
横田真一(よこたしんいち)
72年生まれ。53歳。専修大学ゴルフ部出身。95年にツアーデビューすると、その年にシード権を獲得し、97年の全日空オープンで初優勝を飾る。その後、アプローチイップスに悩むも、10年のキヤノンオープンで13年ぶり2度目の勝利を挙げた。40歳をすぎてから順天堂大学院・医学研究科に入学し、2年間の修士課程を修了するなど、知見を深める努力も怠らない個性派プロゴルファー。現在は、日本と欧州のシニアツアーに参戦しながら、YouTuberとしても活躍中。

25年日本シニアオープンは4日間を戦い、イーブンパーの29位タイで終えた(撮影/有原裕晶)
日本シニアオープン、日本プロシニアと、メジャー2連戦でしたが、あまりよくありません。直近の大きな問題はユーティリティ(以下UT)でした。ボクは、地面が硬い欧州用にシャローフェースでバウンスの少ないUTをダウンブローに使っていたのですが、これが日本のコースと相性がよくないのです。
たとえば、先週の日本プロシニアが行われたイーグルポイントGCなどは、フェアウェイの仕上がりが素晴らしく、下がふわふわで、ボールが芝の上に浮いた状態になります。すると、ボクのUTは芝に潜り込んで引っかかり、飛距離が落ちてしまうのです。
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www.youtube.comそこで、以前使っていたディープフェースでバウンスの強いUTに戻すことも考えたのですが、こちらのUTは番手間のロフトが3度ピッチ。今使っているシャローフェースのUTは番手間のロフトが4度ピッチになっているので、距離が合わないうえに、ロフトの穴を埋めるために1本増やす必要が出てきてしまう……。欧州に参戦して半年。めちゃくちゃ考えて、ようやく決まったセッティングだったのに、それが上手くいかないのですから本当に困ってしまいます。
UTがよくない理由は、ボクの入射角度の変化にもあると思います。地面が硬くて芝の薄い欧州では、低い球を多用します。そのため、米国や日本の選手よりも欧州の選手のほうが、データ的にも入射角度が鋭角なんです。それはボクも同じで、以前に比べるとヘッドが鋭角に下りる(ヘッドが上から入る)ようになっています。その結果、前よりもスピンが入るし、ときに左に飛ぶミスが出る。今年のUTはせっかく得意クラブだったのに、今はそれが武器にならないという状況なのです。
でも! それもこれも全部言い訳なんです。そんなことを言ったって、状況がよくなるわけではありません。もっともっと頑張らなくちゃいけないのです。ただ、心が折れた状態からなかなか抜け出せなくて……。
ゴルフというのは、気持ちが大事なスポーツです。気持ちが落ち込んで自信がなくなると、今まで普通にできていたことができなくなります。よく、海外に挑戦した選手がボロボロになって帰ってくることがありますが、今のボクはまさにその状態。自分がそうなって初めて、他の選手たちの気持ちがわかったような気がします。
大した努力もせず、結果が悪かったのであれば、こんなに落ち込むことはなかったと思います。でも、長年の夢だったメジャー出場を叶え、その舞台で戦うために、ボクはここまで春先からトレーニングなど今まで以上に取り組み、かなりいい状態に仕上げてきました。それが結果につながらない。これはこたえます。
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www.youtube.comとにかく、欧州で戦っていると、日本ではなかなか出合うことのない台風のような爆風、四方を囲まれた逃げ道のないブッシュ、残り30Yから3打も4打もかかるようなアプローチなど、自分の技術が通用しない場面に幾度となく出合います。そのたびに心が削られ、少しずつおかしくなってきて、そのうち自分がどんどん下手になっていくような感覚に陥ってしまうのです。
目標に向かってやってきた努力が大きいほど、結果が出なかったときのショックは大きいものです。水城高校ゴルフ部の後輩・片山晋呉くんも、インスタで「心が折れた」と愚痴っているボクを見て、「先輩、その気持ちよくわかります」と言ってましたが、晋呉も海外帰りで調子を崩した経験からきっと同じ気持ちになったことがあるのではないでしょうか。
もちろん、ここで諦めるつもりはありません。今はこの凹んだ気持ちがようやく落ち着いてきて、サボっていたジョギングやトレーニングもはじまりました! 幸い、次のレジェンズツアーの試合(イタリアンオープン・10月23~25日)までは1カ月近くあります。ですから、それまでに体を立て直し、もう一度前を向いて戦っていく姿をお見せしたいと思いますので、もう少しお待ちください!