初代「MCI」が発売したのは2012年。それから13年の時を経て2025年7月、NEW「MCI」が誕生した。果たしてどんな進化を遂げたのか? 全国から問い合わせが殺到するという知る人ぞ知る人、人気ショップ「ゴルフステージ成城」のクラブナビゲーター吉田朋広氏が前編・後編に分けて徹底検証・解説する。

フジクラNEW「MCI」80、90、100gを徹底検証

先週に引き続き、今回は7月10日発売のフジクラNEW「MCI」の中から、特に人気の高い80g、90g、100gのモデルを検証します。

新しい「MCI」は、発売から約1カ月で2万5000本以上の大ヒットを記録しています。今回取り上げる80g、90g、100gの3つの重量帯は、「MCI」全体の販売の半分を占めるほど注目されており、特にスチールシャフトからのリシャフトを考えるゴルファーにとって、見逃せないモデルです。早速、その性能を詳しく見ていきましょう。

画像: NEW「MCI」

NEW「MCI」

シャフトスペック

NEW「MCI」の80、90、100モデルのスペックは以下の通りです。

モデル重量 (グラム)トルク調子シャフト振動数 (CPM)
80R841.8中調子280
80S861.8中調子296
90R941.7中調子287
90S961.7中調子301
100R1041.5中調子296
100S1061.5中調子311

テストクラブ:EPON AF507 7番アイアン使用 (シャフト振動数はゴルフステージ成城調べ)

個別モデル試打レビュー:重い重量帯の新たな可能性

MCI 80

80R
NEW「MCI」で最も出荷数の多い80g台のRフレックス。ワッグルではわずかに先端の動きを感じますが、スウィング中は非常に穏やかな挙動です。手元のしなりが切り返しのタイミングを取りやすくし、しなやかに振り抜けます。「MCI」は80g台から先端に金属管を使用していますが、その剛性は過度ではなく、先端がボールを捉えることで、重厚なインパクトを生み出します。ボールの高さも十分に得られ、グリーンを上から狙えます。切り返しのスムーズさが心地よく、シャフトの重さが合えばヘッドスピードに関わらず使用できるでしょう。

80S
NEW「MCI」で最も売れているモデルです。Rフレックスよりも手元の剛性が高まり、確かな手応えがあります。トルク1.8で潰れる感覚がなく、切り返しのレスポンスも良好。中間部まで剛性感が続き、先端が動いてインパクト付近でスピード感が加わるすっきりとした振り心地です。スピード感がありつつもボールを捉え、薄いインパクトになることはありません。高弾道で方向性も安定しており、力強く打ち込むタイプのゴルファーにも満足感を与えます。「MCI」の特長を存分に体感できる一本です。

画像: NEW「MCI」それぞれの重量帯

NEW「MCI」それぞれの重量帯

MCI 90

90R

80Rより10g重くなりますが、フィーリングは似ています。手元がしなるシャフトが合う方には、切り返しのタイミングを取りやすいでしょう。スムーズな切り返しから生まれる穏やかなシャフト挙動は、インパクトを容易にし、重厚なインパクトを実現。オートマチックにボールを捉えるので、無理に操作する必要がなく、アイアンショットがシンプルになります。手元で「間」を取るスウィングタイプの方におすすめです。

90S

シャフト振動数は301CPMと、手元の剛性が一気に向上します。バット径も太めに感じるかもしれません。手元から中間、先端へと一貫した剛性感があり、先端の動きは控えめ。インパクトエリアでは直線的なスピード感のあるシャフト挙動です。手元の剛性が高いと切り返しでタイミングが取りにくく感じる場合があるため、ご自身のスウィングに合うかが重要です。トルク1.7で潰れやねじれを感じず、手元が硬めのフィーリングを好む方や、ご自身でインパクトを作りに行ける方に、頼りなさを感じさせない心地よい振りやすさを提供します。

MCI 100

100R

NEW「MCI」で最も重いシャフトであり、Rフレックスは今回初登場です。104gと「ずっしり」とした重さが手元にありますが、Rフレックスらしくダウンスウィングの切り返しで「間」が取りやすいモデル。シャフトの重さを活かしたタイミングの取りやすさがあり、重いシャフトのほうが切り返しをしやすい方に良いでしょう。先端の剛性も過度に硬くなく、インパクトはシャフト重量のイメージ通り重厚で、ボールがフェースに吸い付くように捉えられます。Rフレックスでもボールのつかまりすぎはなく、十分なバックスピンでターゲットを狙えます。重くてしなやかな100Rならではの独自のフィーリングは、きっと新しい発見をもたらすはずです。

100S

NEW「MCI」で最も重く硬いフレックスです。シャフト振動数は311CPMで、手元の剛性が高く潰れにくいため、切り返しにはある程度のパワーが必要となります。硬さがありながらも十分な重量があるため、棒のようなハードさはありません。切り返しができれば振りやすさも感じますが、中間から先端の剛性も高いため、力強く打ち込めないとボールの高さが出にくい可能性があります。重く硬いカーボンシャフトは、同重量のスチールシャフトとは異なる独自のフィーリングを生み出します。しなりが少ないシャフト挙動は、パワーのある方にはオートマチックな感覚を与えるでしょう。110g以上のスチールシャフトを使っている方に試していただきたいモデルです。

番手ずらしで、さらに細かなフィーリング調整を

NEW「MCI」は、各重量帯にRとSの番手別設計がされていますが、さらにフィーリングを微調整したい方のために「番手ずらし」も検証しました。今回は最も売れている80Sで試しています。

番手ずらしとは、例えば7番アイアンのヘッドに6番アイアン用シャフトを入れると軟らかくなり、8番アイアン用シャフトを入れると硬くなるなど、フレックスフィーリングを変化させることに画できることを言います。

番手ずらしとは?

番手ずらしとは、例えば7番アイアンのヘッドに6番アイアン用シャフトを入れると軟らかくなり、8番アイアン用シャフトを入れると硬くなるなど、フレックスフィーリングを変化させることに画できることを言います。

シャフト振動数の変化 (80S)

・標準 : 296CPM
・6番アイアン用装着 : 291CPM (軟らかい)
・8番アイアン用装着 : 300CPM (硬い)

◆軟らかい方向への番手ずらし (80S 6番アイアン用装着)
手元にしなりが加わり、よりスムーズな切り返しが可能になります。弾道も標準より高くなる印象です。手元にしなりや粘りを感じたい方、ダウンスウィングで「間」を取りたい方におすすめです。

◆硬い方向への逆番手ずらし (80S 8番アイアン用装着)
手元の強さがアップし、先端の動きも抑えられてシャープさが増し、スピード感が向上します。硬いシャフトで切り返しやすく、ご自身でインパクトを作りに行きたい方におすすめです。

NEW「MCI」と「TRAVIL」の違い:最適な1本を選ぶために

フジクラからは、もう一つの人気アイアンシャフト「TRAVIL」(トラヴィル)も販売されています。「MCI」の80g、90g、100gと重量帯が重なるため、どちらを選ぶか迷う方もいらっしゃるでしょう。

MCI 80S vs TRAVIL 85S (7番アイアン)

・MCI 80S: 86g、トルク1.8、シャフト振動数296CPM (37.25インチ)
・TRAVIL 85S: 88g、トルク2.7、シャフト振動数287CPM (37インチ)

最大の違いは、シャフトが持つフィーリングです。両者は開発コンセプトが異なり、それぞれに特長があります。先端径は近いですが、剛性設計が違います。「TRAVIL」は先端剛性が高く、ハードヒットを想定した設計。中元調子で切り返しのしなりを感じやすく、ご自身のスウィングでシャフトをコントロールしやすい設計です。シャフト全長にラバー材を使用しているため、「もっちり」とした独特のフィーリングが特徴です。

一方、「MCI」は「TRAVIL」より手元側に剛性感があり、切り返しからスムーズに動きます。先端剛性は「TRAVIL」ほど強固ではなく、先端の動きがボールの拾いやすさを感じさせます。オートマチックなカーボンシャフトらしさは「MCI」に強く感じられるでしょう。

「落下角度」に特化した「TRAVIL」と、バックスピン量向上を狙った「MCI」。どちらもグリーンでボールを止める性能は兼ね備えています。最適な一本を選ぶには、ご自身が求めるアイアンショットの弾道イメージと、それぞれのシャフトが持つフィーリングのどちらが合うかを試打で比較することが大切です。

画像: NEW「MCI」80グラム台

NEW「MCI」80グラム台

まとめ

NEW「MCI」の80g、90g、100gモデルは、初代の優れた「しなり」と「操作性」を受け継ぎながら、最新技術でさらに進化を遂げた、非常に完成度の高いシャフトです。特に、ヘッドスピード向上に貢献する「DHX」テクノロジーや、最適な「落下角」のノウハウが組み込まれている点が強みです。

ぜひ、お近くのゴルフショップでこの革新的なNEW「MCI」を試打して、ご自身のアイアンショットがどのように変わるか、体感してみてください。

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