「タイトリストのドライバーは難しい」、長く語られてきたこのイメージは、いま女子ツアーの現場では当てはまらない。櫻井心那、申ジエ、三ヶ島かな、イ・ミニョン、臼井麗香……。彼女たちが選んだのは、いずれもタイトリストのGTドライバーだ。そして興味深いのは、モデル選択が多岐にわたること。女子プロたちはその違いをしっかり見極め、自分にとっての“やさしい”GTを選んでいた。今回は女子プロ5名の実使用スペックと本人の使用感を紹介。さらに彼女たちのスペックを実際に組み上げてテストし、GTシリーズがなぜ信頼を集めているのか、その理由を掘り下げていく。

女子ツアーでも人気のGTドライバー、5名の使用スペックを公開

女子ツアーでは、契約外選手を中心にタイトリスト GT ドライバーの使用者が増えている。プロは自身のヘッドスピードや求める弾道特性に合わせ、GT1(軽量・高弾道)、GT2(寛容さ・直進性)、GT3(操作性・低スピン)、GT4(低スピン・高い操作性)という明確なコンセプトを持つラインナップから選択している。まずは彼女たちのリアルな使用感を聞いてみよう。

櫻井心那【GT2×ディアマナGT使用】
右にぺらっといかないこと、そして「顔」が大事

画像: 2026年の米LPGAツアー出場権を獲得した櫻井心那

2026年の米LPGAツアー出場権を獲得した櫻井心那

【櫻井心那 スペック】ヘッド:GT2、ロフト:9度、スリーブポジション:C4(ロフト+0.75度/ライ角-0.75度)、長さ:45.25インチ、シャフト:DIAMANA GT 60S

櫻井心那は、GT2の高い直進性と許容性を武器に、念願の米女子ツアー出場権を獲得した。
「ドライバーはまず顔で選びます。座りとかですね。このドライバーはつかまりがいいし、直線性がすごくあってスピンもあって上がりやすいし、飛ぶようになったと思います。右にペラっとこする球がなくなって、右行ってもあまり曲がらず耐えてくれるのも気に入っているところです」

申ジエ【GT2×THE ATTAS V2使用】
安定した「スピン量」、これに尽きます

画像: 安定感抜群のスウィングと巧みなショートゲームが持ち味の、女子ツアーのレジェンド的存在

安定感抜群のスウィングと巧みなショートゲームが持ち味の、女子ツアーのレジェンド的存在

【申ジエ スペック】ヘッド:GT2、ロフト:9度、スリーブポジション:A1(標準)、長さ:45インチ、シャフト:THE ATTAS V2 5S

申ジエはスピンの安定性を重視。
「ドライバーは飛距離も大事だけど、安定したスピン量が得られることを重視しています。最近のドライバーはフェースに乗る感じが少なくて滑る感じがあるけれど、これはフェースに乗る。乗るとスピンが安定するんです。行かせたいところに運べることがとにかく大事です」

三ヶ島かな【GT2×ツアーAD PT使用】
フェースセンターを外しても大きく曲がらない

画像: 2026年は複数年シードの権利を行使し、捲土重来を期す

2026年は複数年シードの権利を行使し、捲土重来を期す

【三ヶ島かな スペック】ヘッド:GT2、ロフト:10度、スリーブポジション:A1(標準)、長さ:45インチ、シャフト:TOUR AD PT-5 R1

三ヶ島かなは、季節によって変化するショットデータに応じてヘッドを替えた。
「もともとGT3とGT4を使っていたんですが、ちょっと寒くなってきた時期にスピン量を確保したいのでGT2に。当たり損ねが少なくてやさしく飛ばせる印象。曲がり幅が収まりましたね。ラクに振れるのもいいです」

イ・ミニョン【GT3×テンセイ ブルー使用】
持ち球のフェードで「飛ばせる」

画像: 2025年は優勝こそなかったが2位に3回入るなど安定した力を発揮

2025年は優勝こそなかったが2位に3回入るなど安定した力を発揮

【イ・ミニョン スペック】ヘッド:GT3、ロフト:9度、スリーブポジション:C1(ロフト-0.75度/ライ角-0.75度)、長さ:45インチ、シャフト:TENSEI BLUE 60S

イ・ミニョンは、引き締まったヘッド形状とフェードを生かせる性能でチョイス。
「ドライバーは、まず構えた時の見た目で選ぶんですが、(GT1~GT4のなかで)GT3のヘッド形状が気に入りました。5~10ヤード飛ぶようになったと思います。持ち球のフェードが打ちやすいのもいいですね」

臼井麗香【GT1×ディアマナBB使用】
求めているアッパー軌道に合うヘッド

画像: 2025年はケガに泣かされた臼井。目指すスウィングにマッチしたGT1を手に復活を目指す

2025年はケガに泣かされた臼井。目指すスウィングにマッチしたGT1を手に復活を目指す

【臼井麗香 スペック】ヘッド:GT1、ロフト:9度、スリーブポジション:A1(標準)、長さ:45インチ、シャフト:DIAMANA BB 53S

臼井麗香は、自分の求めるスウィング軌道によってGT1に。
「約2カ月前までGT3だったんですけど、いま目指しているアッパー軌道をものにするためにGT1に替えました。GT1のほうが重心が後ろのほうにあってアッパーに打ちやすく、キャリーで飛ばせます」

[COLUMN]ドライバーに合わせFWメタルもGT派が増えている

画像: 櫻井心那のドライバー&FWメタル。13.5度のFWメタルはロフトを0.75度増やして使用している

櫻井心那のドライバー&FWメタル。13.5度のFWメタルはロフトを0.75度増やして使用している

ちなみに、ドライバー以外のGTメタルも人気を博している。櫻井心那はGT2の3Wと7Wを使用。
「FWも顔がいい。安定してスピンが入るので持ち球のフェードが打ちやすいです。もともと5Wを入れていたのですが、3Wと飛距離近かったので7Wに替えました。距離のギャップが適正になり、ラフからも正確に狙えるようになりました」とその信頼性を語る。

タイトリストツアーレップ、原ケビン氏曰く「女子ツアーではFWの人気も高まっています。選手がチョイスするのはGT2がダントツで多い。見た目に安心感がありボールが楽に上がるところが選ばれる大きな理由です。3W(15度)&5W(18度)の組み合わせ、また最近では4W(16.5度)&7W(21度)を入れる選手も増えています」とのことだ。

女子プロのGTドライバーはどんな性能? 同じスペックを作って打った

女子プロが選んだGTドライバーヘッド&シャフトのカスタムスペックは、実際どのようなパフォーマンスを発揮するのか。ここからは、クラブフィッティングの達人・クールクラブスの平野義裕氏に、5名の女子プロと同スペックのドライバーを打ってもらい、その持ち味を客観的なデータとともに検証してもらった。

画像: テスターは平野義裕氏。東京の練習場・スイング碑文谷内にある「クールクラブス」のカリスマフィッターで試打経験も豊富。ヘッドとシャフトの性能を熟知する

テスターは平野義裕氏。東京の練習場・スイング碑文谷内にある「クールクラブス」のカリスマフィッターで試打経験も豊富。ヘッドとシャフトの性能を熟知する

【櫻井心那SPEC】
GT2の高い直進性にディアマナGTの低スピン性能が加わったセッティング

画像: 【櫻井心那 スペック】ヘッド:GT2、ロフト:9度、スリーブポジション:C4(ロフト+0.75度/ライ角-0.75度)、長さ:45.25インチ、シャフト:DIAMANA GT 60S

【櫻井心那 スペック】ヘッド:GT2、ロフト:9度、スリーブポジション:C4(ロフト+0.75度/ライ角-0.75度)、長さ:45.25インチ、シャフト:DIAMANA GT 60S

「GT2は、ヘッドの打感、打音ともに気持ちいい。そしてシャフトはディアマナGT。中間部がやや緩めですがオーソドックスな特性を持っています。この組み合わせはインパクトで当たり負けしませんから、打点がばらつく人、そして左にも行きにくいのでつかまりすぎて困っている人にいいでしょう。スピンを抑えた強いフェードボールが打ちやすいスペックです」

[櫻井心那SPEC(GT2 × ディアマナGT 60S)の試打データ]

・ヘッドスピード42.4m/s
・ボール初速62.7m/s
・打ち出し角12.7度
・スピン量1995rpm
・キャリー222.3Y
・トータル256.6Y

【申ジエSPEC】
「安定したスピン量」を確保する王道的な組み合わせ

画像: 【申ジエ スペック】ヘッド:GT2、ロフト:9度、スリーブポジション:A1(標準)、長さ:45インチ、シャフト:THE ATTAS V2 5S

【申ジエ スペック】ヘッド:GT2、ロフト:9度、スリーブポジション:A1(標準)、長さ:45インチ、シャフト:THE ATTAS V2 5S

「打ってもシャフトが極端な動きをする感じがありません。GT2とTHE ATTAS V2の組み合わせは、キャリーが伸びる印象を受けます。GT2のようなやや重心が深めのヘッドは、先端があまり動かない、クセの少ないシャフトとの相性が非常に良い。インパクトでのブレが抑えられるため、ヘッドが持つ大慣性モーメントのメリットを最大限に生かすことができます」

[申ジエSPEC(GT2 × THE ATTAS V2 5S)の試打データ]

・ヘッドスピード42.4m/s
・ボール初速63.3m/s
・打ち出し角13.1度
・スピン量2230rpm
・キャリー227.2Y
・トータル261.0Y

【三ヶ島かなSPEC】
少ない力で最大のキャリーを引き出し、GT2の寛容性でミスを最小化

画像: 【三ヶ島かな スペック】ヘッド:GT2、ロフト:10度、スリーブポジション:A1(標準)、長さ:45インチ、シャフト:TOUR AD PT-5 R1

【三ヶ島かな スペック】ヘッド:GT2、ロフト:10度、スリーブポジション:A1(標準)、長さ:45インチ、シャフト:TOUR AD PT-5 R1

「R1というやや軟らかめのシャフトですが、振り負ける感じはありません。スウィング中のヘッドの所在が分かりやすく、球の打ち分け(コントロール)がしやすい。ミスヒットしても大きなミスにならないのはヘッドの寛容性のたまものですね。シャフトの素直なしなりもヘッドと相性が良く、軽く振って自分のベストに近い数値が出ました。お勧めしたい組み合わせです」

[三ヶ島かなSPEC(GT2 × ツアーAD PT-5 R1)の試打データ]

・ヘッドスピード43.3m/s
・ボール初速65.0m/s
・打ち出し角13.2度
・スピン量2050rpm
・キャリー240.1Y
・トータル270.2Y

【イ・ミニョンSPEC】
低スピンで吹き上がりなし! パワーフェードで飛ばせる

画像: 【イ・ミニョン スペック】ヘッド:GT3、ロフト:9度、スリーブポジション:C1(ロフト-0.75度/ライ角-0.75度)、長さ:45インチ、シャフト:TENSEI BLUE 60S

【イ・ミニョン スペック】ヘッド:GT3、ロフト:9度、スリーブポジション:C1(ロフト-0.75度/ライ角-0.75度)、長さ:45インチ、シャフト:TENSEI BLUE 60S

「GT3は少し小ぶりで形状もきれい。この形を好きなゴルファーは多いでしょう。打感はGT2よりもおとなしくより玄人好み。つかまりを抑えた浅重心のヘッドで、さらにロフト、ライともに-0.75度にしていることからも“絶対に左は嫌”という強い意思を感じます。強く振っても吹き上がる感じがないので、ミニョン選手の持ち球でもあるパワーフェードが打ちやすいスペックと言えるでしょう」

[イ・ミニョンSPEC(GT3 × TENSEI BLUE 50S)の試打データ]

・ヘッドスピード42.8m/s
・ボール初速64.1m/s
・打ち出し角12.3度
・スピン量1920rpm
・キャリー229.3Y
・トータル265.6Y

【臼井麗香SPEC】
安定した高弾道でキャリーを稼いでラクに飛ばせる

画像: 【臼井麗香 スペック】ヘッド:GT1、ロフト:9度、スリーブポジション:A1(標準)、長さ:45インチ、シャフト:DIAMANA BB 53S

【臼井麗香 スペック】ヘッド:GT1、ロフト:9度、スリーブポジション:A1(標準)、長さ:45インチ、シャフト:DIAMANA BB 53S

「GT1のヘッドは寛容性が高く、ボールもよく上がります。シャフトはやや軽めで、ヘッドもシャフトも無理がないスペックですね。ロフトは9度ですがしっかりつかまる。ポーンと右に打ち出す感じで打っても球がちゃんと帰ってきて距離も出ます。ちょっと振れる女性やシニア層にもマッチするでしょう」

[臼井麗香プロモデル(GT1 × DIAMANA BB 53S)の試打データ]

・ヘッドスピード43.0m/s
・ボール初速64.0m/s
・打ち出し角15.8度
・スピン量2580rpm
・キャリー241.7Y
・トータル263.5Y

女子プロスペックドライバーを打った平野氏は、GTシリーズの打ちやすさと飛距離性能を改めて感じたという。

画像: 「個人的には三ヶ島かなプロのスペックが一番合いました」(平野氏)

「個人的には三ヶ島かなプロのスペックが一番合いました」(平野氏)

「“タイトリストは難しい”と思っている人は、一度打ってみるとそのイメージが大きく覆るはず。そして、スペックまでしっかり選べば、GTが持つ初速性能の高さを最大限にブーストしてくれることは間違いありません」

女子プロたちがGTを使う理由はさまざま。ただ共通しているのは、自分が求める結果(弾道・飛距離)を無理なく実現できるものを模索した結果、GTにたどり着いているという点だ。

GT1、GT2、GT3、GT4は、役割の違うモデルであり、やさしさの序列ではない。どれが自分のゴルフに自然に収まるか。女子ツアーの使用実態は、その視点でクラブを選ぶことの重要性を示している。

PHOTO/Shinji Osawa、Getty Images

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