
多くのギャラリーがアダム・スコット、石川遼の組について回った
アダム・スコットが語る石川遼への尊敬「いつもすごい練習している」

この日はエースともいうべき長尺パターで日光CCのグリーンに挑んだアダム・スコット
最終日を前にトータル1アンダーまでスコアを戻したアダム・スコット(オーストラリア)は、石川遼とのラウンドを「すごく良かったです」と振り返った。
「彼のプレーをそんなに見る機会はないですが、彼のゴルフを見ることも楽しかったです。いつもすごい練習しているのがわかりますし、彼のことを尊敬しています」と、石川の練習への献身的な姿勢に敬意を表した。
しかし、この日のスコットは「スタートが自分の思うようには行きませんでした」と語る通り、苦しい立ち上がりとなった。日光カンツリー倶楽部のタフなセッティングについて、「リスクを背負わないとボールを上りのラインにつけるのが難しい」と分析。パーを重ねることはできても、ギャラリーを沸かせる連続バーディを奪うことが難しいコースの状況を指摘した。
スコットは最終日に向けて、「少しずつこのコースのことがわかって来ました」とし、「最初の4ホールが自分のなかで大きい」として、序盤のバーディで勢いをつけたいと意気込みを語った。
石川遼が語る「ナイスボギー」とアプローチの手応え

アプローチに手ごたえを感じている石川遼
石川遼は、スコットとの夢のラウンドを「基本何も変わらずというか、すごく楽しかったですけど、自分のゴルフはできたと思います」と振り返った。スコアはイーブンパーで踏みとどまったものの、9番と10番で連続ボギーを叩いたことを「悔しかった」と語る。
ボギーの原因を「ティーショットがちょっと昨日よりフェアウェイに行かなかった」ことだと分析したが、難セッティングの中で見せた粘りこそが、彼の真骨頂だった。
特に9番パー4では、ティーショットをミスした後、打ったことのない状況からバンカーショットでグリーンオンに成功。そのパーパットは外したものの、「本当にパーパットも入りそうだったし、ナイスボギーなんですけど」と、難しい状況でのミスの処理に手応えを感じていた。
そして、石川が今大会で進化を見せているのがアプローチだ。
「昨日今日、8割方できてるなっていうか、自分の思ったアプローチで寄せたいなというレンジぐらいには寄ってきていて、OKはそんなないですけど、1.5メートルとか以内にはだいぶつけられるようになってる」と、その精度向上に自信を見せた。「今まで2メートルとか2.5メートルぐらいにしか寄らなかったものが1.5メートルぐらいに寄るようになってきている」というこの感覚は、最終日の猛チャージへの大きな武器となる。
石川は、トータル8アンダーで首位を走る清水大成の「63」というスコアについて、「なかなかすごいと思います。今日が一番やさしいと言ったらあれかもしれないですけど、今のレベルの選手たちは、どれだけ難しいコンディションにしても、こういうスコアを出せる選手はたくさん出てきている」と、後輩のパフォーマンスを絶賛した。
最終日に向けて石川は、「本当スコアを伸ばせればまだまだわからない展開かなと思う」とし、「できる限り良い準備をして、自分がチャンスだなと思ったら取っていけるような、そういう内容にしていければなと思います」と、上位への浮上を誓った。
撮影/姉崎正