斜めに池を越えさせる難しさと長い距離が心を砕く
12番ホール/465・450・400ヤード
パー4(PUNCHBOWL)
リドーCCの12番(433ヤード/パー4)パンチボールは、ザ・ナショナルGLオブ・アメリカの16番(419ヤード/パー4)のオマージュだった。パンチボールと名付けられたホールは初期においては自然の窪地に造られることが多かったが、戦略性を持たせるために意図的にデザインされるようになった。
バリシアーGLの12番は池越えホールで、1打目は5番ホール(CAPE)と同様に池を斜めに越えてフェアウェイを狙う。ホール左側にはウェイストエリアがあるが、グリーン周りにはバンカーなどのハザードはなく、グリーンの左右と奥がマウンドにされて“パンチボール”になっている。

12番ホール/465・450・400ヤード/パー4(PUNCHBOWL)

12番ホール/465・450・400ヤード/パー4(PUNCHBOWL)※ティーイングエリアは池の手前、左サイドにあり池を斜めに越えて狙う
池とフェアウェイを囲むようにあるウェイストエリア以外にハザードがないのは少し嬉しい。パー4ながら400ヤードの距離があり、日本のコースのような打ち下ろしではないことから実質的な距離を実感することになる。
ティーショットを構えると、斜めに池を横切ることになり、やや右狙いになるが飛び過ぎるとウェイストエリアにつかまる。フェアウェイ右にぽつんと見えるバンカーの先が落とし場所になる。このバンカーからグリーンまで280ヤードもあり、距離によるプレッシャーを感じた。

12番ホール/465・450・400ヤード/パー4(PUNCHBOWL)
大きなグリーンには馬の背のようなマウンドが縦に入り、ボールの落とし場所によっては想定外のパットをすることにもなる。ハザードはフェアウェイ右のバンカー以外ないが、なんとも把握しにくいホールだという印象がある。ちなみにこのホールは1パットのボギーで上がれた。
1打目をフェアウェイに落とせばご褒美が得られる
13番ホール/327・307・279ヤード
パー4(KNOLL)
インで最も距離が短いパー4。フェアウェイに落とすことができれば、2打目エリアからは12番ホールとの間にウェイストエリアがあるが、それほど脅威にはならない。
グリーンの右手前にバンカーが3個連なり、グリーンが小高い丘の上にあるため、結果的に深いバンカーになる。デザインソースはスコットランドのスコッツクレイグGCの4番(362ヤード・パー4/Westward Ho)で、リドーCCでも13番(316ヤード/パー4)が最も短く、こちらのデザインソースはパイピングロックCの13番(300ヤード/パー4)。ちなみにこのパイピングロックCは2017年にハンスが改修をしたコース。
KNOLLの意味は丸い丘、少し高い丘などの意味で、ここではグリーンがマウンドによって高い位置にあり文字通りKNOLL(小高い丘)、日本風に表現すれば砲台グリーンか。距離が短いことから2パットのパーだった。

13番ホール/327・307・279ヤード/パー4(KNOLL)

13番ホール/327・307・279ヤード/パー4(KNOLL)

13番ホール/327・307・279ヤード/パー4(KNOLL)
砂地獄でプレーしているような気分になる
14番ホール/132・110・100ヤード
パー3(SHORT)
フェアウェイはほぼなく、グリーンは大きな4個のバンカーでガードされている。距離が短いだけにピンめがけて攻めたいが、それだけに落とし穴がありそうだ。デザインソースはイングランドのロイヤル・ウェスト・ノフォーク(1891年、ホレイス・ハッチンソン設計)の4番(130ヤード/パー3)で、アイアンショットとパッティングの技量が求められる。
セントアンドリュース(オールド)の8番(173ヤード/パー3)と、イエール大学コースの5番ホール(135ヤード/パー3)がSHORTと名付けられているが、リドーCCはザ・ナショナルGLオブ・アメリカの6番(135ヤード/パー3)、パイピングロックCの17番(168ヤード/パー3)がデザインソースだ。
構えるとグリーン全体が窪んで見える。距離はないがティーイングエリアからグリーンまでウェイストエリアのためショートするとアプローチの距離感が難しいと思う。窪んで見えるグリーンに近づくとちょうど馬蹄形に窪んでいることが分かった。

14番ホール/132・110・100ヤード/パー3(SHORT)

14番ホール/132・110・100ヤード/パー3(SHORT)
左右と後方の段差にボールを落とすと下りラインになり難易度は増してしまう。このホールは1オン2パットのパーで上がれた。
戦略的なホールには高度な技量がなくても攻める楽しみがある
15番ホール/381・355・325ヤード
パー4(STRATEGY)
距離は長くないが、1打目は広大ともいえるウェイストエリアを飛び越える飛距離が求められ、ボールの着地エリアとなるフェアウェイには4つのバンカーが左から右方向へと斜めに置かれている。
グリーン手前の左右には、やや離れてバンカーが2つずつ置かれているが、正面の花道にトラップはない。だが、グリーン奥には広大なウェイストエリアが広がりオーバーすることは避けたい。
“STRATEGY”と名付けられていることからゴルファーにショットの狙い場所、飛距離などを考えて攻めろと示唆しているのだろう。リドーCCの15番(404ヤード/パー4)のデザインソースは、ザ・ナショナルGLオブ・アメリカの8番(386ヤード/パー4・BOTTLE)で、カントリーライフ誌のコンテストでセス・レイナーがアレンジしたホールだ。
バリシアーGLではどのようになっているかといえば、右ドッグレッグで4個の連なるバンカーの手前が落とし場所になる。もちろん飛ばし屋はこのバンカーを意識する必要があるが、ここまで飛ばせば残り距離は60~80ヤードになる。短いのでハザードに捕まらぬように攻めれば報酬が得られるホールだといえる。グリーンはおそらく18ホールで最も小さい(439m²)のではないだろうか。

15番ホール/381・355・325ヤード/パー4(STRATEGY)

15番ホール/381・355・325ヤード/パー4(STRATEGY)

15番ホール/381・355・325ヤード/パー4(STRATEGY)
右はバンカー群、左はウエストエリアとバンカー、どこへ打つ?
16番ホール/207・185・162ヤード
パー3(REDAN)
世界で最も模倣されているホールデザインとして名高い“レダン”。オリジナルはスコットランドのノースベリックGC西コースの15番(189ヤード/パー3)。
手前から攻める、右に落として左に転がす、スライスで攻める、グリーンオーバーさせて上りのアプローチで攻める、など攻め方が多くあることで模倣される。グリーンは縦長で左方向に45度も傾き、ピン位置、風の変化により戦略性が激変し、最も優れたパー3ホールとされている。パー3のみならず、パー4でもパー5でもグリーン周辺にレダン形状を持つホールは世界に数多くある。
リドーCCの16番(206ヤード/パー3)は、ノースベリック西の15番、パイピングロックCの3番(227ヤード/パー3)、ザ・ナショナルGLの4番(185ヤード/パー3)がデザインソース。バリシアーGLの“レダン”は、グリーン左側にバンカー、右には2個のバンカーがある。ノースベリック西の15番ほど左のバンカーは大きくも深くもないが、構えた時に目に入り錯覚を起こさせる優れたデザインだ。
ティーイングエリアからグリーンまでやや打ち上げ。グリーンは縦長で幅があまりないことから、バンカーに入れてしまうと高く打ち上げて止まるバンカーショットを強いられる。乗せる自信がなければ1打目はグリーン手前の部分に落としてアプローチという攻め方が現実的か。

16番ホール/207・185・162ヤード/パー3(REDAN)

16番ホール/207・185・162ヤード/パー3(REDAN)
午後はややアゲインストの風が吹き、気持ち大きめで打った。グリーンの傾斜が思いのほか強く、グリーンのエプロンに落ちたボールはかなり左へ弾み転がってしまった。このことからピンの位置によって難易度はかなり増すと思われる。もちろんアプローチも難しい。考えて攻めたつもりだったが、難しさを痛感させられたホールだった。