ツアープロが使うギアの詳細を独自調査して掲載する週刊ゴルフダイジェストの連載“プロスペック”。前回はそのデータを集計してドライバーとアイアン番手別の男女プロの飛距離平均を算出。今回は、直近3年間(2023年1月1週目~2025年9月4週目)の使用パターを集計した。まずはヘッド形状別の使用パターランキング。

男女合計110人のプロの使用パター、ヘッド形状の1位はノーマルマレットで33人。2位は同数の24人でネオマレットとブレード。4位は角型マレットの17人。5位が最近増えているワイドブレードで11人だった。この5タイプで110人中109人を網羅した。

気になる残り1人は、L字パター(オデッセイ ブラックシリーズiX #9)の久常涼。L字マレットとも呼ばれるのでマレットのグループに入れても良さそうだが、この#9はフランジ部分が薄く、他のマレットとは機能が本質的に違う。

画像: 今回の調査で唯一だった久常涼のL字マレット(オデッセイ ブラックシリーズiX #9)

今回の調査で唯一だった久常涼のL字マレット(オデッセイ ブラックシリーズiX #9)

かつてL字のオデッセイ#9といえば、石川遼のエースパターとして有名だったが、今回の調査で石川遼は、2023年11月掲載号が角型マレット(ホワイトホットXG #7プロト)、2025年5月掲載号がネオマレット(オデッセイTenプロト)だった。

前回と同様、今回の集計も週刊誌の掲載を元にしているため、注目選手がギアを大きく替えるなど時事の話題により2度登場しているプロもいるが、延べ人数としてカウント。ただし同じパターで複数回登場の場合は2回目以降ノーカウントとした。(※記事内のモデルはすべて取材掲載時のモノ)

取材した男子プロ(雑誌掲載順)
大槻智春、C・チャンプ、岩﨑亜久竜、星野陸也、藤田寛之、松山英樹、J・スピース、J・トーマス、蟬川泰果、中島啓太、S・ティーガラ、田村光正、J・ラーム、S・シュエフラー、平田憲聖、安森一貴、河本力、R・ファウラー、細野勇策、B・ケプカ、生源寺龍憲、J・デイ、阿久津未来也、鈴木晃祐、A・スコット、石川遼、L・アバーグ、C・モリカワ、A・ハドウィン、N・ダンラップ、B・デシャンボー、D・ジョンソン、C・スミス、桂川有人、米澤蓮、幡地隆寛、木下稜介、杉浦悠太、R・マキロイ、小木曽喬、V・ホブラン、T・フリートウッド、A・バティア、金子駆大、今平周吾、平田憲聖、星野陸也、金谷拓実、久常涼、松山英樹、X・シャウフェレ、C・モリカワ、石川遼、R・ファウラー、清水大成、中島啓太、生源寺龍憲、河本力、米澤蓮、小斉平優和

取材した女子プロ(雑誌掲載順)
L・コー、N・コルダ、畑岡奈紗、西村優菜、渋野日向子、上田桃子、古江彩佳、川岸史果、吉田優利、櫻井心那、菅沼菜々、神谷そら、原英莉花、稲見萌寧、笹生優花、山下美夢有、岩井明愛、小祝さくら、岩井千怜、森田理香子、西村優菜、鈴木愛、竹田麗央、柏原明日架、佐久間朱莉、小林夢果、新垣比菜、天本ハルカ、古江彩佳、安田祐香、山下美夢有、桑木志帆、川﨑春花、山内日菜子、岩井明愛、渋野日向子、西郷真央、横峯さくら、河本結、鈴木愛、青木瀬令奈、穴井詩、佐久間朱莉、笠りつ子、稲垣那奈子、菅楓華、吉田鈴、原英莉花、大里桃子、神谷そら

【ヘッド形状の仕分け方】
① マレット/フランジ部分が半円形、半楕円形、台形、樽型のヘッド。オデッセイではロッシータイプやTHREE、SIXが該当、キャメロンならデルマー、GOLO、Fastback 1.5がこのタイプ、ピンではDS72シリーズ。
② ブレード/いわゆるピンのアンサータイプ。キャメロンならニューポート系、オデッセイは#1、#2の形状。
③ ネオマレット/様々な形状に進化した大型のマレットタイプ。テーラーメイドのスパイダーシリーズ、オデッセイの2ボール系やジェイルバードシリーズ、ヘッド後方に両翼が付いたような羽マレットもここ。
④ 角型マレット/オデッセイの#7、キャメロンのファントム5、ファントム7シリーズ、ピンではTYNEシリーズ。
⑤ ワイドブレード/ブレードのままマレット的な幅広形状にしたタイプ。ピンのアンサーDやクッシンシリーズ、オデッセイのDW(ダブルワイド)、キャメロンのスクエアバックなど。

画像: ヘッド形状はネオマレット(左上)、ブレード(左下)、マレット(中央)、角型マレット(右上)、ワイドブレード(右下)の5種に分類

ヘッド形状はネオマレット(左上)、ブレード(左下)、マレット(中央)、角型マレット(右上)、ワイドブレード(右下)の5種に分類

男女別では男子プロが、1位/ブレード(18人)、2位タイ/マレット(15人)、2位タイ/ネオマレット(15人)、4位/角型マレット(10人)、5位のワイドブレードは1人(細野勇策)だけ。

女子プロは、1位/マレット(18人)、2位/ワイドブレード(10人)、3位/ネオマレット(9人)、4位/角型マレット(7人)、5位/ブレード(6人)と、女子はワイドブレードの使用者が2番目に多い。

あるツアーレップに聞いた話だが、女子はオーソドックスなブレード型でジュニア時代を過ごすことが多く、ブレード型の見た目に慣れ親しんだ選手が多い。その後、確率を求めて違う形状にスイッチするものの、「できればブレードを使いたい」という選手が多い中、ブレードの見た目でマレット的な深重心の性能を持ったワイドブレードが登場、それが今回の結果にも表れた。

三角ネック10人、センターシャフト17人、太径グリップ29人

ヘッド形状ではなくネック形状で見ると、テーラーメイドのトラスパターや、オデッセイのトライビームシリーズの「三角ネック」パター使用者も女子プロに多くいた(男子2人・女子8人/合計10人)。

三角ネックパターのメイン機種はブレードタイプ。「見た目はブレード」なのに打点ブレに対する寛容性が特徴ゆえ、ワイドブレードと同様の理由で女子プロに人気のようだ。「ブレードが好きだけど、最近グリーン上で苦戦中」というアマは、三角ネックのブレードもしくはワイドブレードを考えるのもいいかもしれない。

画像: 数年前に登場して、今やツアーで定番になりつつある三角ネック形状のパターは女子プロが8人、男子プロが2人(Ph/Shinji Osawa)

数年前に登場して、今やツアーで定番になりつつある三角ネック形状のパターは女子プロが8人、男子プロが2人(Ph/Shinji Osawa)

ネック周りのバリエーションではセンターシャフトパターも使用者が増えている。男子プロが8人、女子プロが9人で合計17人。男子プロでは松山英樹が2025年の開幕戦でセンターシャフト(実際はセンターよりもほんの少しヒール)のキャメロン(009マスタフル プロト)を使って優勝、注目を集めた。

画像: 松山英樹が今季初頭に使ったパター(スコッティキャメロン 009マスタフル プロト)

松山英樹が今季初頭に使ったパター(スコッティキャメロン 009マスタフル プロト)

前述の、石川遼のネオマレット(Ten プロト)は、センターシャフトの装着部がヘッド後方寄りにあり、最近流行のゼロトルクタイプに見えるが実際はそうではないとのこと。

今回の調査でゼロトルク&センターシャフトのパターは、R・ファウラー(L.A.Bゴルフ DF2)だけだった。女子プロでは、鈴木愛、畑岡奈紗、L・コー、笹生優花など実力者がセンターシャフトを使用するが、その後に違うネックタイプへ変更したり、再びセンターシャフトに戻すなど、パットのコンディションやグリーンとの相性で、適宜使い分けている選手が多い。松山も石川も、現在は違うタイプを使用している。

画像: R・ファウラーのL.A.Bゴルフ DF3パター(左)、石川遼が使ったオデッセイ Tenプロト(右)

R・ファウラーのL.A.Bゴルフ DF3パター(左)、石川遼が使ったオデッセイ Tenプロト(右)

調査の中で、センターシャフトを長く使っているのが岩井千怜(ホワイトホットOG #1 WCS/ホワイトホットブラックシリーズ#5 CSなど)。ヘッド形状を替えることはあっても、ネック部分はいつもセンターシャフトで一貫している。

画像: 2025年のJLPGA開幕戦を制した岩井千怜。パターはオデッセイ ホワイトホット ブラックシリーズ#5 CS(Ph/Hiroyuki Okazawa)

2025年のJLPGA開幕戦を制した岩井千怜。パターはオデッセイ ホワイトホット ブラックシリーズ#5 CS(Ph/Hiroyuki Okazawa)

パターグリップの集計では、太径グリップのプロが増えている。男子が17人、女子が12人、合計29人。一般アマチュアの使用率よりも高いイメージだ。モデルはスーパーストロークシリーズが圧倒多数で、オデッセイのジャンボタイプ、ピンのPP62などを挿している選手が数名。

ネオマレットの大型ヘッドに挿すよりも、ブレードやノーマルマレットのヘッドに太径グリップを組み合わせる選手が過半数以上いた。下写真のT・フリートウッドや佐久間朱莉はその代表例。

画像: T・フリートウッドのパター(オデッセイ ホワイトホットPRO3/スーパーストロークMID SLIM2.0・左と上) 佐久間朱莉のパター(ピン スコッツデールDS72/スーパーストロークPISTOL1.0・右と下)

T・フリートウッドのパター(オデッセイ ホワイトホットPRO3/スーパーストロークMID SLIM2.0・左と上)
佐久間朱莉のパター(ピン スコッツデールDS72/スーパーストロークPISTOL1.0・右と下)

パターブランドはオデッセイ、キャメロン、テーラーメイド、ピンで100人

最後に、ブランド別の集計。
1位/オデッセイ(男子26人・女子24人/合計50人)
2位/スコッティキャメロン(男子17人・女子3人/合計20人)
3位/テーラーメイド(男子7人・女子20人/合計17人)
4位/ピン(男子5人・女子8人/合計13人)

オデッセイは男女とも1位で、キャメロンは男子にユーザーが多く、テーラーメイドは女子が多いという内訳。この4ブランドで110人中100人、鉄板の4強だ。

少数ではL.A.Bゴルフ(R・ファウラー、A・スコット)、ベティナルディ(畑岡奈紗)、マスダ(横峯さくら)、スクワッド(山下美夢有)、べノック(安森一貴)、LAゴルフ(B・デシャンボー)…など。

あなたが使っているパターはどのヘッド形状? どんなネックタイプ? どのブランド?

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