▶「90切り」を目指す人、必見! プロが教える“ボールがつかまらない”ワケと「フェースターン」の正体

解説/武田登行プロ
豊富なアマチュアの指導経験を持ち、理論的なレッスンには定評があるスウィング研究家。JGTOツアープレーヤーでもあり、スウィングメカニズムのスペシャリスト。松原ゴルフアカデミーヘッドプロ。
ヘッドの重心を使えばロフトが起きる
トウを動かすフェースターンでボールをつかまえるが、『フェースを返す』動きでは、ミスが出やすいと言う武田プロ。
「左手を止めて右手が追い越すフェースターンは、インパクトが不安定で引っかけが出る可能性も。そこで今回意識したいのが『ロフトを起こす』です」
トウが動けばフェースはかぶることになり、ロフトは立つはず。その動きとは違うのか?
「フェースを返す動きだとフェースターンが大きすぎるんです。だから意識としてはロフトを起こすがちょうどいいです。トウを動かすフェースターンは使うけれど、その開閉量はできるだけ少なくしたいのです。大切なのはヘッドの重心がシャフト軸線上に重なることです。少しフェースがかぶった状態です。片手でつまむようにグリップエンドを持ってクラブを持ち上げるとヘッドの重心は、シャフト軸線上まで動きます。つまりフェースがやや閉じるんです。この重心による自然な動きを利
用するわけです。
スウィングの流れで説明しましょう。ハーフウェイダウンでは手元を低い位置に保ちます。そこからインパクトにかけてグリップエンドを持ち上げるとヘッドの重心がシャフト軸線上に重なろうとします。これがロフトを起こす動きです。このつかまえ方がわかるとインパクトが分厚くなるだけでなく、再現性が驚くほど上がるんです」

「フェースを返す」ではなく「ロフトを起こす」インパクト
ポイント①入射角が緩やかに
グリップエンドは低い位置から上がる
「ハーフウェイダウンでは手元はできるだけ低く保ちます。この状態からインパクトに向かってグリップエンドを持ち上げていく流れです。グリップが低い位置から高く上がると入射角も緩やかになります」

左右の肩がタテに入れ替わる
ポイント②トウがヒールを追い越しロフトが起きる
ヘッドの重心がシャフト線上に重なる
「グリップエンドを持ち上げることでヘッドの重心は自然にシャフト軸線上まで動きます。トウが動き、フェースがややかぶり、ロフトが起きた状態でインパクトが迎えられます」

左手を小指方向に下げる意識
ポイント③強く押せるから当たりが分厚くなる
インパクトゾーンでヘッドが真っすぐ動く
「左手を右手が追い越すフェースターンは、グリップエンドを軸にヘッドが円軌道を描きます。ですが、グリップエンドを持ち上げるインパクトは、インパクトゾーンでヘッドが真っすぐ動かせます。その結果、ボールを強く押し込めるので、インパクトがどんどん分厚くなるんです」

ボールを押し込む
グリップエンドが体に近づいてインパクトする
「後方から見るとグリップエンドは体の外側から内側に入り、また外側へ動いています。内側に入ったときが、グリップエンドを持ち上げる(体に近づける)インパクトです」

グリップエンドが体に近づいてインパクト
パターマットで簡単&最強ドリル
ロフトを起こすことでボールをつかまえるフェースターンは、すぐにつかめるものでもない。普段からできるドリルはないのか? 武田プロによると、
「ボールをつかまえるのは、どのクラブでも同じですから、パターで練習するのがおすすめです。このとき、わざとトウヒットする打ち方で真っすぐ転がせるか? を試してみてください。多くのアマチュアは右に打ち出してしまうはずです。これはトウを動かすイメージがないからです。当たり負けが原因ですが、トウを動かす意識があるとカップに向かって真っすぐ転がせます。この練習をしておくとトウを動かす意識が自然に持てるようになりますし、ボールのつかまりもよくなります」

パットもボールをつかまえます。
【ドリル①】グリップエンドが下がって上がるストロークならボールがつかまる
「アイアンもパットも打ち方は同じ。グリップエンドが下がるとヘッドが上がり、グリップを持ち上げることでヘッドが下りてきます。入射角が緩やかなのでボールを確実につかまえられます」

グリップエンドを下げて上げる
【ドリル②】トウで構えてトウで打つドリル
「このドリルは、ピン型のようなトウヒールバランス(フェースが開閉するタイプ)のパターで有効です。トウで構えてトウで打つ。簡単そうに見えますが、ほとんどの人は右に打ち出すはず」

トウで打つ
PHOTO/Tadashi Anezaki、Yasuo Masuda
THANKS/松原ゴルフガーデン、サザンヤードCC
※週刊ゴルフダイジェスト9月9日号「ロフトを起こしてボールをつかまえる」より一部抜粋