男子ゴルフの今季国内ツアー第24戦「カシオワールドオープン」の2日目が27日、高知県安芸郡のKochi黒潮CC(7375ヤード、パー72)で行われ、今季は生涯獲得賞金ランキング3位の資格で出場していた谷口徹が1バーディ4ボギー1ダブルボギーの「77」でラウンドし、トータル82位タイで予選落ち。この結果、1997年から27シーズン守り続けたJGTOレギュラーツアーの出場資格が消えた。通算20勝、2度の賞金王に輝いたレジェンドが、自力で出場する権利を失った瞬間だ。しかし、彼の胸に去来したものは、悲観ではなく、「実力主義」という誇り高き哲学だった。
画像: ホールアウト後に涙腺が緩み涙を隠す谷口徹

ホールアウト後に涙腺が緩み涙を隠す谷口徹

初日「ノーボギー」の輝きから、2日目18番グリーンでの涙

谷口の今大会は、劇的なコントラストを見せた。

初日、57歳ながら5バーディノーボギーの「67」をマークし、8位タイという最高のスタートを切った。パーオン率は72.222%(全体62位)と良くはなかったが、平均パットが1.6154(全体12位)とパットの名手の面目躍如で上位をキープ。5年ぶりの優勝、そして最年長優勝記録の更新へ向けて、まさに「天国」のような滑り出しだった。

しかし、2日目は荒れた天候のなか、初日は85.714%で全体4位だったフェアウェイキープ率は35.714%で全体の96位。また昨日好調だったパッティングも2.0000で全体86位と低迷。結果、「77」を叩き、トータル82位タイで予選落ち。「地獄」を味わう形となった。

運命の最終18番ホール。バーディパットを逃し、自力でのシード権獲得が完全に断たれた瞬間、ついに谷口の涙腺は崩壊した。

画像: 後輩プロの出迎えに涙をぬぐいながら答える谷口

後輩プロの出迎えに涙をぬぐいながら答える谷口

とめどなく涙を流す谷口を包んだのは、グリーン奥で待ち構えた大勢の後輩プロだった。「谷口さん、ありがとう」という熱い声援が飛び交った。

「自力で出られるのは今年で最後」

レギュラーツアーの出場資格を失った谷口は、その心境を正直に吐露した。

「残念は残念ですが、実力の世界。それが今の実力。今年、優勝はマストと思ってやってきた」

「引退ってわけじゃないですけど、自分で出られない。出られなかったらそれは引退かもしれない」と、言葉を選ぶ。今後は「日本プロ」には2029年まで出場できるものの、自力で出場する権利を失った事実は重い。「自力で出られるのは今年で最後」という言葉が、その決意を物語る。

推薦を拒み続けた「谷口イズム」

谷口のキャリアの凄みは、その成績だけでなく、「実力主義」を貫いた哲学にある。

「実力主義で、推薦で出たいと思ったこともない。そういうので出ようとは思ったことないので」と、QT(予選会)へも行かないことをキッパリ。出場資格がなかったデビュー時さえ、推薦を求めなかったというその姿勢は、日本のプロゴルフ界における誇りでもある。

彼は、若手へ向けて熱いメッセージを送る。

「自分がシードを獲り続ければ、誰にも邪魔されずに出られる。自分の力で勝ち取りチャンスをつかんでいくことが、成長のステップになる」

また、苦闘のシーズンを支えてくれたすべての人に感謝を捧げ、今年の国内メジャー覇者である片岡尚之、清水大成とのラウンドに「いま最高の選手と回れてよかった。楽しかった」と語り、コースを後にした。

初日の輝きと最終的な結果のコントラストは、プロゴルフという実力の世界の厳しさを象徴している。しかし、谷口徹が示した「実力主義」の信念は、シード27年、プロ生活33年の歴史とともに、次世代の選手たちに受け継がれていくだろう。

撮影/姉崎正

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