同シリーズのAPEX Ti FUSION同様、チタンフェースとステンレスボディの接着技術が向上したことで生まれたAPEX Ti FUSION 250。アベレージゴルファーに向けて、飛距離とやさしさにこだわったアイアンだという。シンプルなバックフェースはマッスルバックの雰囲気も醸し出している。

APEX Ti Fusion 250/6I~PW。5Iは単品。鍛造チタンフェースと鍛造ステンレススチールの複合中空ヘッド(Ph/Tomoya Nomura)
試打を担当してもらったのは吉田洋一郎プロ。APEXシリーズのAi 200 アイアンの7Iで打ち比べた。7Iのロフトはいずれも30度、長さは37インチ。シャフトはN.S.プロ モーダス³ TOUR105(S)。

テスターの吉田洋一郎プロは2019年GDレッスン・オブ・ザ・イヤー受賞、地面反力理論の先駆でもある。トラックマン ジャパン本社スタジオ、天井設置の光学強化レーダーで追跡するトラックマンiOで計測

APEX Ti Fusion 250とAPEX Ai 200の7Iで比較試打。試打ボールはすべてキャロウェイのCHROME TOUR X。計測した7球数値の上下を省いた5球の平均値を採用した
「アドレスの見た目は、中上級者ターゲットのAi 200とほぼ同じヘッドの大きさでシャープな印象。ただし、スコアラインが入る幅が、Ti FUSION 250のほうがワイドでフェース面が大きく見えるのは安心感につながります。そして、ややグースネック気味の形状です」(吉田プロ・以下同)

APEX Ai200(左)とAPEX Ti Fusion 250(右)。グースネックの感じは似ているが、スコアラインの幅がTi FUSION 250の方がワイド
7Iを打ち比べて、「Ti FUSION 250のほうが弾きの強さを感じます。実際、数値を見ても初速が出ています。そのぶんキャリーが伸びて、7I平均で5ヤードくらい前へ行く印象です」
「Ai 200とTi FUSION 250を交互にも打ってみて感じましたが、Ai 200はしっかりつかまえるドローが打ちやすく、Ti FUSION 250は真っすぐからフェード狙いで打つとばっちり合いますね。僕自身はフェーダーなので、左へ曲がる引っ掛けが出にくいTi FUSION 250が打ちやすく感じました。おそらく左右のMOI(左右方向の慣性モーメント)がやや大きめの設計だと思います」
ヘッドスピード(m/s) | ボール初速(m/s) | キャリー(Y) | トータル(Y) | 弾道頂点(Y) | スピン量(rpm) | ミート率 | ||
APEX Ai 200 | 38.8 | 54.9 | 178.5 | 193.2 | 30.2 | 4998 | 1.44 | |
APEX Ti FUSION 250 | 38.9 | 56.2 | 183.7 | 196.2 | 32.5 | 4999 | 1.44 |
上の比較グラフを見ると、吉田プロの感想の通り、ボール初速平均が1.3m/s速い。これがキャリー平均プラス5.2Y、弾道高さ2.3Yの差につながっている。スピン量は5000回転でほぼ同等。

「じゃっかんグースネックで、見た目はつかまりそう。打つと真っすぐからフェードが打ちやすい。飛ぶフェードが打てるアイアンです」(吉田プロ)
「MOIが大きめなのでフェースローテーションを積極的に行ってつかまえて飛ばそうとするよりも、アイアンらしく(フェースの)面を意識してラインを出して運んでいく振り方に合うアイアンです。それでも弾きが良く初速が出るのでキャリーはじゅうぶんに出てくれます」

APEX Ai 200(左)とAPEX Ti Fusion 250(右)、7Iの弾道図。Ti FUSION 250の方が全体的に高弾道
そこで吉田プロに、7割程度のスウィングでライン出し重視で打ってもらった。「なるほど。面で運ぶだけのスウィングをするほど安定感が増します。引っ掛けが全く出ないで安心して狙っていけます。〝7割スピードのライン出し〟でも飛距離が出るので、『ある程度、球はつかまえられるけど、距離が欲しい』という中上級者にも良いです。見た目もシンプルで大人のアイアンといった佇まいも良いですね」

APEX Ti Fusion 250/6I~PW(29万7000円)、5I(5万9400円)。「開閉タイプよりも面で運ぶ人にぴったりのアイアンです」(吉田プロ)
全国約50店舗の限定販売カスタム対応モデル。ラインを出しやすい性能、十分なキャリー、外観の良さ…所有欲を満たしてくれるアイアンだった。