
2026年シーズンの目標と課題について語る倉林紅
震災がきっかけ。宮城で育まれたメンタル術
倉林がゴルフを始めたのは、出身地の宮城で震災があった2011年。震災後の逆境を乗り越えるなかで精神的な強さを培ってきたと話す。その背景には、人材育成の仕事をする父親からの徹底的なサポートにあった。そのサポートとは金銭面はもちろんだが、①目標設定の明確化、②メンタルのリセット術にあるという。
①目標設定:毎年、父とともに目標設定を行う。
②メンタルのリセット術:常にメンタル的に良い状態で臨めるよう、試合前には不安や良かったことなど、全てをノートに書き出すことで心をリセット。余分な感情を残さないようにしている。
これらのメンタルトレーニングには、米メジャーで戦う大谷翔平選手が行う手法なども取り入れ、具体的な計画立てとともに実践しているという。
プロテスト合格を果たした倉林の2026年シーズンは初優勝を目標としている。「ファイナルQT1位で獲得した前半戦の出場権を活かし、チャレンジャーとしてツアーに挑みたいと思います」と強い決意を表明していた。
また来シーズンに向けて取り組むべき最大の課題は「ショートゲームの克服」。「ショートゲームにまだ苦手意識があり、ショットの調子が悪くてもリカバリーできるゴルフがしたい」と課題点をあげた。
「加賀電子カップ」の初日でも、11番でパーオンするも4パットのダブルボギーを喫したあたりが、自身の話す「ショートゲームの苦手意識」が出たということかもしれない。
さらに攻めの結果を確実なスコアに繋げることも目標としており、「ちゃんと攻めた結果、バーディに繋げられる、そういうゴルフができるようにしたい」と、チャンスを確実なものにしたいと熱く語った。
飛距離よりもマネジメント! ドライバーの意識改革

ヨネックスのウェアを身にまとい、まずは新人戦優勝を目指す倉林
自身のドライバー飛距離を「平均240ヤード」と話し、飛距離が出るタイプではないという倉林が、ドライバーショットで最も重視するのは「スウィングリズムの安定」と「無理をしないこと」。
「ついつい振りにいってしまうと、リズムが崩れてしまうことがあるので、まず自分のスウィングリズムを一定に保つことを心がけています」と語る。
またスコアメイクにおいても「バーディを狙いすぎたり、ちょっとでも前に飛ばそうとしすぎて、ティーショットでミスをすることが結構多いので、無理し過ぎない、攻めすぎないゴルフを心がけています」と自身のマネジメントを徹底している。
前述のとおり、今日から始まった「JLPGA新人戦・加賀電子カップ」では、11番で4パットのダブルボギーを叩く大きなミスをするも、6つのバーディを奪い、首位と2打差の4アンダーの3位と上々のスタート。
「ファイナルQTのときよりショットの調子はよくなっていますが、今日は4パットとか大きいミスが結構目立ちました。あしたからはそれが無いようマネジメントに気をつけたいです。3日間自分のゴルフをしっかりして、優勝できたらいいですね。あしたはちょっと風が強い予報ですが、しっかりと耐えて、最終日にスコアを伸ばして優勝を狙いたいです」
この試合の行方はもちろん、倉林の来シーズンも注目してほしい。
撮影/岡沢裕行


