アイアンの基本はダウンブローだと、ゴルファーであれば、誰もが一度は耳にしたことがあるだろう。しかし、年々改良され進化してやさしくなった現代のアイアンにもこの基本は当てはまるのか? 週刊ゴルフダイジェスト9月9日号でギアに詳しいプロに聞いてみた。「みんゴル」では2回に分けてご紹介。【2回中2回目】
 
▶ダウンブロー不要? レベルブローでも飛ばせる現代アイアンの魅力
画像: マッスルバックは難しい?キャビティ・中空との打ち方比較で見えた最新傾向【現代アイアンの正しい打ち方②】

解説●堀越良和
豊富な試打経験に裏打ちされた知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発に携わる、“キング・オブ・試打”。クレアゴルフフィールド所属

ここでは、3つのタイプのアイアンをそれぞれレベルブローとダウンブローで打った場合の比較をしてみた。試打はすべて7番アイアンで実施した。まず、高重心で浅重心、重心距離が短いマッスルバックはどうだろうか。

「基本的にレベルブローでは性能を発揮しにくいクラブです。レベルブローだと、ヒットポイントがフェースの下側になるので、スピンが入らず球が上がりづらくなります。やはり、マッスルバックの場合はダウンブローで打つのが基本ですね。ダウンブローで打った場合、低い打ち出しでしっかりスピンが入ってくれるので、グリーンを狙いやすいです。他の2タイプと比べても小ぶりなヘッドなので、重心距離は短く、操作性が高いので、球を操りながらショットしたい人に向いています」

続いて、低重心で深重心、重心距離が長いキャビティはどうだろうか。

「レベルブローで打った場合、打ち出しが高くなり、しっかりスピンが入りながら、飛距離も出るのでとてもラクに打てます。高さで止めやすくなるので安心してグリーンを狙っていけますね。重心は低くかつ深度も深いので、キャビティの場合、ダウンブローでとらえるとしっかりスピンが入るのですが、パワーヒッターの場合はスピンが入り過ぎて、吹き上がってしまう可能性があるので注意が必要です」

最後に、高重心で深重心、重心距離が長い中空アイアンはどうだろうか。

「レベルブローで打っても、球が上がってくれて飛距離が出ますし、スピンも入ってくれます。ロフトが寝てしまう傾向にあるので、ダウンブローに比べて、飛距離は落ちてしまいますが、大きく見劣りするレベルではないです。むしろ、打ち出しが高くなることで、上からグリーンをキャッチしやすいでしょう。ダウンブローで打った場合も、飛距離は十分でスピンも入ります。中空の場合、オフセンターヒットに強いので、より寛容性が高いと言えるでしょう」

マッスルバック以外の現代アイアンは基本的にレベルブローにも適した設計になっているようだ。

3つのアイアンを打ち比べ

【中空】テーラーメイドP7MB

画像: テーラーメイドP7MB

テーラーメイドP7MB

世界のトッププレーヤーの声をもとに設計されたマッスルバック。コントロール性能を高めるために番手毎にオフセットが設計されている。

ロフトクラブの長さクラブ重量
34°37インチ430g
P7MB

重心が高く、フェース下側でのヒットに弱いので、球が上がりづらく、スピンも入りづらい。ダウンブローでとらえた場合、他のタイプのアイアンと比較するとスピン量が多くなるのがこのタイプの特徴といえるだろう。また、小ぶりなヘッドで重心距離が短く、操作性に優れる。

P7MB入射角打ち出し角スピン量キャリー
レベルブロー-0.2度18.4度4782rpm130.2Y
ダウンブロー-3.2度20.4度6225rpm143.8Y
ガーミンR50で計測し、各5球打った平均値

【キャビティ】テーラーメイドP8CB

画像: テーラーメイドP8CB

テーラーメイドP8CB

8月に発売されたPシリーズの最新モデル。ブレードの長さが80ミリで同シリーズで最も長く、安心感のあるモデルに仕上がったキャビティアイアン。

ロフトクラブの長さクラブ重量
30°37インチ418g
P8CB
P8CB入射角打ち出し角スピン量キャリー
レベルブロー-0.1度22.2度5788rpm145.4Y
ダウンブロー-2.7度20.2度6028rpm147.8Y
ガーミンR50で計測し、各5球打った平均値

【マッスルバックプロキャビティ】テーラーメイドP790

画像: テーラーメイドP790

テーラーメイドP790

見た目とやさしさを両立した中空アイアン。今年発売のこちらのモデルは前作の同モデルと比べて24%スイートエリアが拡大し、寛容性が増した。

ロフトクラブの長さクラブ重量
30°37インチ422g
P790

ダウンブローに比べて、飛距離は落ちるが、レベルブローでもその差はキャリーで約6ヤード。レベルブローのほうが打ち出しが高く、ダウンブローでとらえるのが難しいゴルファーには安心してグリーンを狙えるだろう。重心距離が長い傾向があり、方向性の安定しやすい。

P790入射角打ち出し角スピン量キャリー
レベルブロー-0.2度23.0度5764rpm143.4Y
ダウンブロー-2.6度20.0度5942rpm149.8Y
ガーミンR50で計測し、各5球打った平均値

レベルブローには向かないライがあるので注意!

クロスバンカー
グリーンまで距離が残るクロスバンカーはレベルブローだとボールに砂がコンタクトする際に邪魔になり、大幅な飛距離ロスになるため、ダウンブローでとらえる必要がある。

画像: クロスバンカー

クロスバンカー

ディボット跡
ディボット跡からのショットの場合、レベルブローだと手前からスクエアな軌道でクラブが入るスペースがないため、上から打ち込んでコンタクトする必要がある。

画像: 上からとらえたい

上からとらえたい

洋芝
洋芝の場合、芝が柔らかく、ボールがやや沈む。また、芝質に粘り気があり、レベルブローだと芝に引っかかりミスを誘発するため、ダウンブローで打つのが望ましい。

画像: 洋芝は芝に引っ掛かりやすい

洋芝は芝に引っ掛かりやすい

左足下がり
左足下がりの場合、ボールの右側が高くなるため、レベルブローでボールにコンタクトしようとするとダフリやすくなる。ダウンブローで打つことでクリーンにヒットできる。

画像: 右側が高い時はNG

右側が高い時はNG

PHOTO/ Yasuo Masuda 
THANKS /クレアゴルフフィールド
※週刊ゴルフダイジェスト9月9日号「現代アイアンの正しい打ち方」より一部抜粋

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