解説&試打
堀越良和プロ
週刊ゴルフダイジェストやみんなのゴルフダイジェストの試打企画でおなじみの“キング・オブ・試打”。ドライバーからパターまであらゆるクラブを試打するスペシャリスト。TPIレベル3を習得。
※試打はラプソードMLM2プロでデータ計測。ミスヒットを除く5球の平均値。
ボールを止めるための条件は2つ
現在、アイアンのストロングロフト化は当たり前になりつつある。7番でロフト30度以下のモデルのほうが圧倒的に多いからだ。だが、小誌で長年、ニューモデルの試打を行ってきたスペシャリストの堀越良和プロに聞くと、「どんなクラブにおいても飛距離は大切な要素のひとつです。ただ、アイアンに求められる機能は何か? そこをちゃんと理解しているアマチュアは少ないです。アイアンはグリーンに乗せる、ピンを狙うクラブです。そこで求められる条件は“いかにボールを止められるか”しかないんです」
グリーン上でボールを止めるアイアンの条件とは何か?「大きく2つあります。ひとつは落下角です。ボールが着弾するときの角度ですが、45度以上が目安になります。もうひとつがスピン量です。7番で考えれば、5500回転以上はほしいです。ひと昔前は7番で7000、8番で8000といった基準がありましたが、今はボールの進化もあり、少し少なくても問題ありません」
▼アイアンに求められる条件
「7番ならワンバウンドで止められるモデルが理想」
「アイアンに求められる条件は落下角45度以上、スピン量5500回転以上の2つ。7番で考えるならグリーン上でワンバウンドして止まるイメージです。45度以下だと2、3バウンドするはずです」(堀越プロ・以下同)
▶条件①:落下角度は45度以上
▶条件②:スピン量5500回転以上
アイアンと同様、グリーンに乗せる、ピンを狙うクラブといえば、ウェッジもそうだが、ボールを止める要素はアイアンと同じなのか?
「ウェッジはスピン量のほうが影響は大きいです。ですので、ウェッジはスピン量に注目すべきです。一方、アイアンは落下角、スピン量が半々で必要です。アイアンにおけるスピン量は、落下角を作る(ボールが高く上がる)要因でもあり、両方の要素を満たせるかどうか、そこがアイアン選びの大きなポイントになります。スピン量はロフトの影響が大きいです。だからこそ、プロや上級者は7番でロフト30度以上のアイアンを使うのです。ストロングロフトは当然、飛距離が出ますが、必要な落下角やスピン量を得られない可能性があります。7番で届かなければ、6番を使えばいいだけです。プロや上級者はそう考えます。アイアンは飛距離より、いかにグリーン上で止められるか、そこが最も重要なんです」
ロフト30度以上のアイアンの特徴
「ミスに対する許容性と操作性のバランスの良さ」
「ロフト30度以上のアイアンはプロや上級者を意識しています。プロが求める操作性のよさ、中・上級者に必要な許容性をバランスよく融合したモデルで小ぶりなヘッド、シャープなソールなどが大きな特徴でしょう」
①ロフト30度以上▶ボールが上がる
②小ぶりヘッド▶重心距離は短め
③ソール幅は狭め▶抜けのよさ
試打結果の一部を公開 !
「P7CBは落下角、スピン量ともに安定」(堀越プロ)
▼テーラーメイド P770
モデルの特徴
操作性と許容性を両立した軟鉄中空構造モデル。各番手別に必要なスピン量と弾道を最適化し、独自の充填剤SPEEDFOAMAIRを搭載。打感と打音を向上させている。
ミスの許容性が高く機能性も十分
「中空構造なので芯が広めな感じがあり、ミスに対する許容性の高さを感じました。弾道のバラつきも少ないです。P7CBと同様、ヘッドがすっきりしていて非常に構えやすく、落下角、スピン量も十分です。飛距離もしっかり出ています」
「APEX Tiフュージョンは黒で構えやすい」(堀越プロ)
▼キャロウェイ APEX Ai200
モデルの特徴
21年のAPEXの後継でAPEXプロに近いデザインの中空構造。今作はAiスマートフェースを採用し、スピン量と打ち出しが最適化され、前作以上のボール初速を実現した。
機能性があって飛距離性能も高い
「構えたときが特徴的で包み込むような感じがあり、グースっぽさがあります。ボールがつかまりそうです。ロフト30度ですが、球は上がります。もう少しスピン量はほしいところ。アイアンの機能を維持しつつ、飛距離性能が高いです」
「241CBは打感がよくて操作性も高い」(堀越プロ)
▼ブリヂストン 242CB+
モデルの特徴
セミラージサイズの軟鉄鍛造キャビティ。241CBをベースに安心感とやさしさをプラスしたモデル。リブ+インナーポケット構造を採用し、許容性と安定性を高めている。
ヘッドがやや面長で許容性が高い
「241CBと比べるとわかりますが(右下写真)、ヘッド長がやや面長です。重心距離が少し長めですが、構えづらさはありません。操作性よりミスをカバーしてくれる許容性が高い印象です。弾き感のある打感で、ボール初速は速いです」
「JPX925フォージドの打感は“重やわ”。 241CBは打感がよくて操作性も高い」(堀越プロ)
▼ミズノ JPX925ホットメタルHL
モデルの特徴
JPX925シリーズの中で最もボールが上がりやすいモデル。ソール下部にタングステンウェイトを配置し、低重心・深重心を実現した高弾道が打ちやすいデザイン。
オートマチックさはカーボンシャフトが合う
「ボールがつかまる、上がる印象が強いです。操作性というより、オートマチックに打てる、やさしさを感じました。スピン量も落下角も十分すぎるデータが出ています。許容性が高く、カーボンシャフトとの相性がよさそうです」
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キング・オブ・試打の堀越良和が『テーラーメイド』『キャロウェイ』『ミズノ』『ブリヂストン』大手メーカー4社の最新アイアンを試打する。それぞれに合った特徴と肝心な “2つの条件” は果たして…!! 試打の結果は週刊ゴルフダイジェスト10月8日号、Myゴルフダイジェストにて掲載中。
THANKS/クレアゴルフフィールド
※週刊ゴルフダイジェスト10月8日号から一部抜粋