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“使いすぎ”な手や腕はどう直すべきか?
使いすぎの力、それが手や腕というのはわかったが、この力みはゴルファー永遠のテーマ。どうすれば、使いすぎを直せるのか?
「まずはクラブを速く振ろうとする意識をなくしましょう。ボールを飛ばす方法は、ヘッドスピードアップだけじゃありません。脚のパワーや体の重さを的確にボールに伝えられれば、ボール初速は確実に上がるからです。速く振ろうという意識がなくなるだけで、手や腕の力みは抑えられるはずです。ただ、この意識だけでは不十分です。そこで重要なのが、手や腕の筋肉をできるだけ使わなくて済む状態を作ることです」
筋肉を使わないようにする。そんなことが可能なのか?
「筋肉ではなく、骨でクラブを支えられる状態にすればいいんです。そのコツが手や腕を体の正面にキープすることです。体の中心と手元がつながった状態が保てれば、筋肉は最小限の使用で済みます。姿勢よく立てれば、それほど疲れませんよね? それと同じでムダな力みをなくせるわけです。逆に言えば、腕の力を使うほど、手元と体はズレていきます。そうなれば、骨で支えられませんから、どんどん力感が強くなっていくという悪循環になります。これはクラブを速く振ろうとするときも同じです。腕を振るスピードが増すほど、体の正面から手元が外れていくからです。手や腕はスピードを出すために使うのではなく、体とクラブのつながりを保つために使うのが正解なんです。この感覚がわかると手や腕の力感は、ほとんど感じなくなります」
手や腕は体の正面にキープ。レッスンでは定番のキーワードだが、具体的にどうすれば、手元を体の正面にキープできるのか?
「最大のネックはひじにあります。ひじが曲がったり、動くほど、手元は体から離れていきます。そこで意識してほしいのが手首です。手首をいっぱい動かせば、ひじは動かなくなります。アマチュアは手首が上手く使えないからひじを使ってしまうんです。手首を自在に動かせれば、手元は体の正面のまま、ヘッドを大きく動かせます。これが手や腕の力をなくしていく最大のポイントです。リストワークこそが、使いすぎを防ぐカギになります」
手や腕が力む理由
速く振ろうとすると腕の筋肉が反応する
Check① グリップを強く握るほど手首が固まり力感が増す
「クラブを速く振ろうとすると手に力が入ります。手上げや手打ちになれば手首が固まり、その結果、ひじが曲がります。これでは力感は強くなる一方です。速く振る意識は必要ありません」

手首が固まる
Check② ひじが曲がるスウィングでは強い力感は抑えられない
「力みと緩みの関係と同じで、どこかが固まると、どこかが動きすぎます。手や手首に力が入るほど、ひじが動き、力感はさらに増します。ひじはできるだけ使わない工夫が必要です」

ひじは使わない
【試してみよう】インパクトバッグを打てばわかる
手元が先行する人は手や腕を使いすぎ!
「手や腕の使いすぎは、インパクトバッグを打つとわかります。手元が先行してグリップエンドが流れる人は使いすぎです。グリップエンドはターゲットとは逆方向に動くのが正解で力も伝わります」

グリップエンドが流れるとうまく力を伝えられない
手や腕の力みをなくす方法
手や腕は体の正面にキープ。筋肉ではなく“骨”を使う
「手元が体の正面にあれば、筋肉ではなく骨が使えます。胸の前でヘッドを構え、誰かにヘッドを押してもらうとき、手元が体の幅から外れると筋肉を使いますが、手元が体の幅の中にあれば筋肉は使いません。これが力みをなくすコツです」

手元が体の幅にあるのは〇、反対に手元が体から外れるのは×
方法① 手首をいっぱい使う
「手首をいっぱい動かすほど、ひじは使わずに済みますし、手元が体の正面から外れることもありません。手首が自在に扱えれば、それだけでヘッドの運動量も増します」
方法② グリップエンドを動かす
「リストワークは、グリップエンドを意識します。ポイントは右手を支点に左手を使うこと。そうすれば、グリップエンドをコントロールできます。右手は動かしません」

手首とグリップエンドを動かす
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PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/サザンヤードCC
※週刊ゴルフダイジェスト9月2日号より一部抜粋