ゴルフは「ターゲットスポーツ」と言われる。クラブを操り、ボールをターゲットへ運ぶことでスコアを作っていくからだが、これがアマチュアには難しい。そこで必要になるのが「アライメント」だ。ターゲットに対して向きを合わせる。このシンプルな動作にスコアメイクのカギがある。だが、プロとアマチュアではそもそも考え方が大きく異なるという。週刊ゴルフダイジェスト9月16日号ではアライメントの極意を教えてくれている。「みんゴル」では2回に分けてご紹介。【2回中1回目】
画像: アマチュアは「体の向き」を気にしすぎ! プロが意識する“アライメント”の極意とは?【アライメント術①】

解説/伊丹大介プロ
1976年生まれ。宮城県出身。名門・東北福祉大学を経て2004年にプロ入り。関東を中心にレッスン活動を展開。クラブにも造詣が深く、練習器具やシャフトの開発にも携わる。ジュニア育成、ゴルフの普及活動なども精力的に行っている

ショットの成否はアライメントで決まる

クラブの特性やマネジメントに詳しい伊丹大介プロは、アライメントの重要性をこう語る。

「ターゲットに対して向きを合わせる。このアライメントは、ショットの成否を決める大切な要素です。ツアー中継でもプロがアライメントスティックを使って練習しているシーンを見たことがあると思いますが、それだけアライメントが重要だと考えているからです。一方、アマチュアはどうか? 多くのアマチュアはアライメントを意識していませんし、フェース面をターゲットに向けるくらいしかしていないはずです。それでは、思い描いたショットを打つことはできません。ターゲットを逃さないためにはアライメントが不可欠ですが、アマチュアはその意識が間違っているんです」

画像: 「注目すべきは体ではなくヘッドです! 」

「注目すべきは体ではなくヘッドです! 」

アマチュアはアライメントをどう認識しているのか?

「多くのアマチュアは、アライメント=体の向きだと考えています。アドレスするとき、つま先のラインや肩のラインをターゲットに合わせようとしていませんか? これではターゲットを狙っていることにはなりません。なぜならボールを遠くへ運ぶのは、クラブヘッドだからです。つまりヘッドを合わせることが最重要なわけです。アライメントは体を合わせるのではなく、ヘッドを合わせること。ここを理解しないと正しいアライメントは身につきません」

画像: S・シェフラー

S・シェフラー

●プロはみんなアライメントを意識した練習をしている

世界ランク1位S・シェフラー

世界ランク1位、世界最強のゴルファーもアライメントスティックを使って練習している。こういった光景はツアーでは当たり前のものだ。だが、アマチュアはクラブすら置かないはず。

アライメントを考える「3ステップ」

ステップ①アライメントは2種類
ヘッドを合わせればショットの精度が上がる!
 ∟ショットの成功率は「ヘッドを合わせる」が80%、「体の向きを合わせる」が20%
「アライメントはヘッドの向きと体の向きの2種類があり、ショットの成功率で考えれば、ヘッドの向きが80%を占めるくらい重要です。逆に言えば、体の向きはそれほど影響しないんです」(伊丹プロ・以下同)

ステップ②ヘッドを合わせる3つのキーワード
フェースの向きだけじゃない
 ∟フェースの向き、ロフト角、ライ角が重要
「ヘッドを合わせるというとフェースの向きをイメージしますが、ロフト角やライ角も大きく影響します。つまりターゲットに対してヘッドを合わせたときの“ヘッドの据わり”がアライメントの正体なんです」

画像: 大事なのはヘッドの据わり

大事なのはヘッドの据わり

ステップ③体の向きはどうすればいいか?
ヘッドの据わりが決まれば体の向きも決まる
「アライメントはヘッドの据わりで作ります。そしてそのヘッドのフェース面、ロフト角、ライ角によって体の向きも決まります。つまりヘッドの据わりが決まれば、体は勝手に整うんです。体の向きは意識しなくてもいいくらいです」

画像: アマチュアは足のラインや体の向きを気にしすぎ

アマチュアは足のラインや体の向きを気にしすぎ

アライメント術①ドライバー編

アライメントはヘッドの据わりで決まると語る伊丹プロ。では、ドライバーショットにおけるヘッドの合わせ方とは?

「ヘッドを合わせるアライメントでは、ドライバーが最もわかりやすいです。その理由はティーアップして打つからです。ある程度、一定の条件でヘッドを合わせられるため、動作や流れは覚えやすいでしょう。
 
まずはボール後方から球筋をイメージします。これはすべてのショットで不可欠な工程で、球筋のイメージがなければ、ターゲットも作れないからです。球筋を決めたらクラブを右手で持ち、ヘッドを合わせていきます。右手なら半身で入っていけるので、ターゲットを見ながらヘッドをセットしやすくなります。右手でヘッドを合わせたら、ヘッドの据わりに対して体の向きを整えます。そしてヘッドの軌道や入射角をイメージし、再びターゲットを確認し、足踏みやワッグルをしながら最後の調整です。この流れでアライメントが作れれば、ショットの成功率は飛躍的に上がるはずです。
 
アマチュアはそもそもヘッドを意識していませんが、プロや上級者はヘッドにしか意識がありません。ツアー中継を見ればわかりますが、プロのヘッドは上下左右にせわしなく動きます。これがヘッドに意識がある証しなんです」

画像: 「右手で持って入りターゲットに対してヘッドを合わせる」

「右手で持って入りターゲットに対してヘッドを合わせる」

アライメントの「4つのルーティン」

ルーティン①
ボール後方から球筋を決める
「右からドロー、左からフェードなど、球筋は必ずボール後方でイメージします。これはパットでも同じです。頭の中で描く弾道のイメージは、ターゲットに体が正対しないと作れないからです」

画像: 後方から見る

後方から見る

ルーティン②
右手でクラブを持ちヘッドを合わせる
「ボール後方から右手でクラブを持ち、球筋のイメージに合わせてヘッドを置きます。右手なら半身になれるのでターゲットを見ながら合わせられます。両手でヘッドをセットするプロもいます」

画像: 両手でヘッドを合わせるのもアリ

両手でヘッドを合わせるのもアリ

ルーティン③
ヘッドの入射角や軌道をイメージ
「ヘッドの据わりに対して体の向き(つま先や肩のライン)を整えます。そして軌道や入射角をイメージ。低く抑えた球を打つのか? アッパーで高さを出すのか? そういったイメージを明確にします」

画像: 軌道や入射角をイメージ

軌道や入射角をイメージ

ルーティン④
ワッグルしながら最後の微調整
「ヘッドの据わりが決まったら、再びターゲットを確認し、足踏みやワッグルで微調整します。球筋のイメージが消えないうちにアドレス、スウィングへと移行します。あまり時間はかけないように」

画像: 足踏みやワッグルで微調整

足踏みやワッグルで微調整

ティーアップの位置は?
持ち球や状況で考えよ
「ティーイングエリアはフラットとは限りません。傾斜を考慮したうえで持ち球をベースにティーアップする位置を決めます。スライス系なら右端を使えば、フェアウェイが広く使えるはずです」

画像: 持ち球をベースにティーアップ

持ち球をベースにティーアップ

体ではなくヘッドに集中
一流のプロほどヘッドがよく動く
「トッププロほど、ヘッドが小刻みによく動きます。それだけヘッドに意識があるからです。ヘッドの据わりがいいとプロがコメントする場合、アライメントが取りやすい、という意味でもあるんです」

画像: ドロー系なら左端フェード系なら右端

ドロー系なら左端フェード系なら右端

▶「右OBを消す」方法も!? 伊丹大介プロが教えるアイアン&ウェッジの“アライメント術”

PHOTO/Yasuo Masuda、Yoshihiro Iwamoto
THANKS/取手桜が丘GC
※週刊ゴルフダイジェスト9月16日号「アライメント術」より一部抜粋

関連記事はこちら

This article is a sponsored article by
''.