全米オープン初日、本命のスコッティ・シェフラーが49位タイ(73)、ローリー・マキロイと松山英樹が62位タイ(74)と出遅れるなか、久しぶりにメジャー5勝のブルックス・ケプカが好スタートを切った。かつて「(普通の試合より)メジャーのほうが勝ちやすい」と豪語していた彼は17年から19年にかけ全米オープン2勝、全米プロ2勝を挙げ23年にも全米プロを制覇している。しかしそれ以降はメジャー8大会連続でトップ10を逃し、今年はマスターズ、全米プロで予選落ち。五里霧中のなかケプカを奮い立たせた言葉とは?
画像: 世界ランク1位のスコッティ・シェフラーはらしくないゴルフで49位タイ、同2位のローリー・マキロイは62位タイからのスタートとなった(撮影/岩本芳弘)

世界ランク1位のスコッティ・シェフラーはらしくないゴルフで49位タイ、同2位のローリー・マキロイは62位タイからのスタートとなった(撮影/岩本芳弘)

1日を通して風はさほど吹かなかったオークモントCC。しかし深いラフとグリーン独特の形状に苦しみ世界ランク1位のシェフラーは珍しく6ボーギー(3バーディ)を叩き、ディフェンディングチャンピオンのブライソン・デシャンボーらと並び49位タイからのスタートとなった。

マスターズを制して長年の目標だったキャリアグランドスラムを達成したマキロイは現在“マスターズロス“(ゴールを極めたことである種の燃え尽き症候群に陥った)もあり、後半4ボギー、1ダブルボギーとスコアを崩し62位タイと出遅れた。

画像: 首位と2打差の3位タイと好発進したブルックス・ケプカ(写真は25年全米プロ初日、撮影/岩本芳弘)

首位と2打差の3位タイと好発進したブルックス・ケプカ(写真は25年全米プロ初日、撮影/岩本芳弘)

いっぽう好調だったのはLIVのブルックス・ケプカ。メジャーキラーと呼ばれた彼が上がり2ホールで絶妙なパットを決め、連続バーディを奪い2アンダー68をマーク。単独首位のJ.J.スポーンに2打差の3位タイと絶好の滑り出しを見せた。

しかし、この数カ月ケプカは失意の底に沈んでいた。シーズン序盤のLIVシンガポール大会で準優勝して以来思うような結果が出せず「4月の最初の頃から先週くらいまでは気が狂いそうだった」と打ち明ける。

「心が蝕まれて不幸のどん底。イライラして周りの人に迷惑をかけた。もし自分ならそんな人間の側に居たくないと思っただろう。キャディにもコーチにも妻に息子にも謝りたい。凄く嫌な奴だったから」

前週米バージニアでおこなわれたLIVの試合でケプカは練習ラウンドをおこなわず練習場で集中的にスウィングを見直す作業に取り組んだ。

全米オープン初日には「ショットが良くなってきた」といったが実は大会前にピート・コーウェンコーチに「45分くらいこっぴどく叱られた」という。

詳しい内容については言及しなかったがコーウェンコーチはまだケプカがメジャー未勝利だったころ「気難しい子供みたいな態度を取るのはやめなさい。チャンピオンらしく振る舞え」と指摘したことで知られている。それが起爆剤となりメジャー連勝の物語が生まれた。

「自分がブルックス・ケプカらしさを失ったときには誰かにそれを指摘して欲しい。イエスマンはいらない。ピート(コーウェン)のような人が僕には必要なんだ」

残り3日ケプカの復活を懸けた戦いは続く。

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