
解説/岡田絃希
おかだげんき。千葉県出身で現在は岡山県在住。作陽高校時代、父親の仕事の関係でマレーシアに移住。その後、渡米してPGAツアー3部に挑戦するなど海外での経験豊富な成長株。現在、下部ツアーの『ACNツアー』に参戦中。日本植生所属
ボールが強く飛び出さない準備
GD 通常のアプローチとラフでは打ち方は変えるのですか。
岡田 ラフは芝の抵抗があってボールが飛ばなくなるので、通常のアプローチより振り幅を大きくします。ただ、飛ばすわけではないので振り幅は大きくしますがスタンスは狭いです。大きく振らなさそうな雰囲気の構えをすることがポイントです。
GD どうして飛ばなそうなアドレスにするのですか。
岡田 スタンス幅を広げて振ったら本当に飛ぶから寄らないですよね(笑)。インパクトでラフの抵抗に負けないように大きく振る必要があるけど飛ばしたくない。だから、スタンス幅を狭めることで体の動きに制限をかける必要があるんです。
GD 大きく振らないといけないんですね。
岡田 絶対に避けたいのはインパクトでの緩み。芝の抵抗に負けるとザックリします。そのため、芝の抵抗に負けないように大きく振る必要があります。

ボールが沈んでいても打ち込み禁物!
GD ほかにはありますか。
岡田 もう一つやってほしいのがフェースの開き加減の調整です。フェースは約45度は開いた状態で構えてください。ヘッドに芝が絡みつかないようにするには、インパクトからフォローまでフェースは開いた状態をキープしてほしいからです。そうすると、大きく振っても強く飛び出さないので、フワッと寄せやすくなります。
強い球が出ないアドレスを作る
ポイント①
フェースは開いたままボールの手前にセット
深いラフはヘッドに芝が絡みついてフェースが返りやすくなるので、フェースは必ず開いてセットアップすること。

スウィング中フェースは開きっ放しです!フェースは閉じたらダメ!
ポイント②
約45度フェースを開いてからグリップする
セットアップの時にフェースを45度開いてからグリップを握り直してセットアップ。握り直さないとインパクトでフェースは閉じてしまうので注意。

ポイント③
飛びそうな構え方はNG
芝の抵抗が大きいのでスタンスを広くして大きく振りたくなるが、そうすると体全体で振ってしまうため本当に飛んでしまう。逆に、飛んでしまう意識からインパクトでヘッドスピードを緩めてザックリのミスも出るので要注意。

スタンスは肩幅以内です
“振り幅”は考えない!
岡田 “剛ラフ”だと脱出させることで精いっぱいになりがちですが、距離感もコントロールすることができます。
GD グリーンに乗せるだけで十分だと思っていましたが、どのような方法で距離感を出すのですか。
岡田 ヘッド軌道の最下点は基本的に頭の真下になります。これを利用して、高さを出したいならアドレスで頭の位置をボールより右側、低く出したいならボールの左側にセットします。

深いラフからでも距離感は出せます!
GD 頭の位置をボールの右に置けばアッパー軌道で当たり、頭の位置を左にするとヘッドが上から入ってロフトが立った状態で当たるので低く飛び出すということでしょうか。
岡田 そうです。あとはコックの大きさで距離を打ち分けてください。できるだけ飛ばしたくなければコックをほぼ入れず振り上げ、距離があるときはコックを強く入れてヘッドを大きく動かしてください。ちなみにコックの動きは、親指側に手首を折り曲げてヘッドを上げる感覚で動かせばOKです。
「頭の位置で“高さ”」「コックの大きさで“距離”」で寄せる
少しランを使って寄せたい
頭の位置を左足の上に
頭を左足側にセットするとインパクトでロフトが立つので低く打ち出せる。ピンまで距離があるときは効果的だ。
高さを出して止めたい
頭の位置を右足の上に
ヘッド軌道の最下点をボールの手前に設定すると、ヘッドが上昇軌道でボールをとらえるので高く上げやすい。

ランを使って寄せたい(画像右)、高さを出して止めたい(画像左)
コックの角度で距離の打ち分けをする
ピンまで”近ければ”
コックを“小さく”
距離を出したくないときはコックの動きをあまり使わない。コックの大きさで距離をしっかり打ち分けよう。

コックは小さく
ピンまで“遠ければ”
コックを“大きく”入れる
コックを強く入れることでヘッドが大きく動くので距離を出せる。このとき、体を回転することは意識しない。

コックを大きく
ボールの落とし場所の傾斜を確認
ピンに寄せるには、ボールの落とし場所の傾斜がポイントになる。ラフからは基本的にスピンが入らないので、落とし場所の傾斜によってどのくらい転がるかをまずは想定しておく。

どこにキャリーさせるかまで考えよう
▶「剛ラフ」は“アッパー軌道”で打て! プロが教える「運ぶように」フワッと高く上げる方法
PHOTO/Hiroaki Arihara
THANKS/備中高原北房カントリー倶楽部