
2005年生まれ、神奈川県出身。7歳でゴルフを始め、ジュニア時代から数々の成績を残す。24年春に目黒日本大学高を卒業し、25年1月から米アリゾナ大へ
――4日間戦っていかがでしたか?
内容はもう全然ダメでしたけど、久しぶりの日本の試合で、久しぶりの仲間と会えて、楽しい1週間でした。それに、今年ドバイの試合で一緒だった選手やトヨタジュニアの流れで参戦したインドの選手や韓国の選手も皆知っていますし、そういう海外の選手とも日本で会えてうれしかったです。

アリゾナ大のスポーツチームは「ワイルドキャッツ」と呼ばれる。大学のロゴが付いたキャップにナショナルチームのウェアを着用。“日米両道”だ
――アメリカの大学生活はいかがですか?
とても楽しいです。今は、『レッドシャツ(アメリカの大学スポーツの学生アスリートが特定のシーズンに公式試合に出場しないことで、競技出場資格を翌年以降に繰り越すことができる)』という制度を使い、アカデミックなほうに集中しています。アメリカの大学で単位を取るのは本当に大変で、特に英語という僕にとっては第二言語で勉強しているのでなかなか難しい。GPA(Grade Point Average)で2.3以上を維持しなければならないんです。でも、英語もこちらでかなり勉強して慣れてきて、今は3.6を取れているので、何とか。
――ほかに日本の選手はいますか?
選手ではないですけれど、交換留学生として早稲田大学や上智大学などから3人来ています。彼らも勉強を頑張っていて、「自分だけではない」という感覚になれます。でも、僕はアメリカで勉強とスポーツの両立を目指して頑張っていますが、日本で最近ゴルフ部も強い早稲田大学なども同じですよね。僕は特別勉強ができるほうではないですけど、取り組む時期が遅かっただけで、「やればできるんだ」と考えているんです。これから専攻を決めていくので、そうしたらもっと頑張らないと。スポーツ系の体や運動について学ぶ専攻にしたいと考えています。
――フルスカラシップを得て通っているんですよね。
はい。フルスカラシップの学生は、一人一人に栄養士やトレーナーが付くといったサポートを受けられます。道具やウェアなども全部支給されます。これらはチーム全体でサポートを受けているんです。

ホールによっては、300ヤードのドライバーショットを封印するシーンもしばしば。マネジメントも日々成長している部分だ
――ゴルフの練習環境は抜群でしょう?
授業はだいたい午後2時くらいに終わり、そこから歩いてアパートに帰り、また練習に向かいます。夜の21時頃まで明るいので、しっかり練習できるんです。トラックマンなどの設備も充実していて、チッピンググリーンも18ホールあり、チーム内の練習もあります。コーチが2人とアシスタントがいて知識も豊富なので、何か質問があればきちんと教えてくれますよ。僕の大学はあまりコーチングをするほうではないけど、たとえばペパーダイン(カリフォルニア州)など他の大学ではもっと積極的に指導しているみたいです。ただ、僕は小さい頃から1人でやってきたので、今も基本的に自分で練習していますね。
――大学のチームメイトや先輩はいかがですか?
チームメイトには、今年全米オープンに出場したザック・ポロ(カリフォルニア出身)や、全英オープン、来年のマスターズに出場するフィリップ・ヤクブチク(チェコ出身)がいます。彼らも1年のときは勉強に苦労していたし、フィリップはチームのメンバーにも入っていなかったんですよ。先輩たちはよく寄付もしてくれます。そういえば大学に卓球場があり、そこにジム・フューリックのキャディバッグを飾っています。彼は自分のスウィングを持っていますよね(笑)。
――人生が広がりましたね。
はい。渡米して最初の2カ月は本当に大変で、何もないのに涙が出てきてしまうこともあったんです。誰も助けてくれず、全部自分でやっていかないといけなくて……。卒業できるかどうかもわからない状況でしたけど、今は将来を考えても本当によい選択をしたと思っています。チームメイトもすごく助けてくれます。今後ゴルファーとして世界で戦うためにも、こういった環境は大事ですよね。

人懐こい笑顔で、久しぶりに会う多くの知人・仲間と楽しそうに挨拶していた。愛されキャラ、大志である
――この後の予定、目標は?
7月8日にアメリカに帰ります。今は夏休みですけど、サザンアマ、ウェスタンアマという大きな試合が控えています。運がよければ全米アマに出られるかもしれないので、そこに向けてしっかり今の自分と向き合っていこうと思います。今回の日本アマでの結果は悔しいけど、そう思うのではなく、切り替えて練習していきたいです。今、1年生としての半期が終わりました。次の半期が終わって、来年の1月から大学の試合に出る予定です。大学はまだあと3年あります。ゴルフはもちろん、頑張って卒業もしっかりしたいと思っています。
PHOTO/Hiroaki Arihara