが伴います。18ホール中、息をつく間がないコースです。そんな中でも傾斜を頭に入れて、ターゲットを決めながら確実に取れるホールでスコアをとっていきたいですね」
この会場で開催される全米オープンはスコアが出にくいことで有名である。
「この会場で開催された直近の大会である2016年大会の優勝者はダスティン・ジョンソンです。彼は当時、4アンダーいうスコアで優勝しており、その他の選手でアンダーパーは4人でした。このことからも、全米オープンという大会は運だけでは勝てず、じっくりと勝負する過酷な大会になることが予想されます。まさに“ワールドランキング”が証明される大会になると思います」

注目選手のひとり、ローリー・マキロイ。練習日はリラックスした表情で練習していた(撮影/岩本芳弘)
海外勢の注目はやはりスコッティ・シェフラーやローリー・マキロイだ。
「海外勢はやはりシェフラーやマキロイに注目ですね。ここ3年間の成績ですが、マキロイは2年連続2位、シェフラーは昨年は41位タイでしたが、21~23年までトップ10フィニッシュをしていることから優勝候補の筆頭です。特にマキロイについては過去大会で優勝もしていますし、2年連続2位にいるので、今年再び優勝するのか、期待が高まります」

松山英樹の人気は米国でも高く、練習日にはサイン待ちの長蛇の列ができた(撮影/岩本芳弘)
日本からは松山英樹プロ、河本力プロ、金谷拓実プロ、杉浦悠太プロ、香妻陣一朗プロの5名が出場する。
「松山選手はこれまで全米オープンには12回出場経験があり、そのうちトップ25以内が7回、トップ10が4回、ベストが2位です。また、昨年6位、2022年4位、直近3大会で2度のトップ10入りをしています。松山選手は真の実力勝負が得意であり、全米オープンとの相性は抜群だと言えます。ただ、12回出場した中で、2016年の大会だけ予選落ちをしてしまっています。そうです、今回の会場であるオークモントで行われた時の大会です。ここ最近調子が上がりきっていないですが、松山選手にとって全米オープンという我慢大会との相性は良いはずです。ぜひこのコースでリベンジしてほしいなと思っています」
“日本一の飛ばし屋”としても知られている河本選手に注目が集まる。
「河本選手も滑り込みで全米オープンに参戦することになりました。そして全英オープンの出場も決まっています。河本選手は去年も全米オープンに出場した経験も踏まえ、持ち前の飛距離を武器に、オークモントのタフなコースに挑んでもらいたいです。ショットの精度だけではなく、メジャーならではのマネージメントが河本選手のゴルフ力アップのために良い経験になると思います。まずは予選通過に期待です」
全米オープンの最終日は、毎年父の日に当たる。父の日のプレゼントとして、最高の栄誉を掴むのは誰になるのか。忍耐と戦略が試される全米オープンから、目が離せない!
U-NEXT 木村真希