
今週PGAツアーに復帰するブルックス・ケプカ。そんなケプカの知られざる一面を紹介(写真/Getty Images)
24年5月ゴルフ界に激震が走った。その年のソニーオープン・イン・ハワイでツアー2勝目を飾ったグレイソン・マレーが30歳の若さで自ら命を絶ったのだ。
報道によるとケプカとマレーは特に親しい間柄ではなかったが良好な関係で、マレーが持っていたコンドミニアムの近くにケプカが住んでおり、2人の共通の趣味であるホッケーについてメッセージを交換していたという。そしてケプカのタイトル防衛がかかった24年の全米プロゴルフ選手権の練習ラウンドを2人は一緒に回った。マレーが亡くなる1週間前のことだった。
昨年10月マレーの人生と功績を称え彼が通った故郷ノースカロライナ州のローリー・カントリー・クラブでメンタルヘルスと依存症ケアの推進に取り組む「グレイソン・マレー財団」への寄付を目的としたチャリティイベントが開催された。
財団の代表でローリーCCのメンバーとして幼少期からマレーを知るジェフ・マレス氏は数々のプロに声をかけたがスケジュールの都合で出場できる選手は限られた。しかしケプカは「是非参加させてください」と即答した。
チャリティ大会の前週ケプカはDPワールドツアーのアルフレッド・ダンヒル・リンクス選手権(スコットランド)に出場していたのだがアメリカに戻る便が悪天候のため遅延。マレス氏は「ケプカが出場できるかどうか半々だった」と振り返る。
人々の懸念をよそに予定されていたスタート時間の30分前にケプカは黒のSUV車でコースに姿を現した。「彼は疲れているように見えました。でも今日はマレーの家族がして欲しいと思うことはなんでもする、といってくれたのです」とマレス氏。
その日一緒に回ったのはグレイソン家と家族ぐるみの付き合いがあったフィル・ヒルーデンさん。15歳の息子タイラー君がケプカの大ファンだと伝えると彼は「学校からすぐ連れ戻して、ここに連れてきてカートも用意してやってくれ」といい、その言葉に従いタイラー君がコースに到着するとゴルフを志す少年にパターを渡して試打させたり、バッグを担がせたり、同僚プロたちを紹介したり、即興のレッスン会までおこなった。
「テレビではいつも真剣で集中していて、わき目も振らない印象しかないけれど実際はとても優しくて、ずっと僕に話しかけてくれました」とタイラー君。父・フィルさんも「彼に持っていたイメージが180度変わりました。ロープのなかで戦っているケプカと実際我々とラウンドしたときの彼は別人。一緒に過ごす時間を長くしたいと我々アマチュアと同じティからプレーしてくれました」。
「彼は試合中は100パーセント集中していてファンと交流するのが苦手だ、といっていました。でも最後のパットを沈めたあとはリラックスして社交的で外向的になるんだ、と。なるほど、と思いました。我々がイメージしていたビジネスライクなキャラクターとは全く違う人物像がそこにあったから」(フィルさん)
10代の頃から感情のコントロールが苦手で鬱症状に苦しんでいたマレー。ケプカもLIVに移籍した足掛け4年は誹謗中傷も含めさまざまな困難を経験してきた。いよいよPGAツアープレーヤーとしての再スタートが始まる。天国のマレーはケプカにエールを送っているだろうか。
【動画】ブルックス・ケプカのスーパーショット集【PGAツアー公式X】
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