
テーラーメイド ゴルフ ハードグッズプロダクトでビュティ―マネージャー田中桂氏
「『スパイダー』の形は普遍的ですが、今後も新しいインサートの開発や、よりミスに強い構造や新素材の採用、そして、さらに構えやすいアライメントの搭載など、ますます進化していくことでしょう」
見た目よりも機能を重視したパター
「『スパイダー』の登場まで、パターは”感性のクラブ”と言われていて、選手が気にしていたのは何よりも”顔”や”打感”。ところが『スパイダー』は再現性や寛容性といったパフォーマンスを重視して、見た目よりも機能を取ったんです」とはテーラーメイドのハードグッズプロダクトでパターを担当する田中桂氏。
「その後、プロから『同じ形状、同じ性能で、もうひと回り小さくできないか』という要望を受けて誕生したのが『スパイダー・イッツィー・ビッツィー』。オリジナルより約15%小型化されたヘッドサイズは、最新モデルにも継承されています」(田中氏)
2011年のマスターズではジェイソン・デイが同年発売の「R11」ドライバーと同じ白い「スパイダー ゴースト」を使い2位になり話題となる。デイは2015年の全米プロでメジャー初制覇を果たした際は黒いプロトタイプを使用し、世界ランク1位になった2016年には赤い「ゴーストスパイダー リミテッドレッド」を使用。これが翌年に市販された「スパイダー ツアー レッド スモールスラント」の原型となった。
「赤は芝の緑色の補色なので、強いコントラストを生み、構えやすさと残像効果を高めるため、今でも使っている選手もいます。赤のカラーリングだけでなく、デイが『スパイダー』に取り入れたものがあります。それはネック。当時の『スパイダー』にはシングルベンドかダブルベンドしかなかったのですが、彼はそれを切って小さなネックを溶接。これが現在、マキロイが愛用しているスモールスラントの原型になりました。『スパイダー』のようなヘッドの大きなネマレットは通常、真っすぐストロークしやすいようにベントネックでフェースバランスにしています。ところがデイは開閉を使うストロークなのでネオマレットの『スパイダー』にもブレードのような操作感を加えたんです。そこからスパイダーは多様なネック形状を展開し、最新モデルではマキロイらのスモールスラント、シェフラーが使うクランクネック、そしてダブルベンドの3モデルを展開し、ストロークによって最適なものが選べるんです」

スパイダーシリーズ
スパイダーに必要な3つの要素
「初代から最新モデルまで『スパイダー』には一貫して守り続けている3つの要素があります。1つは”パフォーマンス”で、ブレにくさやミスヒットへの寛容性。2つ目は”ロール”、つまり転がりの良さ。3つ目は”エイム”、すなわち構えたときのアライメントの取りやすさです。”パフォーマンス”はヘッド外周に重量を配置し、クモが足を広げたような独特のシルエットで慣性モーメントを大きくし、ヘッドのブレを抑えます。素材や構造は進化していますが、この特徴的な形は不変です。
”ロール”は2011年から搭載されている『ピュアロール』インサートがインパクト直後のバックスピンを抑えて素早く順回転へ導きます。これはフェース面に向かって45度下向きに傾斜したグルーブ(溝)が特徴で、設計上は毎分25〜50回転の順回転を発生させます。”エイム”においても、一本線、T字、ボール幅の『トゥルーパスアライメント』など、多彩なアライメントを開発し、視覚的な構えやすさを追求してきました」(田中氏)
”第4世代”はゼロトルク
「ジェイソン・デイやダスティン・ジョンソンが愛用した『スパイダー ツアー』を第2世代とするならば、2019年の『スパイダーX』は第3世代と言えるでしょう。このモデルから構造が変わり、アルミのボディ+ステンレスの外周部という組み合わせから、ステンレスの一体構造になり、内部に空洞を設けカーボンでふたをしています。これは最新の『スパイダー ツアーX』にも受け継がれています。
そして今年、新たに第4世代とでも言うべきいわゆる”ゼロトルク”パターの『スパイダーZT』が登場しました。形は従来の『スパイダー』とは異なりますが、”3つの要素”を備えつつ、シャフトがヘッドの重心位置に挿さっていることで、ストローク中にヘッドを回転させる力、”トルク” が発生しにくくなります。つまり、真っすぐなストロークでも、開閉を使うストロークでも、軌道に対してフェース面が常に直角になるオールマイティなパターなんです。
どの『スパイダー』を選べばいいのかわからない人は、今秋に東京・八重洲にオープンした『TaylorMade FittingLab Tokyo』でパターフィッティングを行っていますので、どのスパイダー、どのネックタイプが自分に合うのか、ぜひ予約して体験してみてください」(田中氏)
PHOTO/Hiroaki Arihara、Tomoya Nomura、Akira Kato


