
杉澤キャディが注目ホールにあげる、最終18番。写真は昨年の最終日セカンドショットを打つ松山英樹(PHOTO/Getty Images)
今週はプレーオフシリーズの第1戦、「フェデックスセントジュード選手権」が開催される。
「この大会はフェデックスカップランキング上位70名のみが出場を許される、いわゆるエリートフィールドです。そして次戦である“BMWチャンピオンシップ”に進出できるのは、さらに絞られた上位50名のみです」(以下、杉澤)
プレーオフシリーズ、最初の舞台はTPCサウスウィンド。
「今回舞台となるTPCサウスウィンドは、ロン・プリチャード設計で1988年に開場した難関コースです。池を絡めたホールが多く、風も強く、プレッシャーがかかるホールが多いコースとなっています。距離は短いですが、グリーンが小さくてオリジナルな形をしているので、ピンの位置によって戦略が異なり、巧みなマネージメントが必要となります」
TPCサウスウィンドには、選手たちを苦しめる難関ホールが数多く存在する。杉澤キャディは特に15番ホールと18番ホールに注目する。
「まず15番ホールは、短いパー4ながら、グリーン手前に小川が流れており、正確な距離感と方向性が求められます。グリーンをオーバーすると、深いラフと急な下り傾斜が待ち受けており、パーセーブは至難の業となるでしょう。そして18番ホールは、ティーショット、セカンドショット共に、左サイドに広がる池がプレッシャーを与えます。右サイドには深いラフとバンカーが待ち構えており、最後まで気の抜けないホールです」
TPCサウスウィンドでは、風対策も重要なポイントとなる。
「TPCサウスウィンドは風が強いことでも知られており、風に強いボールコントロールが問われます。風の状況を読み、正確なショットを打つことが、攻略の鍵になります」

エリートフィールドに参加する日本人は今年も松山英樹ただひとり(写真は全英オープン、撮影/姉崎正)
日本勢から松山英樹プロが出場する。
昨年、アジア勢として初めてプレーオフシリーズを制覇した松山プロが、ディフェンディングチャンピオンとしてTPCサウスウィンドに帰還する。
「松山選手は現在30位以内。もちろんあと2試合の結果次第というのはそのとおりですが、最終のツアー選手権の出場をほぼ確定しているといっていいと思います。先週のウィンダム選手権では、最終的に19位タイという結果でしたが、11番ホールを全てパーで終えていれば単独2位という成績だったんです。全体的には調子が上がってきていますし、焦ることなく最終戦まで良い流れを持っていく準備ができていると思います。そして、このタイミングで順位を2つも上げることができたのは大いに有利です」
TPCサウスウィンドは、松山にとって相性の良いコースであることは間違いない。
「前回、同じコースで優勝したこともあり、コースのイメージも良いはずです。ただ、本人はそうは言わないかもしれませんが(笑)。連覇に向けて、松山選手がどのような戦略で挑むのか、ぜひ注目してみてください」

リッキー・ファウラーは「BMWチャンピオンシップ」にコマを進めることができるだろうか(写真は全英オープン、撮影/姉崎正)
次戦「BMWチャンピオンシップ」への出場権をかけた、フェデックスランク50位に入る争いにも注目したい。
「次週に行われ“BMWチャンピオンシップ”への出場権に加え、来年のシグネチャーイベントの出場権が確定する順位が50位でもあるため、50位前後の選手たちは、是が非でも上位に進出したいところです。そのため、順位変動を楽しむことができると思います。リッキー・ファウラーは現在64位、デービス・ライリーは現在65位です。彼らはアイアンショットが得意な選手なので、ぜひ旋風を巻き起こしてほしいです」
メジャー大会が終わったとはいえ、まだまだ暑い夏は続く。フェデックスセントジュード選手権で、どのようなドラマが生まれるのか。最後まで目が離せない。
U-NEXT 木村真希