全国から問い合わせが殺到するという知る人ぞ知る人気ショップ「ゴルフステージ成城」のクラブナビゲーター吉田朋広氏が注目するギアを徹底検証・解説する企画。今回は2025年6月26日に日本発売した「ベンタス ホワイト」の性能を試打検証!

第4選択肢フジクラ「ベンタス ホワイト」

2019年の発売以来、全世界のプロ・アスリートゴルファーに圧倒的な人気を誇るフジクラ「ベンタス」。「ベンタス」はブルー・ ブラック・ レッドがありましたが、第4の選択肢として「ホワイト」が2025年2月にアメリカで追加され、日本でも6月26日に発売されました。

プロ・アスリートブランドのベンタスシリーズ初の40グラム台の先調子シャフトとして注目されている「ベンタス ホワイト」は一体どのようなシャフトに仕上がっているのでしょう。早速、検証してみたいと思います。

画像: テストクラブ PING G440 MAX 10.5度45.5インチ

テストクラブ PING G440 MAX 10.5度45.5インチ

先ずは外観デザインからチェックしてみましょう。外観はホワイトのマット塗装一色でロゴデザインは24ベンタスシリーズと共通の“ブランドの統一感を持たせた”デザインです。カラーリングからは40グラム台の軽量シャフトらしく軽快さを感じます。

「ベンタス ホワイト」のシャフトスペックは以下の通りです。

フレックス重量トルク調子振動数
R249.5グラム5.0先調子219CPM
R49.5グラム5.0先調子232CPM
S49.5グラム5.0先調子240CPM

ベンタス ホワイト 4S

今回、「ベンタス ホワイト」のなかで、日本で最も注目されている「4S」から検証していきます。

ワッグルした時に感じるのは手元側のしっかりしたフィーリングです。中間部分のやや先から先端部分にかけて動きがある先調子らしいフィーリングのシャフトです。シャフト重量は49.5グラムですが、軽量感はあまり感じず50グラム台前半のシャフトと比べてと大きくイメージは変わりません。

実際のスウィングでは手元側から中間部分、先端部分にかけて極端にしなる部分がなく一体感のあるシャフト挙動で、先端部分の動きは大きくは感じずに、先調子の表記のイメージよりは穏やかな先端挙動です。シャフト先端部分には24ベンタスシリーズから採用されている「VEROCORE PLUS」により補強されていることもあるのでしょう。

インパクトエリアを安定した挙動で振り抜くことができ、ボールをしっかりととらえてくれるインパクトは当たり負けを感じません。先調子シャフトながら抜群の安定性を感じられます。振り抜き感も良いのでフィニッシュまでスムーズです。基本的な弾道は中弾道からやや高めですが、スウィングの切り返しのイメージでシャフト先端部分の動きの印象に違いが出るシャフトです。

画像: ベンタス ホワイト 4S

通常はボールが吹け上がるような感じは一切ありませんが、パワーがありダウンスウィング時のタメが強いタイプのゴルファーだと先端部分の動きが大きくなることで高弾道になると思います。特にSフレックスは最も硬いフレックスということもあるので、ヘッドスピード47m/sまでの速めの方にも対応できるフレックス。

切り返しが強めの方はシャフト先端部分の動きが大きくなることで打ち出し角度が高くなったり、左右ブレが起こりやすくなるかもしれません。ダウンスウィング時に強いタメを作って自分でインパクトを作っていくヒッタータイプよりも、インパクトエリアをスウィングで振り抜くスウィンガータイプのゴルファーのほうが再現性の高いブレのない安定した弾道が実現できると思います。

先調子系のシャフトに飛距離性能と安定性を求めるスウィングスピードがやや速めのスウィンガータイプのゴルファーにオススメのフレックスです。

ベンタス ホワイト 4R

続いて「R」フレックス。シャフト振動数は232CPMなので、Sフレックスと数値上は大きな差はありませんがフィーリングは結構違います。バット径は15.30とSフレックスと同じですが、手元側の硬度が下がることで切り返し時に硬さを感じずにスムーズな切り返しを生み出します。

アメリカフジクラの設計ですが、バランスの良い振り感のフレックス設計は一般的なパワーやスウィングスピードの日本のゴルファーに扱いやすいと思います。中間部分から先の動きは大きく感じられますが、シャフト先端部分に採用されている補強材のVEROCORE PLUSテクノロジーの効果もあり、打点ブレに強いインパクト時に当たり負けを感じることなくボールをしっかりととらえてくれます。

打ち出し角度はやや高めですが、バックスピン量が適正なので、ボールの吹け上がりを感じることはないでしょう。シャフトフィーリングは素材が影響しているのでしょう。ベンタスらしい共通した「シュン」としたシャフトサウンドが感じられます。

先調子シャフトのボールをとらえやすさに、ベンタスの特長である安定性をプラスしたシャフト設計を体感できるオススメのフレックスです。

ベンタス ホワイト R2

最後に検証するのは「R2」と最も軟らかいフレックスです。シャフト振動数も219CPMとなり、ワッグルした際から先端部分に大きな動きが感じられます。実際に打ってみても印象は同じで先端部分が大きくしなり、先調子らしさを感じますが「走る」イメージよりも「動く」といった表現が適正でしょう。アメリカフジクラの設計ですのでR2にしては比較的しっかりとした手元側の剛性感があります。シャフトバット径もSや Rと同じ15.30ということもあり、シャフト振動数の数値以上に実際に切り返しのイメージで印象が変わるでしょう。

切り返しさえスムーズにできれば先調子シャフトらしい先端部分が大きくしなる挙動を感じられ、しっかりとつかまったボールを打つことができます。基本的に打ち出し角度はRフレックスよりも高くなりますが、適正スウィングスピードよりも速いゴルファーが打つとヘッドの戻りが速くなることでフェースがややクローズになり、弾道は思ったよりも高くならない場合もあるでしょう。手元側の剛性が高めなのでアウトサイドインのスウィング軌道の方も注意が必要だと思います。

R2フレックスはヘッドスピードが速くない方でも使えるシャフトですが、ベンタスブランドの先調子シャフトという設計を考慮すると、ある程度切り返しがしっかりしていてスウィングが安定している方でシャフトの先端部分の動きを使って飛ばしていきたい、スウィングスピードが落ちてきた方にオススメです。安定感のある先調子シャフトの「ベンタス ホワイト」の特長を生かして飛ばすことができるでしょう。

「ベンタス ホワイト」総評

今回はブルー ・ブラック・ レッドに次ぐ第4のベンタスである「ベンタス ホワイト」を検証しました。

ベンタス ブランドに40グラム台の軽量の先調子というプロダクトが必要とされた経緯は詳しくはわかりませんが、アメリカではシャフトを選ぶ際もフィッティングが主流となっています。シャフトフィッティングには様々なタイプのゴルファーに対して適正なシャフトを用意しておく必要がありますが、40グラム台の先調子系のシャフトはフジクラのラインナップにも多くはありません。

日本で展開している「SPEEDER NX」シリーズはアメリカでも販売されていますが、「ベンタス」はアメリカフジクラ設計でメインのターゲットはツアープロ。「SPEEDER NX」は日本のフジクラ設計でアマチュアゴルファーに標準を合わせて発展してきたという経緯があります。

画像: ベンタス ホワイトとSPEEDER NX ブラックの同重量帯を試打比較

ベンタス ホワイトとSPEEDER NX ブラックの同重量帯を試打比較

アメリカでもシャフトフィッティングの中で日本の設計の「SPEEDER NX」とは違うテイストの40グラム台の先調子の軽量シャフトをプロダクトに加えてみようとの判断があったのでしょう。現在フジクラから発売されている40グラム台の先調子シャフトとしては「SPEEDER NX」シリーズで先調子系は先中調子の「NX ブラック」となりますので少し比較してみました。

モデル名ベンタス ホワイト 4SSPEEDER NX ブラック 40 S
重量49.5グラム51グラム
トルク5.05.6
調子先調子先中調子
バット径15.3015,15

2つのモデルを打ち比べてみましたが、シャフトBUTT径の太さの違いから感じる手元側の剛性の違いを感じました。「ベンタス ホワイト」は潰れに強くしっかりとしています。アメリカのプレーヤーのフィジカルに合わせて強めの切り返しにも対応できる剛性設計です。

「SPEEDER NX ブラック」は適度にしなやかであまり大きなパワーを必要とせずに切り返しが可能です。日本のプレーヤーのパワーを考慮した設計になっているのがわかります。シャフトフィッティングではダウンスウィング時の切り返しを重視します。シャフトの持つパフォーマンスを発揮できるかどうかは切り返し時に決まりますので手元側の剛性の違いは重要な要素となります。

画像: シャフトマッピング

シャフトマッピング

アメリカの設計の「ベンタス ホワイト」と日本の設計「NX ブラック」特長の違うふたつの40グラム台の先調子系シャフトを用意することでより多くのゴルファーのフィッティングが可能となるのでしょう。新たにベンタスシリーズのラインナップに加わった「ベンタス ホワイト」はアメリカ設計の40グラム台の先調子シャフトですが、日本のプレーヤーにも扱いやすく感じられる方も多いと思います。

ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか?

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