長﨑大星、加藤金次郎などの“ゴルフエリート”ジュニアゴルファーが“史上最年少優勝”に向けて、しのぎを削る日本アマチュアゴルフ選手権。そのなかで自分の夢に向けてステップを踏んだ若者がいる。早稲田大学ゴルフ部、安保卓哉だ。近年強豪となった“チーム早稲田”の一人であり、今年同大では4年生4人がこの舞台に立った。
画像: 23年早稲田大学ゴルフ部へ取材した週刊GD。白いTシャツが安保卓哉で、そこから右へ柏俣結生、竹原佳吾、中野麟太朗(撮影/小林司)

23年早稲田大学ゴルフ部へ取材した週刊GD。白いTシャツが安保卓哉で、そこから右へ柏俣結生、竹原佳吾、中野麟太朗(撮影/小林司)

3歳頃ゴルフを始めたが、中学時代までは競技にも出たことがない“非エリートゴルファー”だった安保。早稲田実業高校ゴルフ部で同い歳の竹原佳吾や柏俣結生と出会い、さらに大学で中野麟太朗や小原力と出会い、大いに刺激を受けた。

「環境が僕のゴルフを伸ばしてくれました。選手同士で教え合ったりできるのもありがたかった。自分の課題をきちんと把握して、先輩や同期からフィードバックをもらいながら改善していったんです」

昨年くらいから、成績が出始めた。昨夏の日本学生でも26位タイに入った。全国大会に行ったこともない自分が、遠い存在だった仲間たちに少しずつ近づいている実感を持てたのだ。

昨年まではプロなど夢にも思っていなかった。当然、就職活動をするものだと考えていた。

「今年に入って、競技をやめたくないと思い始めました。2月に皆でハワイの試合へ行き、競技の楽しさを再確認、いろいろ考えた結果、気持ちが変化しました。就職活動も幅広い業種を調べてはいたんですけど、全然定まらなくて。企業にエントリーシートは送っていましたけど、直前になって確信が持てなくなるんです。ゴルフのほうが楽しくなったんですね。斉野監督に相談して後押ししてもらい、両親とも話し合い、プロ挑戦を決めました」

就職活動に身が入らない自分の気持ちこそが答えだった。

同大ゴルフ部監督の斉野恵康は語る。

「1年の頃はレギュラーとして試合に出ても、初日に悪いスコアを出すと『明日は僕を使わないでください』と半泣きで言ってくるような典型的な末っ子だったのですが、本当に成長して大黒柱の1人になりました。地味でコツコツ型ですが、実力はあります。プロを目指すかどうか、何度か私やご両親と話し合い、『チャレンジする!』と決めました。あとで『やればよかった』と思わないでほしかったんです」

これを聞き、「コツコツ型なのは間違いないですね」ときっぱり答える安保。

夢はつくるもの――迷いを断ち切った安保の新しい夢は目標となり、さらなる努力の日々を積み重ねていく覚悟だ。

武器は曲がらないドライバーショットとパット。ずっとこれらを磨いてきた。しかし、飛距離を諦めるつもりはない。177cmの身長のわりに細身の安保。まず、トレーニングで飛距離アップを目指す。まだ伸びしろはたくさんある。

早稲田大学での学部は商学部。もちろん学業も大切にしてきたが、大学時代の思い出を聞くと、「ゴルフしかないですね(笑)。でも卒業旅行は行きたいです。僕たち同期、仲がいいんですよ。海外もいいかな。観光もしたいですけど、結局ゴルフをしそうです」。

画像: 2日目終了時に25年日本アマに出場した4人で撮影。左から中野麟太朗、竹原佳吾、安保卓哉、柏俣結生。柏俣は3日目を終了し2位タイ

2日目終了時に25年日本アマに出場した4人で撮影。左から中野麟太朗、竹原佳吾、安保卓哉、柏俣結生。柏俣は3日目を終了し2位タイ

昨年は4日間戦った日本アマの舞台で、今年は1打足らずに予選で姿を消した安保。「今回は悔やむことだらけです」。しかし、その1打の重みを自身の夢への重みと受け止め、ここからまた秋のQTに向けてコツコツ歩んでいく。

関連記事はこちら

This article is a sponsored article by
''.