全国から問い合わせが殺到するという知る人ぞ知る人気ショップ「ゴルフステージ成城」のクラブナビゲーター吉田朋広氏が注目するギアを徹底検証・解説する企画。今回は2025年4月30日に発売したトゥールテンパー「スチールファイバー NEXUS」の性能を試打検証!

トゥールテンパー新製品「スチールファイバーNEXUS」

スチールファイバーは元々はAEROTECK社のシャフトで10年以上前からPGAツアーや米LPGAツアーで高い使用率を誇る人気のシャフトブランドです。2019年からはトゥールテンパースポーツの一員となり、同社のダイナミックゴールドやプロジェクトXと並ぶブランドとして取り扱いされています。

スチールファイバーは外側の層にスチールの繊維を巻き付けて作られたグラファイトシャフトの特性とスチールの特性を組み合わせたシャフトです。スチール繊維は人間の髪の毛の約10分の1の細さでアイアン用シャフト1本には約94キロの長さのスチール繊維を巻き付けて作られています。トゥールテンパースポーツの一員となってからは日本ツアーでもツアーレップの活動が盛んになっていることによりプロの使用率がアップしています。

画像: スチールファイバー NEXUS

スチールファイバー NEXUS

とくに女子プロゴルファーの使用率が大幅にアップしたことで男性のアマチュアゴルファーの認知度も上がってきました。圧倒的にアイアン用シャフトのイメージが強いスチールファイバーですが、トゥールテンパースポーツの一員になってから初のウッド用シャフトが2025年4月30日発売されました。今回はそんな話題の「スチールファイバー NEXUS」を検証したいと思います。

スチールファイバー NEXUSは「NEXUS BLUE」と「NEXUS BLACK」の2モデルのバリエーション用意されています。外観のデザインはスチールファイバーのアイコンであるスチール繊維を巻いてある手元側はシルバーのクリア仕上げは共通で、BLUEは中間部分から明るめのマットブルー、BLACKはマットブラック仕上げです。

NEXUS BLUEは50グラム台。NEXUS BLACKは60グラム台と70グラム台があります。今回は日本でのメインモデルとなる50グラム台「NEXUS BLUE 50G」と60グラム台の「NEXUS BLACK 60G」を検証したいと思います。

NEXUS BLUE

まずは「NEXUS BLUE 50G」から検証していきます。

フレックス3つ。今回のテストクラブは「テーラーメイド Qi35 」ロフト10.5度、シャフトレングスは45.5インチです。

フレックス重量トルク調子振動数
A54グラム4.1中調子253CPM
R57グラム4.0中調子244CPM
S58グラム4.0中調子262CPM

フレックスA

NEXUS BLUE 50のラインナップで最も軟らかいフレックスですが、振動数は235CPM。ワッグルした時から感じるのはやや引き締まった手元側の剛性感とシャフト中間部分から先のシャフトの動きです。中調子というよりも”中先調子”の動きのイメージです。

NEXUS BLUE 50Gに巻いてあるスチール繊維はアイアン用のシャフトに巻いてある3kスチールよりも細い2kスチールが採用されていますが、シャフトの中間部分に近いところまでスチール繊維で補強してあることによる剛性の差がはっきりと感じられて、スウィング中もシャフト先端部分にしなりの動きのある挙動です。

画像: NEXUS BLUE 50G

NEXUS BLUE 50G

非常にスムーズで振り抜きやすいシャフト挙動のフレックスでインパクトもパワーを感じられ、ボールをしっかりととらえてくれるので先端部分に当たり負け感はありません。インサイドからフェースが開き気味になるインパクトに対しても、ボールが右から右へ逃げていくようなスライス回転は抑えられます。基本弾道は再現性の高い安定したドローボールで、弾道はやや高め。バックスピン量はAフレックスとしてはやや少なめなのでしょう。しっかりと前に行く推進力を感じられます。

スウィングに大きなパワーは必要なく、プレーヤーはスウィングするだけでしっかりと飛距離が出せる力強いボールが打てるフレックスです。Aフレックスはヘッドスピードが37~42m/sくらいのゴルファーにオススメです。

フレックスR

NEXUS BLUE 50G のラインナップの中心のフレックスです。

Aフレックスに対してシャフト振動数は約10CPM上がり、手元側の強さも加わります。このフレックスも中調子ながら、スチール繊維で覆われた中間部分までとその先の剛性の差で生まれる動きは中先調子イメージです。切り返し時からオートマチックにしなり、先端部分がスムーズに加速していくフィーリングは非常に心地良い振り抜き感です。インパクトエリアではフェースが開いて当たらないのでボールをしっかりとフェースに押し込む厚いメージです。

Aフレックスよりも弾道も抑えられて、ボールが前に行くイメージです。ボールが吹け上がらずにランを含めたトータル飛距離が出ると思います。ボールのつかまりのバランスも非常に良いフレックスです。しっかりとつかまるのにつかまりすぎる感じがありません。インパクトでフェースでしっかりととらえられたボールは、ややドロー回転がかかりながらも必要以上につかまり過ぎないイメージです。手元側にスチールの安定と先端部分にはグラファイトのしなやかさが高いバランスで融合されたフレックスです。

インパクトエリアをスウィングで振り抜くタイプのゴルファーにピッタリのフレックスだと思います。Aフレックスだとやや物足りなさを感じる方にオススメです。

フレックスS

シャフト振動数は262CPMまでアップしてグリップの中から中間部分まで外装部分をスチール繊維で覆われたスチールファイバーらしいしっかりと強い剛性感を感じます。切り返し時の感じはしっかりとしていますが、スムーズにしなりを生み出します。シャフト挙動は安定していてインパクトエリアでのシャフト挙動も安定感があり、しっかりとフェースでボールをとらえてくれますし高さの抑えられた強い弾道は左右のブレもなく、ボールの着弾エリアも揃いやすいと思います。

ボールスピードも速く、シャフトパフォーマンスでの飛距離性能の高さを感じられるはずです。

SフレックスはBLUEの中で最も硬いフレックスなので、この1フレックスで幅広いプレーヤーをカバーすることになると思いますが、プレーヤーの切り返しのパワーやヘッドスピードによってシャフトのフィーリングに差が出ると思います。とくに先端部分の動きの感じ方に違いを感じるでしょう。

ヘッドスピード44m/sくらいまでのスウィンガータイプのプレーヤーには先端部分の動きは抑えれられてインパクトエリア手前で少し動きを感じられるイメージですが、ヘッドスピードが45m/s以上のプレーヤーや、切り返しでタメが強いプレーヤーだと中間部分から先の先端部分の動きが大きく感じられるでしょう。スチール繊維で覆われた部分とそうでない部分の剛性の差から感じるものだと思います。私がオススメしたいプレーヤーは自身でインパクトを作ってハードヒットするプレーヤーよりもスウィングでフィニッシュまで振り抜くススウィンガータイプのプレーヤー。飛距離性能を体感できると思います。

画像: フレックスS

NEXUS BLACK

「NEXUS BLACK 60G」は3つのフレックスが用意されています。

フレックス重量トルク調子振動数
R66グラム3.0中元調子258CPM
S67グラム3.0中元調子262CPM
X69グラム2.8中元調子273CPM

Rフレックス

60Gシリーズの最も軟らかいフレックス。スチール繊維で覆われた手元側はしっかりとした剛性感がありますが、大きなテンションをかけなくても意外とスムーズに切り返しできます。中元調子の表記通りゆったりとした切り返しにも強い切り返しにもどちらにも対応できる印象のフレックスです。

シャフト中間部分から先は安定したシャフト挙動で、インパクト時にはシャフト先端部分のやや上でしなりがあることでボールをしっかりととらえることができます。弾道は安定感があり、ボールの吹け上がるイメージは感じないと思います。60グラム台のシャフトとしては比較的やさしく感じるフレックスです。ヘッドスピードは40〜43m/sくらいの方で、ドライバーに方向安定性を求めるゴルファーにオススメのフレックスです。

Sフレックス

60Gシリーズの中間のフレックスです。シャフト振動数は262CPMとRフレックスの258CPMとの差は4CPMと大きく変わらないのですが、フィーリング的には数値以上に違いを感じます。シャフトが自然にタメを作ってくれるというよりも切り返しでプレーヤーがテンションをかけることでタメを作りやすいフレックスで、スチール繊維を巻き付けてある手元側はカーボンシャフトとは異なるフィーリングのしっかりした剛性感があります。

画像: NEXUS BLACK 60G

NEXUS BLACK 60G

切り返しにはある程度のパワーが必要だと思いますが、切り返しさえスムーズにできればシャフト中間部分から先の動きはグラファイトらしさがありますのでハードさは感じないと思います。インパクト時にしっかりとボールをとらえやすく、弾道は高さが抑えれられた中弾道です。とにかく左右ブレが少ない弾道が再現性高く打てるのが印象的です。

コースに出るとつい飛ばそうと力が入り、ドライバーの方向性に不安があるような方にはアイアン用のスチールファイバーシャフトと同じ3kスチールで補強されているカーボンシャフトの持つ方向安定性のメリットを感じられるでしょう。シャフトの切り返しがポイントになるフレックスです。ヘッドスピードはあまり関係なく、パワーのある切り返しの安定した方にオススメです。一発の飛距離性能よりも安定した弾道で平均飛距離アップが可能なフレックスです。一般的なパワーのゴルファーはRフレックスと比べて硬く感じると思いますので打ち比べるのがオススメです。

Xフレックス

60Gシリーズ最も硬いフレックスでアメリカだとヘッドスピード47m/s以上あるゴルファーが基準となります。Xフレックスらしく手元側は硬く、一般的なパワーやヘッドスピードのプレーヤーにはメリットを感じられないフレックスですが、ターゲットのプレーヤーが打てばバット部分から中間部分までスチール繊維で覆われているカウンターバランス設計になっていることとしなりも少ないので69グラムのシャフト重量を感じることなくスピード感のある振り抜きが可能だと思います。インパクトの再現性が高く、ボールの吹け上がりも抑えられた左右ブレのない中・低弾道が打ちやすいでしょう。

飛距離よりも方向性を重視するヘッドスピードとパワーのある方にオススメです。 本格的なツアープロ用のXフレックスに比べてやさしい仕上がりだと思います。是非試してみて下さい。

画像: Xフレックス

オススメのヘッドマッチング

スチールファイバー NEXUSの開発段階では多くのアメリカメーカーのヘッドとのテストを行われたシャフトだと思います。今回検証に使用したヘッドはテーラーメイド Qi35ですが、ここ数年で市場に発売されたアメリカメーカーのスリーブ機能搭載の大慣性モーメントヘッドとのマッチングはどれも問題ないはずです。

画像: テーラーメイドQi35とのマッチングもいい

テーラーメイドQi35とのマッチングもいい

また日本メーカーのヘッドとのマッチングも面白いと思います。

とくにブリヂストン「B2 HT」などに代表されるドローバイアスヘッドをお使いのゴルファーの中には「使い始めに比べてややボールがつかまり過ぎるようになった」という方も多くいらっしゃると思います。スチールファイバー NEXUSは安定性性能に優れ、左右ブレに強いシャフトですので、ドローバイアス設計のヘッドとのマッチングでもボールが過度につかまり過ぎず、ヘッド性能を生かしてパフォーマンスアップが可能になると思います。

是非試してみて下さい。

画像: オススメのヘッドマッチング

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