
D-1予選第2会場の試打者はマーク金井氏。計測器は「フライトスコープ」、ボールは「ツアーB X」
打ち手が変わると、飛ぶドライバーも変わる?
今年のD-1グランプリにエントリーしたドライバーは39モデル。予選を3会場で行い、ヘッドスピードが異なる3人が全モデルを打って飛距離を計測する。そして、上位16モデルが東名CC(静岡県)で開催される決勝トーナメントに進出する。
2カ所目となる予選会場はアナライズ(東京都)で、クラブアナリストであり“人間試打マシーン”の異名を持つ金井氏(HS40~41m/s)が打って飛距離を測った。弾道計測器は「フライトスコープ」で、ボールは「ツアーB X」(ブリヂストン)を使用。
一般アマチュアやシニアゴルファーと同じくらいのヘッドスピード帯での試打となるため、軽量モデルの結果が気になるところ。まずは、軽量ドライバーのデータやコメントを紹介しよう。
ヘッド、シャフト、グリップの重量バランスが整う軽量ドライバ-

上段左からプロギア「RS SPEED」、テーラーメイド「Qi35 MAX LITE」、タイトリスト「GT1」、下段左からピン「G440 HL MAX」、ピン「G440 HL SFT」、キャロウェイ「ELYTE MAX FAST」
クラブ名 | 初速 | 打ち出し角 | スピン量 | キャリー | 飛距離 |
---|---|---|---|---|---|
RS SPEED | 61.5m/s | 14.8度 | 2716rpm | 218.1Y | 224.8Y |
Qi35 MAX LITE | 61.5m/s | 12.6度 | 2081rpm | 212.6Y | 224.6Y |
GT1 | 61.2m/s | 13.3度 | 2343rpm | 214.3Y | 223.6Y |
G440 HL SFT | 61.1m/s | 13.8度 | 2327rpm | 213.6Y | 223.1Y |
G440 HL MAX | 61.0m/s | 12.7度 | 2405rpm | 212.0Y | 221.5Y |
ELYTE MAX FAST | 60.8m/s | 13.7度 | 2360rpm | 212.8Y | 221.9Y |
軽量ドライバーの中でも飛んだモデルと、その弾道データを上記に並べた。

マーク氏は「ELYTE MAX FAST」のバランスが振りやすいと話す
「クラブとして全体的なバランスが良くて軽いモデルは、やっぱり飛びます。例えば『ELYTE MAX FAST』(キャロウェイ)のバランスポイントが、ボクにとっては非常に振りやすい。クラブは軽ければいいってもんじゃないんです。それから『RS SPEED』(プロギア)も振りやすくて、HSが上がる感じがしますね」(金井氏、以下同)
スピンがセーブされて、球が前に飛んだ“LS系”

左からピン「G440 LST」、テーラーメイド「Qi35 LS」、スリクソン「ZXi LS」
軽量ドライバーが飛んだ一方で、アスリート系のロースピンをウリにする“LS系”も好記録をマークした。主だった“LS系”の弾道データは以下の通りだ。
データを見ると、押しなべてスピンが抑えられているうえに「G440 LST」(ピン)は初速がより出ている。アスリートモデルならではの“重さ”が初速につながったのかもしれない。
クラブ名 | 初速 | 打ち出し角 | スピン量 | キャリー | 飛距離 |
---|---|---|---|---|---|
G440 LST | 62.1m/s | 14.5度 | 2280rpm | 221.2Y | 229.0Y |
Qi35 LS | 61.3m/s | 11.6度 | 2256rpm | 209.0Y | 219.7Y |
スリクソン ZXi LS | 60.1m/s | 16.9度 | 2282rpm | 208.6Y | 215.7Y |

「『G440 LST』は、ボクが打つ前に『230Y行きそう』と言ったら、ホントに飛びました(笑)。ピンのドライバーはバランスが良くて、46インチという長さでも振りやすいクラブだと思います。そして、シリーズの中でも『LST』が一番飛ぶ。
顔が良くて打ちやすいモデルが『Qi35 LS』(テーラーメイド)です。“クラブは見た目が9割”じゃありませんが、やっぱり顔って振りやすさに影響するもの。これは“テーラー顔”でポンと構えやすいんです」
重心が浅めのヘッドのほうが扱いやすい
金井氏は「重心が浅めのクラブのほうが好き」と言う。その意味で“LS系”は、重心が浅かったり、同じシリーズの中では浅めのモデルが多い。

重心が深くはない「スリクソン ZXi TR」
「重心が浅いクラブのほうが振りやすいんです。ナゼかといったら、シャフトから重心が遠い(深い)よりも、シャフトから重心が近い(浅い)ほうが、扱いやすくて振りやすい。ボクはそれを感じるからです」
その点で言うと、ヘッド体積が450㏄と小ぶりで操作しやすく、重心が深くはない「スリクソン ZXi TR」が226Y飛んだこともうなずける。
「ボク自身が小ぶりなヘッドを作って振っていることもあって“振り切り感”がスゴいある。小ぶりなぶんだけ、シャープに振れます」
クラブ名 | 初速 | 打ち出し角 | スピン量 | キャリー | 飛距離 |
---|---|---|---|---|---|
スリクソン ZXi TR | 61.7m/s | 13.2度 | 2338rpm | 216.9Y | 226.0Y |
この第2会場では、ジャパンブランドが上位に顔を出しつつも“外ブラ”が反転攻勢を見せてグイグイと食い込んできた。先が全く見えない混戦になったが、予選の結末やいかに?
ラストとなる第3弾は、ギアの試打経験が豊富な堀口宜篤コーチがテスターとして臨み、いよいよ決勝トーナメントに進むベスト16が決まる。D-1グランプリの予選から決勝トーナメントの白熱した展開は、本誌8月号をご覧いただきたい。
文/新井田聡
写真/有原裕晶
協力/アナライズ