
参加者全員で何かポーズを求められ、「両襟を両手で持つポーズ」を。松山英樹も、理由はよくわからずとも笑顔で後輩たちと同じポーズ
予選会のタイトルを見たら一目瞭然、PGAツアーのトッププロ、松山英樹の世界に挑戦できるチャンスをアマチュアにも提供したいという思いから実現した本会。ベイカレントクラシックは78名の限られたフィールドだが、貴重な1枠をアマチュア選手に提供する形だ。
PGAツアーアジア太平洋社長、クリス・リー氏は、「松山選手のアマチュア育成ビジョンについて知り、長期にわたって蜜な協議をして、PGAツアーのアマチュア育成ビジョンとも同じミッションだと思いました。たとえば中島啓太選手は2019年のZOZOチャンピオンシップにギャラリーとして来ていましたが、数年後には大会出場選手になった。そしてさらに数年後には日本のヒーロー松山選手とともにオリンピックの日本代表にも選ばれました。ストーリーとレガシーを生み出すこともPGAツアーの大会の意義なのです」
今回の予選の出場選手は15名、1ラウンド勝負とあって誰にでもチャンスが生まれやすい。本大会と同じ18ホールを使って、学生アマチュアの実力者たちのガチンコ勝負を制したのは日本大学4年の小林大河。31・36の67でラウンドし、1打差で後続を振り切った。

松山英樹が優勝した21年ZOZOチャンピオンシップ。この現場にキャリングボーダーとしていたという小林大河選手。出来過ぎともいうべきストーリーはどこに続くのか、期待が大きい
タイガー・ウッズ由来の名前を持ち、第1回ZOZOチャンピオンシップ(2019年)ではテレビの前で観戦、タイガーの優勝に「感動しました」。そして、西武台千葉高等学校3年時の2021年大会にはボランティアとして参加。偶然にも最終日に松山英樹の組のスコアボードを持ち、“あの”18番ホール(パー5)の伝説のセカンドショットに鳥肌を立たせ、松山のPGAツアー7勝目を間近で見届けたというのだ。「サインボールももらいました。家にあります……たぶん」。
その若者が、来月、松山と同じ舞台で戦う。
この話を聞いた松山は、驚きながらも満面の笑み。想いがつながるから“できすぎ”なストーリーは生まれる。
松山英樹は語る。
「PGAツアーの方に相談したらぜひやろうと言ってくれたので、実際に開催することができて嬉しく思います。10年以上PGAツアーで戦ってきて、年下の選手がなかなか来られない状況が続いていたので、早くこういう大会を開催したいと思っていた。実際に来月一緒の舞台でプレーすることを楽しみにしています。僕は当然優勝を目指して頑張りますし、小林選手も一生懸命頑張って上位を狙っていってほしい」

ベイカレントクラシックの出場が決まった小林大河選手とサプライズで登場した松山英樹
表彰式には松山本人が登場、直接、大きな“キップ”を手渡しされた。
「最近調子が上がって、自分のやりたいスウィングだけ意識してやるようにしたら上手くいった。小さい頃からいずれはアメリカで戦い気持ちがありました」
今大会は「狙っていた」。チャンスをくれた松山に感謝しながら、PGAツアーのトッププロの“オーラ”をもっと感じたい。
「得意なクラブも苦手なクラブもありません。全部均等に得意ですが、あえていうとパターが得意でしょうか。自分のゴルフにフォーカスしてラウンドするようにしています」
今まで経験したことがないような大勢のギャラリーの前でのプレーとなる。
「ブッシュなどがあってあまり日本っぽくないコース。まずセカンドがちゃんと狙える位置にティーショットを打つことが最低限必要だと思うので、しっかり準備していきたい。ギャラリーの皆さんを感動させるようなプレーをすることが目標なので、そういうプレーをたくさんしたいです」
伸び盛りの22歳は夢の「マスターズ優勝」に向けて、レガシーを受け継ぎ、伝えていくためのス新たなタートラインに立った。