ゴルファーなら誰もが一度は耳にしたことがある「体の正面で打て」という教え。上達には不可欠だとわかっていても実際にどういうことなのか漠然としか理解できていない方も多いのでは? 月刊ゴルフダイジェスト10月号では、ゴルフ上達の鍵を握る「体の正面で打つ」という言葉の謎を内藤雄士コーチに解説してもらっている。『みんなのゴルフダイジェスト』ではその一部を紹介する。
画像: 「球筋の安定」にも超重要! プロコーチの内藤雄士が解説する「体の正面」で打つメリットと、3つのチェックポイント

内藤雄士

ないとうゆうじ。丸山茂樹の米ツアー3勝を始め、これまで数多くの選手の優勝をサポート。現在は清水大成など、若手男子プロの指導をしている。

球筋の安定に絶対に必要な要素

「体の正面で打つ」とか、「腕(クラブ)が体の正面から外れない」ことには、具体的にどんなメリットがあるのか。

内藤雄士プロによると、「主に軌道が安定することと、強くヒットできることの2つです」とのこと。腕が体の「正面」というのは、言い換えると、動き出しからフィニッシュまで、腕と体との関係性が変わらないということだ。

Q.“体の正面”、いつから言われるようになった?
A.「モダンゴルフがこの言葉を広めたきっかけでしょう」(内藤)

ベン・ホーガンはスウィングを理論で突き詰め、史上最高と称されるスウィングを手に入れた。体の正面で打つという概念をいち早く世に広めた功績は大きい。

「腕と体が一体となって動けば、クラブは当然、毎回同じところに戻ってきやすくなりますし、極端なアウト-イン、イン-アウトにもなりにくいです。正しい軌道が手に入るというわけです。そうするとインパクトで力の入るポジションを作りやすい。なので、しっかりボールに圧を加えられるようになります。また腕と体の関係性が変わらず一体に動けるので、アマチュアに多い『振り遅れ』にならないというのも、最大のメリットと言えるでしょう」

【体の正面で打つメリット①】ボールに圧を加えられる

画像1: 腕と体を一体にして動かすことでインパクト条件が一定になりやすい

腕と体を一体にして動かすことでインパクト条件が一定になりやすい

腕を体の正面に保とうとすると、スウィング中に両わきが適度に締まった状態になる。これにより、インパクトで腰を回したときに自然にヘッドに力が集中する形になり、ボールを押せるようになる。

【体の正面で打つメリット②】再現性が高くなる

画像2: 腕と体を一体にして動かすことでインパクト条件が一定になりやすい

腕と体を一体にして動かすことでインパクト条件が一定になりやすい

腕と体を一体にして動かすことで、手首やひじなどの動きは最小限に抑えられる。フェース面の管理がしやすくなるため、インパクト条件が一定になりやすい。

【体の正面で打つメリット③】振り遅れがなくなる

画像: プレーンから外れると「振り遅れ」が発生しやすい

プレーンから外れると「振り遅れ」が発生しやすい

とくにダウンスウィングで、腕が体の正面に「ない」ということは、「振り遅れ」ということ。腕と体を一体に動かし、インパクトまで体の正面にキープできれば、振り遅れない。

意識するのは「胸」と「腕」の関係性

画像: 同調チェックポイントを意識しよう!

同調チェックポイントを意識しよう!

Q.そもそも…体の正面ってなに?
 
A.胸と腕が同調していること

腕、あるいはクラブを体の正面で維持するには、どんなイメージが必要か。

「いわゆる『両腕の三角形』を、少なくとも腰の高さまではキープして上げることが大事です。もっと細かく言うと、胸、グリップ、ヘッドの関係性を変えずに上げる。胸の動きと腕の動きが『同調』するということが、クラブを正面で扱うということなのです」と、内藤プロ。腰の高さを過ぎると、手首のコック動作、右ひじをたたむ動作が生じるため、アドレスと同じ「三角形」は維持されない。

時代が変わりスウィング理論が進化をしても……
土台になる部分なので基本的にこの考えは変わりません!

コーチングの世界において、現在はバイオメカニクスやクラブの物理などの研究が進み、昔よりはるかに合理的な指導がなされている。それでも、「体の正面で打つ」ということが、スウィング作りの土台にあることは変わらない。

それでも、「手の位置が肩幅の範囲内にあること、右ひじと体との関係性が大きく変わらないことに注意すれば、体の正面をキープできます。テークバック後半はどうしても、胸の回転に対して腕が速くなり、腕と体との距離が近づきやすいので注意してください」。

【同調できている①】右ひじの位置がアドレスから動き過ぎていない

画像: 右肘の位置のずれもチェックポイントだ

右肘の位置のずれもチェックポイントだ

釘を打つ際に、支点となるひじが固定されているほうが、正確に金づちを振り下ろせる。これと同様に、テークバック後半で右ひじをたたむ際、右ひじの位置のずれが小さいほど、インパクトで正確にヘッドを戻すことができる。

【同調できている②】両肩の範囲内に腕がいる

画像: 胸の回転量を超えないことが大切

胸の回転量を超えないことが大切

胸の回転量を超えて手を左右に動かさなければ、スウィングのどの地点においても手が肩幅の範囲から外れることはないはず。逆に言うと、手が肩幅の範囲内に収まっていることが、胸と腕が同調しているかどうかの目安ということ。

【同調できている③】テークバックで左腕と胸の距離が変わらない

画像: 写真右下のように肘が曲がってしまうことも安定しない原因に。フォロー側は右腕と胸の距離感をチェック!

写真右下のように肘が曲がってしまうことも安定しない原因に。フォロー側は右腕と胸の距離感をチェック!

始動の際に胸が回転せずに腕だけを上げる(引く)と、左腕が胸にくっつく。また、テークバック後半で右ひじをたたむ際も、腕だけでクラブを上げようとすると、左腕が胸に近づく。トップまで、胸と左腕の距離感を保つことが「同調」の第一歩。

文/菅原大成 
写真/有原裕晶、アラキシン、姉﨑正 
イラスト/北谷しげひさ
協力/ハイランドセンター、知多CC、ETGA愛知校、川口グリーンゴルフ、東野ジャンボゴルフレンジ

※月刊ゴルフダイジェスト10月号「なぜ体の上面で打つことが大事なのか?」より

===

今回の記事では、内藤雄士コーチに「体の正面で打つ」ことの重要性とそのメリットを解説してもらいました。この基本的な動きを身につけるための具体的な練習法や、トップアマチュアが実践するドリルなど、すぐに試せるヒントをまだまだご紹介!続きは月刊ゴルフダイジェスト10月号、Myゴルフダイジェストにて掲載中!

内藤雄士に関連する記事はこちら!

This article is a sponsored article by
''.