「手元のスコアカードが見づらい」「ボールの行方がおえなくなった」「グリーンのラインが読めない」など、目の不調を訴えるゴルファーは少なくない。週刊ゴルフダイジェスト11月4日号では老化による目のトラブルについて、専門家に聞いている。「みんゴル」でもご紹介しよう。
画像: 【老眼! 白内障! 動体視力低下!】ゴルファーのための目の老化対策講座

教えてくれる人/眼科医 鈴木高佳先生
神奈川県逗子市出身。日本医科大学卒業。2002年、日本国内での多焦点眼内レンズの治験実験に助手として従事。2006年、国際親善総合病院眼科部長に就任。2010年横浜市のJR戸塚駅前に戸塚駅前鈴木眼科を開院。鈴木眼科グループ代表

老眼の人はほぼ白内障も始まっている

まず、トラブルの“代表格”ともいえる「老眼」と「白内障」のメカニズムについて。「老眼と白内障は共に水晶体の変化です」と眼科医の鈴木高佳先生。

「水晶体」はカメラの凸レンズのように外部からの光を屈折させ、目の奥の網膜に画像を映す働きをする。その際、「遠くを見るときは水晶体が薄くなり、近くを見るときは厚くなります。しかし、加齢により水晶体の弾力が失われると、水晶体の厚さが変えられなくなり、ピントが合う領域が狭くなる。この状態が老眼です」(鈴木先生・以下同)。手元のスコアカード、グリーンのラインはもちろん、ボールの行方が見えづらいのもピント機能の衰え=老眼の影響だ。

一方、「白内障とは水晶体が濁った状態。さまざまな原因がありますが、最も多いのは加齢です。『まぶしい』『ぼやける』『二重に見える』などの症状があり、近視が進むタイプの白内障もあります」。さらに「老眼になれば、ほぼ白内障も始まっていると思ってください」。白内障は外傷や先天的要因も原因になり得るが、ほとんどは40~50代に始まる「加齢性白内障」とされる。「以前は、白内障と老眼は無関係と考えられてきましたが、加齢性白内障と老眼はいずれも水晶体の老化に基づくもので、関係性が深いことがわかっています」。

画像: 目の不調に困ってます

目の不調に困ってます

つまり「手元のスコアカードが見づらい」と感じ始めたゴルファーは、もう白内障も始まっているということ。白内障は、目から入る紫外線が大きな要因のひとつ。ゴルファーと日光は切っても切れない関係にあり、普段のラウンドからサングラス(紫外線カット機能付きのもの)や帽子などで紫外線からガードすることが大切だ。

一方の老眼は、40~50代で老眼に気づくと、誰でも70歳頃まで確実に進行していくとされる。見えにくい状態を放置していると、目の負担が大きくなって疲労がたまり、ますます症状が悪化することになってしまう。「老眼が始まったら、少なくとも3年ごとに眼科を受診し、目に合った度数の眼鏡やコンタクトレンズに作り替えることが推奨されていますが、目に合わない度数のものを使い続ける人が多いのが実際のところです」。

老眼になると最初は手元がよく見えるよう単焦点の近用老眼鏡を使うことになるが、遠くを見るには眼鏡を外したりずらしたりせねばならない。老眼が進むとピント調節力が弱くなり、遠方も近方もどんどん見づらくなる。すると、遠近両用レンズ(1枚のレンズの中に遠方が見やすい度数の部分と近方が見やすい度数の部分がある)が必要となり、遠くを見るときはレンズの上のほうにある遠方用、近くを見るときはレンズの下のほうにある近方用というふうに、視線の向きで使い分けることになる。

コンタクトレンズにも遠近両用タイプがあるが「これまでコンタクトレンズに慣れていない人が、老眼のために使い始めるのはリスクが大きいと思います。目への負担も無視できませんし、何より老眼で手元がよく見えない状態で無色透明のコンタクトレンズを目に入れる作業は難しいものです。実際の患者さんでも『遠近両用コンタクトに挑戦します』と張り切っていたものの、後日『やはり無理でした』と、再来院するケースが何度もありました」。

ゴルファーたちの目の老化エピソード①

ティーの高さがわからなくなった
50代半ばだったでしょうか、ある時、ティーアップしたボールが高いのか低いのか見えず、「あれっ?」となりました。ティーインググラウンドから風景を見ても遠近感が感じられず、ベタッとした1枚の絵に見える。でも左目をつぶると遠近感は戻ってくるんです。すぐ眼科に行き、下された診断は黄斑円孔という病名でした。網膜にある黄斑と呼ばれる部位に穴が開いた状態とのこと。レーザー手術でその穴をふさぎましたが、網膜剥離や他の穴も見つかり、現在、それも治療中です。それまで目のトラブルとは無縁だったこともあり、まさに晴天のへきれきでした。(60代男性)

画像: ティーの高さがわからない

ティーの高さがわからない

眼鏡で“見えすぎ”状態に度を落としてもらった
50歳の頃、グリーンでラインを読む時、そのラインや傾斜がぼやけて見えなくなりました。老眼に加え、乱視も入っているという診断。すぐ眼鏡を作ってもらいました。それが目にバッチリ合って、すごくよく見えるようになったのですが、今度は逆に見え過ぎると感じるように。「余計なものまで見える」と気になりだして雑念が入るんです。そこでレンズの度数を少し落としてもらったのですが、「見え過ぎて困った」には困りました(笑)。(60代男性、プロゴルファー)

画像: 見えすぎるのもよくない

見えすぎるのもよくない

見えない、書けないスコアカード問題
とにかくスコアカードが見にくくなり、パッと開いてサッと書き込めなくなりました。モタモタしていると、「俺、ダボ」「俺、ボギー」などと、皆がスコアを言い出し、心の中で「ちょっと待って、まだ書けない」と叫んでいました。しかし、最近はカートにスコア入力機能が搭載されているケースが増え、入力はたいてい若い子がやってくれるので楽になりました。ティーショットのボールも見失うことが多くなりましたが、同じく若い子が見つけてくれる。“人任せのおじさん”と思われているかもしれません。(60代男性)

白いボールが黄味がかって見える
最初は白いボールがクリーム色に見えて違和感を覚えました。それが60歳頃だったかな、白内障でした。しばらく放っておいたら、ものがぼやけたり、かすんで見えるようになりました。ピンフラッグが見づらくなり、距離感もつかめなくなったんです。私の場合、ボールの色は黄色が一番見やすかったですね。赤色はまったく見えず、ボールの行方も勘に頼るしかありませんでした。結局、まず右目の手術に踏み切り、左目は10年後に手術。手術後、「ゴルフはサングラスをかけてするように」と言われました。白内障手術で紫外線をカットする目の働きが弱くなるからとのことでした。近眼もあるので、度入りサングラスを購入しましたが、かなり高価で痛い出費でした。(70代男性)

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