
解説/伊丹大介プロ
1976年生まれ。宮城県出身。名門・東北福祉大学を経て2004年にプロ入り。関東を中心にレッスン活動を展開。クラブにも造詣が深く、練習器具やシャフトの開発にも携わる。ジュニア育成、ゴルフの普及活動なども精力的に行っている
ショットの成否はアライメントで決まる
クラブの特性やマネジメントに詳しい伊丹大介プロは、アライメントの重要性をこう語る。
「ターゲットに対して向きを合わせる。このアライメントは、ショットの成否を決める大切な要素です。ツアー中継でもプロがアライメントスティックを使って練習しているシーンを見たことがあると思いますが、それだけアライメントが重要だと考えているからです。一方、アマチュアはどうか? 多くのアマチュアはアライメントを意識していませんし、フェース面をターゲットに向けるくらいしかしていないはずです。それでは、思い描いたショットを打つことはできません。ターゲットを逃さないためにはアライメントが不可欠ですが、アマチュアはその意識が間違っているんです」

「注目すべきは体ではなくヘッドです! 」
アマチュアはアライメントをどう認識しているのか?
「多くのアマチュアは、アライメント=体の向きだと考えています。アドレスするとき、つま先のラインや肩のラインをターゲットに合わせようとしていませんか? これではターゲットを狙っていることにはなりません。なぜならボールを遠くへ運ぶのは、クラブヘッドだからです。つまりヘッドを合わせることが最重要なわけです。アライメントは体を合わせるのではなく、ヘッドを合わせること。ここを理解しないと正しいアライメントは身につきません」

S・シェフラー
●プロはみんなアライメントを意識した練習をしている
世界ランク1位S・シェフラー
世界ランク1位、世界最強のゴルファーもアライメントスティックを使って練習している。こういった光景はツアーでは当たり前のものだ。だが、アマチュアはクラブすら置かないはず。
アライメントを考える「3ステップ」
ステップ①アライメントは2種類
ヘッドを合わせればショットの精度が上がる!
∟ショットの成功率は「ヘッドを合わせる」が80%、「体の向きを合わせる」が20%
「アライメントはヘッドの向きと体の向きの2種類があり、ショットの成功率で考えれば、ヘッドの向きが80%を占めるくらい重要です。逆に言えば、体の向きはそれほど影響しないんです」(伊丹プロ・以下同)
ステップ②ヘッドを合わせる3つのキーワード
フェースの向きだけじゃない
∟フェースの向き、ロフト角、ライ角が重要
「ヘッドを合わせるというとフェースの向きをイメージしますが、ロフト角やライ角も大きく影響します。つまりターゲットに対してヘッドを合わせたときの“ヘッドの据わり”がアライメントの正体なんです」

大事なのはヘッドの据わり
ステップ③体の向きはどうすればいいか?
ヘッドの据わりが決まれば体の向きも決まる
「アライメントはヘッドの据わりで作ります。そしてそのヘッドのフェース面、ロフト角、ライ角によって体の向きも決まります。つまりヘッドの据わりが決まれば、体は勝手に整うんです。体の向きは意識しなくてもいいくらいです」

アマチュアは足のラインや体の向きを気にしすぎ
アライメント術①ドライバー編
アライメントはヘッドの据わりで決まると語る伊丹プロ。では、ドライバーショットにおけるヘッドの合わせ方とは?
「ヘッドを合わせるアライメントでは、ドライバーが最もわかりやすいです。その理由はティーアップして打つからです。ある程度、一定の条件でヘッドを合わせられるため、動作や流れは覚えやすいでしょう。
まずはボール後方から球筋をイメージします。これはすべてのショットで不可欠な工程で、球筋のイメージがなければ、ターゲットも作れないからです。球筋を決めたらクラブを右手で持ち、ヘッドを合わせていきます。右手なら半身で入っていけるので、ターゲットを見ながらヘッドをセットしやすくなります。右手でヘッドを合わせたら、ヘッドの据わりに対して体の向きを整えます。そしてヘッドの軌道や入射角をイメージし、再びターゲットを確認し、足踏みやワッグルをしながら最後の調整です。この流れでアライメントが作れれば、ショットの成功率は飛躍的に上がるはずです。
アマチュアはそもそもヘッドを意識していませんが、プロや上級者はヘッドにしか意識がありません。ツアー中継を見ればわかりますが、プロのヘッドは上下左右にせわしなく動きます。これがヘッドに意識がある証しなんです」

「右手で持って入りターゲットに対してヘッドを合わせる」
アライメントの「4つのルーティン」
ルーティン①
ボール後方から球筋を決める
「右からドロー、左からフェードなど、球筋は必ずボール後方でイメージします。これはパットでも同じです。頭の中で描く弾道のイメージは、ターゲットに体が正対しないと作れないからです」

後方から見る
ルーティン②
右手でクラブを持ちヘッドを合わせる
「ボール後方から右手でクラブを持ち、球筋のイメージに合わせてヘッドを置きます。右手なら半身になれるのでターゲットを見ながら合わせられます。両手でヘッドをセットするプロもいます」

両手でヘッドを合わせるのもアリ
ルーティン③
ヘッドの入射角や軌道をイメージ
「ヘッドの据わりに対して体の向き(つま先や肩のライン)を整えます。そして軌道や入射角をイメージ。低く抑えた球を打つのか? アッパーで高さを出すのか? そういったイメージを明確にします」

軌道や入射角をイメージ
ルーティン④
ワッグルしながら最後の微調整
「ヘッドの据わりが決まったら、再びターゲットを確認し、足踏みやワッグルで微調整します。球筋のイメージが消えないうちにアドレス、スウィングへと移行します。あまり時間はかけないように」

足踏みやワッグルで微調整
ティーアップの位置は?
持ち球や状況で考えよ
「ティーイングエリアはフラットとは限りません。傾斜を考慮したうえで持ち球をベースにティーアップする位置を決めます。スライス系なら右端を使えば、フェアウェイが広く使えるはずです」

持ち球をベースにティーアップ
体ではなくヘッドに集中
一流のプロほどヘッドがよく動く
「トッププロほど、ヘッドが小刻みによく動きます。それだけヘッドに意識があるからです。ヘッドの据わりがいいとプロがコメントする場合、アライメントが取りやすい、という意味でもあるんです」

ドロー系なら左端フェード系なら右端
▶「右OBを消す」方法も!? 伊丹大介プロが教えるアイアン&ウェッジの“アライメント術”
PHOTO/Yasuo Masuda、Yoshihiro Iwamoto
THANKS/取手桜が丘GC
※週刊ゴルフダイジェスト9月16日号「アライメント術」より一部抜粋