国内女子ツアー最終戦「JLPGAツアー選手権リコー杯」の初日を終え、首位には5アンダーで岩井明愛、永峰咲希、1打差の3位タイに古江彩佳、申ジエ、阿部未悠と続く。みんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が現地からのレポートをお届けします。

宮崎カントリークラブの気温は20度まで上がりポカポカ陽気でしたが、風は7.7m/sと強く吹き、難しい初日となりました。フェアウェイはファーストカット(セミラフ)を際立たせたことで例年よりも狭く感じると選手たちは口を揃えますが、硬いですがスピードの速くないコーライグリーンに、深いラフと最終戦に相応しい舞台が整っています。

画像: 宮崎CCのコーライグリーンは硬いが、そこまでスピードは速くない

宮崎CCのコーライグリーンは硬いが、そこまでスピードは速くない

グリーンの硬さの計測方法は今季から世界基準に変わり、軟らかいと数値は高くなり、硬くなると数値は低くなります。これは、鉄球をグリーン上に落とし窪みの深さを測るファームネスメーターを使用しているためです。今日の数値はスティンプメーターは9と1/3、ファームネスメーターは193でしたが、先週の「エリエールレディス」最終日はスティンプメーター12、ファームネスメーターは287と、硬くてスピードは速くないというコンディションに加えてコーライグリーンの芝目もあり、選手たちは対応力の見せどころとなっています。

今日の初日は宮崎県勢で初出場となる菅楓華、荒木優奈選手に注目して、それぞれ9ホールついて歩きました。プロ入りは菅選手が1年先ですが同じ宮崎の日章学園高等学校の同級生で2人揃って初優勝(菅選手は「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」、荒木選手は「ゴルフ5レディス」)を飾り、メルセデス・ポイントランキングは2年目の菅選手は4位でトップ10回数は16回(2位)と安定したシーズン、ルーキーの荒木選手は、トップ10回数13回(6位)で、菅選手に劣らないメルセデス・ポイントランキング6位と奮闘しています。

画像: 共に初優勝を飾りメルセデス・ポイントランキング4位の菅楓華(右)と同6位の荒木優奈。地元・日章学園高等学校の同級生だ

共に初優勝を飾りメルセデス・ポイントランキング4位の菅楓華(右)と同6位の荒木優奈。地元・日章学園高等学校の同級生だ

荒木優奈はドライバーが飛びすぎなくらい飛んでいた

荒木選手の前半9ホールは、出だしの1番370Yのパー4でビッグドライブを見せ、2打目は100ヤードほどから3メートルを決めてバーディ発進。風が吹いて来た2番パー5はパー、3番パー4ではピンそば1メートルにつけてバーディと幸先よくスタートします。

途中でトレーナーを務める真田和俊氏に話しを聞くと、「週1回のトレーニングをしていますが、荒木選手は振る力が強いですね。シーズン終盤になって体がバキバキになってきてケアの割合が増えてきましたが、オフにしっかりと体作りをすれば来季はもっと楽しみになります」と荒木選手のポテンシャルを教えてくれます。

5番、6番でグリーンを外すもアプローチを寄せてパーで切り抜けますが、アゲンストが吹く7番、8番をボギーとし、9番パー5の2打目をグリーンエッジまで運びながら3打目を寄せきれずにパーとし流れを引き寄せられません。後半は11番パー5でバーディを奪いますが、12番パー3でボギーとし、13番のパー5ではティーショットを右のバンカーに入れ、2打目をミスして出ただけのラフ。3打目も右のラフでしたが、4打目をグリーンに乗せパーで切り抜けます。

画像: 「パットが打ち切れなかった」と23位タイで初日を終えた荒木優奈

「パットが打ち切れなかった」と23位タイで初日を終えた荒木優奈

途中で風が弱まる時間帯もありましたが、また風が吹いて来た16番パー3でボギーとし、3バーディ4ボギーのトータル1オーバー23位で終えました。ホールアウト後に話しを聞くと「難しかったです。コースがフェアウェイは狭く、風も強く。グリーンで打ち切れないパットが多かったです」と振り返ります。

ドライバーの飛距離がかなり出ていたのでそのことを聞いてみると「ドライバーが飛びすぎて、練習ラウンドでドライバーで打ったホールでも3Wで打ちました。ここ2~3週間、すごく飛ぶんです。一時体重が落ちて戻ったんですけど振れてなくて、思い切って振るようにしたら飛ぶようになりました」と教えてくれました。

画像: 初優勝を飾った「ゴルフ5レディス」でコンビを組んだ佐藤大輔キャディと会話しながら気持ちが落ちることなくプレーできたという

初優勝を飾った「ゴルフ5レディス」でコンビを組んだ佐藤大輔キャディと会話しながら気持ちが落ちることなくプレーできたという

フルスウィングの素振りを1回してからアドレスに入るルーティンはしっかり振ることを意識したもので、その効果は最終戦でもしっかりと表れていました。明日に向けては「そんなに調子は悪くないのでパターのタッチを打てるようになったらもう少しハマるかな。パターを修正したいと思います。最終戦に出られるのが嬉しいのと悪い時間帯でもキャディさんが話をしてくれていたので、(気持ちを)落とすことなくプレーできました。明日はしっかりと攻略しに行こうと思います」と練習グリーンへと向かいました。

流れをつかみきれなかった菅楓華

続いて前半を1ボギーで折り返した菅選手の後半について歩くと、打ち下ろしでフォローの風が吹く10番341ヤードのドライバーショットは残りピンまで50Yほどまで飛び、奥のピンにアプローチで寄せてOKバーディでスタートします。11番パー5ではピンまで35ヤードほどの花道横のラフまで運びますが、寄せきれずにパー。12番パー3では1ピンに付けますが惜しくも入らずにパー。伸ばしたい13番パー5の2打目を花道に置き、18ヤードをアプローチすると4メートルショート。これがカップに蹴られてパーとし、流れをつかみきれません。

画像: 後半の流れを変えるバーディパットが決まらずに27位タイで初日を終えた菅楓華

後半の流れを変えるバーディパットが決まらずに27位タイで初日を終えた菅楓華

14番は奥ピンでしたが、その奥に外すもパーを拾い、15番はドライバーで右の林に打ち込むと、3Wを短く握り低い球で出しましたがアゴの高いバンカーにつかまりボギー。最終左ドッグレッグで2打目から打ち上げになる18番パー4でティーショットを右のバンカーの淵に入れると、一度フェアウェイにレイアップして3打目勝負もボギーとし、1バーディ3ボギーのトータル2オーバー27位タイで終えました。

画像: ドライバーを修正したいと練習に向かった

ドライバーを修正したいと練習に向かった

ラウンド後に話しを聞くと「朝から風が吹き、耐える一日かなと思ってスタートしました。前半は耐えられていたのですが、後半は耐えきれなくなって悔しいラウンドになりました」と話します。

後半のキーになった11番、13番のパー5の3打目のアプローチについて話を聞くと「11番はラフが深かったので難しかったのですが、13番はもったいなかったと思います。アプローチは今年は良くなくて課題だと思いながら回っていました。ただ、先週すごく自信をつけて今週挑めていましたが、もう少し引き出しがあれば、自信持って打てると思います」。

13番は花道の良いライからでしたがグリーン面が少し受けていて逆目でしたので、スピンが入って前に転がらずにショートし、パーとなっていました。前週のコースと異なるグリーンコンディションに対応する引き出しを持ちたいと菅選手は言います。残り3日でそのきっかけをつかめると良いのではないでしょうか。

2人が在籍した日章学園は木曜日と金曜日はボランティアで2年間参加していて、後輩たちも同じようにボランティアで参加していました。菅選手は「宮崎でも一番多く見て来た試合に自分が出られていることに嬉しいです」と話し、明日以降も同級生の荒木選手と試合を盛り上げてくれることでしょう。

初日の組み合わせはランキング順でしたが、明日からは成績順に変わります。2サムのプレーでトップスタートは8時30分に堀琴音、勝みなみ選手、最終スタートは11時21分で永峰咲希、岩井明愛選手となっています。明日も現地からのレポートをお届けします。

撮影/岡沢裕行

プロゴルファー中村修の練習日レポート【JLPGAツアー選手権リコー杯】

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