Q.タイトリスト『T200』と『AP2』のコンボは可能ですか?
A.「ちょっと飛び系」のアスリート仕様に仕上げましょう。
GD 今日はタイトリストの2つのアイアン、『T200』と『AP2(718)』をコンボに仕上げる依頼ですか。最近はツアープロもロングアイアンをキャビティにしたり、中空アイアンにしたりする「コンボ」が当たり前になってきています。
今井 依頼主が「日本シャフト」の試打会に行ったら、「ゼロス8が良かった」とのことで、リシャフトを検討されていました。リシャフトするなら、6番、7番を中空の『T200』にして、8番からPWを『AP2(718)』にできないかという相談でした。
GD 『AP2(718)』はAP2シリーズの最終モデルで、『T100』の前のアイアンですね。6番、7番を中空の『T200』にして、8番からPWは打感がより良い『AP2』にする。なんだか“ギア通”が好みそうなコンボですけど、もともとのロフト設定が違うんじゃないですか?
今井 計測してみたところ、『AP2』の7番が32度、『T200』が30.5度だったので、なんとかなりそうです。
GD シャフトは『T200』が「NS950GH」のR、『AP2』がフジクラのカーボン「MCI80」のSが入っていますね。
今井 『AP2』には、もともとトゥルーテンパーの「AMTツアーホワイト」が付いていたそうで、それをリシャフトして「MCI80」にしたそうなんですが、「やっぱりスチールが良い」ということで『T200』は「NS950」のRを選ばれたそうです。
GD それを今回「ゼロス8」で統一して、コンボセットにすると。
今井 そうですね。長年「NS950GH」を使っていた人が、もうちょっと振りやすいものはないかという相談が増えてきています。スチールから選ぶとなると「NS850GH」、「NS850ネオ」、「ゼロス8」あたりになります。
GD 「NS850GH」は女子プロの使用率も高く名器だと言われていますが。
今井 「ゼロス8」もとても打ちやすいシャフトなので、リシャフトの依頼が増えていますよ。
GD どんなコンボアイアンに仕上がるかワクワクしますね。

コンボアイアン作成のため、ヘッドからシャフトを抜きます。スチールシャフトはバーナーで、カーボンシャフトの場合はヒートガンでネック部に熱を加えて抜きます

各番手の長さに合わせてシャフトをカットします
今井 シャフトを抜いたら、仮組みしてバランスを見ていきます。6番が「C8.5」だったので、これに合わせていきましょう。軽量スチールの場合、バランスを重くするとクラブ全体のバランスが崩れてしまうので、「C8.5」はベストだと思います。他の番手を「C8.5」に合わせるとなると、7番は1グラム、8番が5グラム、9番とPWが2グラム、ネックに錘(おもり)を加える調整が必要のようです。
GD 8番だけ5グラム。けっこう錘を入れますね。
今井 8番だけ何かおかしいですね。でも、こういったことはたまにあります。
GD 個体差なのか?なんなのか……。
今井 通常4グラムまでならネック内部に錘を加えても、重心に影響を与えないと言われていますが、今回は5グラム入れてみます。もし違和感があるようだったら、もう一度シャフトを抜いて外部調整をご提案させていただきます。

ホーゼルを付けたシャフトにヘッドを合わせた仮組みの状態でバランスを計測。今回は6番アイアンの「C8.5」に合わせてPWまでバランス調整をしました
GD 最後にライ角とロフト合わせですね。
今井 6番:27度、7番:31度、8番:35度、9番:39度、PW:44度で合わせていきます。このロフト設定は、今どきの「ちょっと飛び系のアスリート仕様」になります。
GD 『AP2』は1度立てて、『T200』に寄せていく感じですか?
今井 PWは44度だったのでそのままで、8番、9番は1度立てます。『T200』の7番は0.5度寝かせて、6番はそのまま27度です。

コンボアイアン完成に向けてロフト調整。『AP2』は『T200』よりも曲げる際に材質の軟らかさを感じました。打感も軟らかく感じるでしょう
GD ロフトを立てるとオフセットが強くなって、ロフトを寝かせるとグースがなくなる。
今井 そうなんですが、ここはツアークオリティを提供しているクラブ工房なので、セットして番手が上手く流れるよう細部にこだわって調整させていただきます。

ホーゼルの高さを整え、グリップを装着して作業は終了です。『T200』と『AP2』のコンボアイアンが完成しました
GD 本当だ。『T200』と『AP2』をコンボしたのに違和感がありません。
今井 今回は同じ「タイトリスト」だったので上手くいきました。違うメーカーのものを組み合わせるとなると、“メーカーの顔”があるので、コンボをご希望の方は同じメーカーのもので組まれるのがいいと思います。
【依頼主のレビュー】
日本シャフトの試打会で、「NS950』よりも『ゼロス8』のほうが今のスウィングに合っていることがわかり、リシャフトすることを決めました。
『AP2(718)』には愛着があって、いつかもう一度使いたいなと思い保管していました。『T200』に問題はなかったのですが、ショートアイアンの打感を比べると『AP2』のほうがやっぱりいい。
最近PGAツアーでもアイアンをコンボにしているプロが増えたので、リシャフトを機に『T200』と『AP2』のコンボは可能かどうか相談させていただきました。6番だけ『T200』にするか? 最後まで迷いましたが、6番、7番を『T200』することにしました。
キャディバッグに収まっている『T200』と『AP2』のコンボを見ると、なんとも言えないカッコよさがあります。この感覚、タイトリストファンならわかってもらえると思います。
今回リシャフトした「N.S.PROゼロス8」の製品情報はこちら
●今回ご紹介した「コンボアイアンの作成」、「アイアンの組み直し」、「リシャフト」、「ライ、ロフト調整」などをご希望の方は、下記ホームページからお気軽にお問合せください。
【今井正人のツアークオリティのクラブ工房】
ゴルファーズラウンジby tantanto