ロイヤルメドウの1打負けが繋いだ初優勝

優勝トロフィーを手に写真を撮る大久保(撮影/加藤晶)
今季ステップ・アップ・ツアーにおけるルーキーでの優勝は、水木春花、青木香奈子、前田羚菜、加藤麗奈に次ぐ、5人目となった。涙を浮かべながら初優勝をかみしめている大久保に、首位タイで迎えた18番ホールについて聞いた。
「セカンドはピンまで190Yでした。アゲンストだったので迷わず3Wでいこうと。ただ、私はフェーダー(フェードが持ち球)なので右の池がすごく怖くて、初日、風に勝ってしまってグリーン右端(池サイド)に乗せたんです。それを思い出してしまったので、グリーンの左端を狙いました。思ったより左に行ってしまってラフでしたね。3打目のアプローチは20Yくらいです。ただ、ボールが沈んでいたので52度か58度で迷って、チョロするのが怖かったので52度でクリーンに、カツンと打ちました。それが上手く寄ってくれたんです。パーパットは1mの下りです。この下りにつけたのが、私の作戦のひとつだったんです。

ロイヤルメドウで手が動かなくなった経験から、下りに付けて見事パーセーブを決めた(撮影/加藤晶)
2試合前のロイヤルメドウカップで負けたとき(2位タイ)、最終ホールでバーディパットを外したとき、上りだったんですけど、手が動かなかったんです。だから、あえて下りにつけたんです。下りなら手が動かなくなってもコロッて入ってくれるかなって。だから思ったよりもピンの左(高い位置)に打ったんです。ラッキーもありますけど、作戦成功です! 最後のパットはとりあえず引っかけないように。昨日が引っかけが多かったので。ちょんっと打つ感じです。入ってくれてめっちゃホッとしました」
「途中からリーダーボードを見ていなかったんです。見る場所がなかったんです。1打負けか、同スコアかと思っていました。だから最終ホールはパーで負けても仕方がないと思っていました。最後にリーダーボードを見たのは15番でした。だから、18番では順位はよくわかっていなかったですね。ロイヤルメドウのときは、リーダーボードを一切見なかったので、それが油断になったんです。追いつかれていると気づけなかったからです。その経験も踏まえてリーダーボードは見るようにしていたのですが、最終日はなぜか見る機会が少なかったです。リーダーボードも3カ所くらいしかなかったと思います。クラブハウスに上がったところにテレビがあってそれで自分の順位を確認しました。並んでいるんだって。だからパター練習をしようと思っていたら『勝ったよ』って周りの人が教えてくれたんです。
プロテスト合格まで多くの時間を費やしたという大久保(写真/加藤晶)
勝ったとわかったときは、すごく嬉しかったですね。勝って涙はなかったんですけど、いろいろ思い出して涙があふれちゃいました。プロテスト合格までの道のりとか、結構、長かったんです」
ーー1打差での勝利となった、その要因は何だったのか?
「14番ホールですかね。長いバーディパットが決まってくれたときです。プレーオフか、勝つか、どっちかかなって感じましたね。14番は大きかったです。10番(13m)、11番(20m)の長いパットを3パットしなかったことも影響しています。自分のなかでイケるかもって思ったからです。
勝ち切れた要因は、ロイヤルメドウの1打負けの経験です。17番、18番で普通なら取れるようなバーディが取れない。緊張感のなかで決められるバーディパットを2回外したこと。これが今回に生きたと思います」
ーー今季のステップ・アップ・ツアーはルーキーの活躍が目覚ましいです。最終組は3人ルーキーでした。どう感じていますか?

関係者と写真撮影(撮影/加藤晶)
「ルーキーがたくさん優勝していますね。追いつけ追い越せじゃないですけど、ルーキーはみんなそう思っていると思います。次こそはって。この試合は上位がルーキーばかりでしたし、私も気合いが入りました。同期は全員、仲がいいですし、優勝後の記者会見や写真撮影を待っていてくれた選手たちもいて、すごく喜んでくれて、自分も嬉しくなりました。勝った自分も嬉しいし、同期が勝っても嬉しいです。97期生でよかったなって実感しています。
今年の目標はまず1勝でした。まさかこんなに早く達成できるとは。始めはレギュラーツアーで早く戦いたいって思っていましたが、レギュラーでは予選落ちが続いたりして、まだまだだなって実感しました。ただ、アース・モンダミンカップで予選通過してから、ステップでも勝てるのではないか、そう思い始めたんです。ステップの後半戦はアマチュア時代に回ったことがあるコースが多いんです。そこでもう1勝できれば、賞金ランク2位以内も見えてくるはずです。そこを目指したいですね」