ピンゴルフからニューアイアンi240が登場した。最初に目に留まるのがバックフェースのデザイン。前モデルのi230からガラッと変わり、プロモーションでも〝美キャビティ〟と謳っている。このスタイリッシュな外観とともに、どんな性能のアイアンへ進化したのか? どんなゴルファーに合うのか? ギアに精通する今野一哉プロとi240アイアンを探った。

バックフェースのバッジに
秘められた寛容性

見ての通り、i240の特徴のひとつがバックフェース。スチール系の単色だったi230に比べて、i240はキャビティ部分のバッジが黒・シルバー・赤でデザインされ、洗練されてスタイリッシュな印象だ。

画像: i240アイアン(写真/野村知也)

i240アイアン(写真/野村知也)

ピンゴルフの担当者に聞くと、このバッジにはi240を支える機能が隠れているという。バッジの材質は軽量カーボンを含む複合素材となりバッジ自体を約60%(※前作比/PING調べ)軽量化。周辺重量配分を高めた上で、フェースとバッジの間には振動を抑えて打感を心地良くするCTPエラストマーという軽量樹脂を埋め込んでいる。

画像: i240に入る新バッジ構造。赤い樹脂がCTP、バッジは軽量カーボンを含む複合素材。この新バッジは前モデルよりも約60%軽量化、これによってMOI(慣性モーメント)が大きくなった

i240に入る新バッジ構造。赤い樹脂がCTP、バッジは軽量カーボンを含む複合素材。この新バッジは前モデルよりも約60%軽量化、これによってMOI(慣性モーメント)が大きくなった

新たな構造によって、深くて低い重心位置の〝深低重心ヘッド〟となり、全体のMOI(慣性モーメント)も大きくなり、高弾道が打ちやすく、打点ブレのミスに強いアイアンになったという。ちなみにヘッド内部に入るCTPは、番手ごとにサイズや形状が最適化され、5Iや6Iなど長い番手の寛容性もかなり高まっている。オーソドックスな外観からは感じられない機能のようだ。

ヘッドサイズはコンパクトなのに
構えるとやさしく感じるのはナゼ?

テスターの今野一哉プロがi240とi230の7Iを構えて比べてみる。「ヘッドサイズは同じと聞きましたが、アドレスしてみるとi240の方がフェースが明らかにはっきり見えるのはナゼだろう?」

画像: i240(左)とi230(右)

i240(左)とi230(右)

同席したピンゴルフのフィッティングエキスパート・小野敬友氏の説明によると、「i230のスコアラインは18本でしたが、i240では13本まで意図的に減らしました。それがフェースをはっきり見せる秘密かもしれません」

「確かに、スコアラインの1本1本が際立って見えます。それがフェースの見え方をはっきりさせてくれるんですね。はっきり見えることでフェースが大きく感じ、シャフトが少し短いと思えるほどです。これは打ちやすく感じますよ。溝の本数をあえて減らすというアイデアは新鮮です」(今野プロ)

画像: i240のスコアラインの数は13本。スコアラインの間隔幅が広いぶんフェース面がはっかり見える。それがやさしい印象を醸し出している(写真は7I)

i240のスコアラインの数は13本。スコアラインの間隔幅が広いぶんフェース面がはっかり見える。それがやさしい印象を醸し出している(写真は7I)

画像: i230のスコアラインの数は18本。本数が多いぶんシャープな印象が強い(写真は7I)

i230のスコアラインの数は18本。本数が多いぶんシャープな印象が強い(写真は7I)

ピンゴルフによる芝生からのショット検証では、スコアラインを減らしてもスピン量はほぼ変わらないデータだという。フェースが大きく見えてやさしく感じるメリットはかなり大きそうだ。

i230とi240の7Iを今野プロが打ち比べると、スピン量はi240が6710回転、i230は6810回転、弾道高さはi240が37.8ヤード、i230が37.4ヤードとほぼ変わらず、トータル飛距離はi240が176.1ヤード、i230が170.1ヤードで6ヤード前へ行く結果となった。※キャリー/167.2Y(i240)、163.3Y(i230)

i240、BP S、G440
3モデルを試打比較

画像: BLUEPRINT S(左)、i240(中)、G440(右)

BLUEPRINT S(左)、i240(中)、G440(右)

i240を検討する際、ピンゴルフのラインナップ中でライバルになるのがブループリントS(以下BP S)とG440だろう。i240とBP Sは本格志向のシャープさがありながら、やさしさも併せ持つアイアン。i240とG440はミスに対する寛容性の高さという面で気になるところ。

まずは今野プロがi240とBP Sを試打比較した。

「i240よりもBP Sの方がヘッドが短く小ぶりですが、どちらもシャープさを感じるアイアンらしい顔つきです。打ち比べると、軟鉄鍛造のBP Sの打感が良いのはもちろんですが、i240(ステンレススチールボディ+CTP+新バッジの複合構造)の打感もそれに劣らず軟らかく、フェースにボールが乗った感触が伝わります。そして、両方を打って思ったのは、やさしさの微妙な違いでした」

「BP Sは、距離のバラつきが少なく止まったエリアが小さくまとまる。ある程度、再現性の高いスウィングの人には、それがやさしさだと感じるアイアンです」

「i240は、中上級者も納得するオーソドックスな見た目なのに、アベレージモデルのような飛距離とやさしさがあります。打点のブレに対する寛容性が高く、スピンもしっかり入ります。ひと昔前だったら、この機能でこの本格的な外観は両立しなかったはず。やさしさの指標である慣性モーメントの大きさとスタイリッシュさの共存……革新的なクラブ作りを進むピンのアイアンらしいな、と個人的には思いました」

上記のような今野プロが評価する〝やさしさ〟となると、今度はG440アイアンとの比較が必要だ。

「G440を打つと、i240以上のMOIを感じて、とにかく安心して強振できる印象です。直進性能と飛距離性能を求めるならばこのアイアンです。G440は平均飛距離でも唯一180ヤードを超えました。ヘッドは実際に大きく長いので、そのフォルムにやさしさに感じるかどうか、そのあたりが選ぶ基準になると思います」

「ある程度コンパクトな見た目で、シャープさとやさしさの両立を求めるならi240。大きめヘッドの方がやさしく感じアイアンも飛ばしたいという人はG440という判断です。実際、G440はインパクトでも弾く強さを一番感じました」

試打したアイアンの結果は次の通り

ボール初速(m/s)打ち出し角(度)スピン量(rpm)弾道頂点(Y)キャリー(Y)トータル(Y)ヘッドスピード(m/s)
i240(7I)53.720.1671037.8167.2176.138.9
BLUEPRINT S(7I)53.322.0697039.6162.0169.639.1
G440(7I)55.420.5619040.1172.6181.438.7
i230(7I)53.621.4681037.4163.3170.138.9
i240(ロフト31.5度)、BLUEPRINT S(33度)、G440(29度)、3モデルともN.S.プロ モーダス³TOUR115(S)。i230(33度)のみAWT3.0LITEシャフト(S)。
ライ角はブラック、試打計測はトラックマン、ボールはスネル。※各モデルとも8球打ち、データの上下2球を省いた6球の平均値を掲載

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