昨今の異常ともいえる酷暑対策として、ベントグリーンから高麗芝(コーライ)へ転換するコース改修が多くなっていくかもしれない……。
画像: 茨城県の取手国際GC

茨城県の取手国際GC

茨城県の取手国際GCは、約1年かけて西コースのベントグリーンをコーライに転換する改修工事を行い、今年11月中旬から使用を開始した。西コースはベントとコーライの2グリーンだったが、この改修で全国でも珍しい「コーライ2グリーン」運用へと移行。ただし、この2つのコーライ、品種がちょっと違うことに注目したい。

従来使用してきたのは「つくば産コーライ」で、今回採用したのは「鳥取県産コーライ」だ。高麗芝の産地として、茨城、静岡、福井の各県、九州では熊本、宮崎、鹿児島などが挙げられるが、近年ブランド化しているのは鳥取県産という。

県芝草研究センターで改良研究が進み、県芝生産組合を通じて管理販売される高麗芝は「グリーンやティーなど重要な箇所に使うなら断然鳥取産」と推すグリーンキーパーは多い。つくば産は関東の気候に根ざし、繊細で柔らかな葉質を持つ芝で、均一な転がりは評価されてきた。一方、鳥取産は耐暑性、耐乾性、病害抵抗性に優れ、厳しい酷暑の環境下でも耐えられる高い品質を持つという。話はそれるが、名門・鳴尾GCの「ナルオターフ」も鳥取で生育されている。

「何より少ない散水量で安定した生育を維持できる特性を持つのがいいですね。強い日差しや高温多湿にも耐えうるとして採用しました。まだオープンして間もないですが、芝目がきめ細かく、それでいて速いとお客様からもいい評価を頂いています」(同GC支配人、大西圭氏)

またグリーン面積を約4000㎡から約7900㎡へ拡幅。外周部のアンジュレーションも再設計。これでピンポジションのバリエーションが増え、同じホールでも異なる攻略ルートが生まれたという。

取手国際GCは1958年開場。設計は創業者である佐々木真太郎。当時の芝の権威、丸毛信勝農学博士の協力によって完成。赤松林に囲まれた林間コースとして人気は高い。コーライは温暖化によってアメリカでも注目され始めている。また同GCのコーライ2グリーンの状況を他のゴルフ場関係者が視察に訪れるなど、今後はコーライが選ばれるケースが増えるだろう。「2つのコーライ」を比較してみるのも一興かもしれない。

※週刊ゴルフダイジェスト2025年12月30日号「バック9」より

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