本大会の舞台となる「エルカルドナル at ディアマンテ」は、タイガー・ウッズが設計したゴルフコースとして知られている。
「今回の舞台であるエルカルドナル at ディアマンテは、タイガーが設計した戦略性の高いコースとして有名です。そして、タイガー自身が幼少期にプレーした南カリフォルニアの古風なコースに影響を受けて設計したと言われています。生まれ育った場所、生い立ちが、選手のプレースタイルを形成していくように、タイガーがどのような環境で育ち、どのようにゴルフと向き合ってきたのかが、このコースには刻まれています」(以下、杉澤)
このコースは、タイガー自身が「様々なショットが要求される」と語るように、戦略性の高い設計が特徴。
「このコースは戦略性の高いコースとなっています。しかし、上級者だけをターゲットにしているわけではありません。このコースはハンディキャップに関わらず、あらゆるレベルのゴルファーがそれぞれの戦略で楽しめるように、様々な攻略ルートが用意されています。タイガーのゴルフに対する考えが、随所に散りばめられたコースと言えます」
他にも本コースは、太平洋の雄大な遠景、自然の渓谷、豊かな植生、原生の砂丘が融合した、美しい景観が特徴だ。しかし、美しい景色に気を取られていると、コースの難しさに足元をすくわれることに。
「コースは、風が強いことに加え、ラフがなく、フェアウェイの両サイドがブッシュやウェストバンカーになっており、視覚的にフェアウェイが狭く感じられます。そのため、ティーショットの精度が非常に重要となってきます。
さらに、フェアウェイは一見フラットに見えるものの、スキーのモーグルにも似たコブが多く見受けられるため、ライを見極めるのが難しいです。フェアウェイからのショットであっても、状況に応じた的確な判断と技術が必要となります。
スコアが出やすいコースではありますが、難易度も高く、常に攻めていくゴルフが求められます。また景観が美しいので、見ているだけでも楽しめるコースです」
そして杉澤さんおすすめホールは4番ホールと1番ホールだ。

杉澤さんが注目ホールとして挙げた1番ホール(PHOTO/Getty Images)
「この大会では4番ホールと1番ホールに注目してみると面白いかもしれません。4番ホールは昨年のデータで最も難しく、一方の1番ホールは、昨年のデータでは最もやさしいホールとなっています。特に1番ホールで良いスタートを切ることが、その後のプレーを有利に進めるために重要となります。1番から3番までで、確実にアンダーを出すことが、攻略のポイントとなるでしょう」
今大会の注目ポイントは、まずディフェンディングチャンピオン、オースティン・エクロートの戦いぶりだろう。

昨年の覇者、オースティン・エクロート(写真は24年全米プロ、撮影/岩本芳弘)
「オースティン・エクロート選手は、昨年、最終ラウンドで9アンダーという驚異的なスコアを叩き出し、見事な大逆転優勝を飾りました。今年もその再現となるか、注目したいですね」
そして、このコースを攻略するためには、どのような能力が求められるのだろうか。
「今回のコースは、ティーショットの精度、そしてフェアウェイキープ率が非常に重要なコースです。歴代優勝者のデータを見ても、その傾向は明らかです。ティーショットでしっかりとフェアウェイをキープし、セカンドショットで正確にグリーンを狙える選手が、上位に進出してくるでしょう」
今年も最終日に多くの選手に優勝のチャンスがあり、最後まで結果がどうなるかわからない、見応えのある試合となるだろう。
