
ホールアウト後に涙腺が緩み涙を隠す谷口徹
初日「ノーボギー」の輝きから、2日目18番グリーンでの涙
谷口の今大会は、劇的なコントラストを見せた。
初日、57歳ながら5バーディノーボギーの「67」をマークし、8位タイという最高のスタートを切った。パーオン率は72.222%(全体62位)と良くはなかったが、平均パットが1.6154(全体12位)とパットの名手の面目躍如で上位をキープ。5年ぶりの優勝、そして最年長優勝記録の更新へ向けて、まさに「天国」のような滑り出しだった。
しかし、2日目は荒れた天候のなか、初日は85.714%で全体4位だったフェアウェイキープ率は35.714%で全体の96位。また昨日好調だったパッティングも2.0000で全体86位と低迷。結果、「77」を叩き、トータル82位タイで予選落ち。「地獄」を味わう形となった。
運命の最終18番ホール。バーディパットを逃し、自力でのシード権獲得が完全に断たれた瞬間、ついに谷口の涙腺は崩壊した。

後輩プロの出迎えに涙をぬぐいながら答える谷口
とめどなく涙を流す谷口を包んだのは、グリーン奥で待ち構えた大勢の後輩プロだった。「谷口さん、ありがとう」という熱い声援が飛び交った。
「自力で出られるのは今年で最後」
レギュラーツアーの出場資格を失った谷口は、その心境を正直に吐露した。
「残念は残念ですが、実力の世界。それが今の実力。今年、優勝はマストと思ってやってきた」
「引退ってわけじゃないですけど、自分で出られない。出られなかったらそれは引退かもしれない」と、言葉を選ぶ。今後は「日本プロ」には2029年まで出場できるものの、自力で出場する権利を失った事実は重い。「自力で出られるのは今年で最後」という言葉が、その決意を物語る。
推薦を拒み続けた「谷口イズム」
谷口のキャリアの凄みは、その成績だけでなく、「実力主義」を貫いた哲学にある。
「実力主義で、推薦で出たいと思ったこともない。そういうので出ようとは思ったことないので」と、QT(予選会)へも行かないことをキッパリ。出場資格がなかったデビュー時さえ、推薦を求めなかったというその姿勢は、日本のプロゴルフ界における誇りでもある。
彼は、若手へ向けて熱いメッセージを送る。
「自分がシードを獲り続ければ、誰にも邪魔されずに出られる。自分の力で勝ち取りチャンスをつかんでいくことが、成長のステップになる」
また、苦闘のシーズンを支えてくれたすべての人に感謝を捧げ、今年の国内メジャー覇者である片岡尚之、清水大成とのラウンドに「いま最高の選手と回れてよかった。楽しかった」と語り、コースを後にした。
初日の輝きと最終的な結果のコントラストは、プロゴルフという実力の世界の厳しさを象徴している。しかし、谷口徹が示した「実力主義」の信念は、シード27年、プロ生活33年の歴史とともに、次世代の選手たちに受け継がれていくだろう。
撮影/姉崎正
