こんにちは、上原彩子です。私は今、沖縄にいます。来年に向けてのトレーニングを本格的に始めたところです。まずは最初に、年末に飛び込んできた悲しいニュース、23日にお亡くなりになったジャンボ尾崎(尾崎将司)さんについて。ゴルフ界のレジェンド、今のゴルフ界の礎を作った方です。
実は私、プロになってすぐくらいの頃にジャンボさんの合宿に参加したことがあるんです。とても寒い時期だったんですけど嬉しくていきなり激しくトレーニングしてしまって。私は体の感覚が鈍いから……合宿始まってすぐに体を痛めてしまい、その後まったく練習できない状態になって見学するだけになってしまったんです。それでジャンボさんに「何しにきたんだ」と怒られたんですよ。でも、そこからはジャンボさんの優しさを感じる出来事が……。「罰ゲーム」と称して、一発芸を求めて、周りに溶け込めるようにしてくれたんです。ジャンボさんはレコーディングするほど歌がすごく上手いようなのですが、そこで私は沖縄の民謡を歌いました。喜んでくださったと思います。何だか変なエピソードですけど、心に残っています。ジャンボさん、どうぞ安らかにお眠りください。
LET(欧州女子ツアー)を沖縄で!
さて、今月はお世話になっているスポンサーの皆さんにご挨拶したり企業見学をさせていただいたりいます。本当にいろいろと勉強にもなります。
私自身も、来年で3回目となる基地内での日米交流「フレンドシップ」イベント開催に向けて準備しています。このイベント名は、この連載と同じで「いちゃりばちょーでー」(一度会ったら皆家族、という意味です)なんですよ。私の好きな沖縄の言葉です。ジュニアの頃、嘉手納基地のゴルフ場で、日米ジュニアの交流会があって、それをきっかけに世界で戦いたいという気持ちが芽生えたんです。ゴルフに限らず子どもたちが広い視野を持って、沖縄だけでなく世界に羽ばたいていけるように、何かチャンスを作りたいんです。

(左から)東尾理子、宮里藍、畑岡奈紗、上原彩子、宮里美香。「WOWOWの取材で久しぶりに仲間に会えました!」
海外でいろいろな文化や生活を目の当たりにすると、いろいろと考えさせられます。インドや中国などでの貧富の差を実感して、生まれで人生が決まったり、悲惨な環境で生活している子どもがいる。でもモロッコでは、学校に行ける子や行けない子がいて、格差もすごくありながら同じ場所で生活しているけど皆すごく幸せそうなんです。人間の在り方、本質的なもの、本当に大事なものは何かを考えます。そうしているうちに、やりたいことが増えていくんです。
LET(欧州女子ツアー)を日本の沖縄で開催できるように動き始めましたし、こういう行動力は、皆さんに協力してもらえるから生まれることでもあります。
ユイマールビレッジ構想
もう1つ私が好きな沖縄の言葉に「ゆいまーる」があります。助け合い、という感じの意味です。沖縄にもともとあるすごくいい文化なんです。たとえば困っている人がいたら寄り添って助けあったり。私のイメージでは、沖縄は根本的にすごいものを秘めている場所。今は少し変わってきていたり、皆忘れているかもしれないけど、何かのきっかけで取り戻したときに、すごくいいほうに向かうのではないかと。

沖縄でも大好きな日本そばを食べる彩子。「12月22日で42歳になりました!引き続きハッピーにいきます」
沖縄って、単身親世帯が多いんですけど、今は高齢の方々が一人で暮らしていることも多いですよね。そういう子どもたちやお年寄りたちが、皆で楽しく支え合って、血のつながりはなくても家族みたいになれるんじゃないかと。私にはそういう“村”みたいな場所を作りたいという大きなビジョンがあるんです。「ユイマールビレッジ」。まだイメージでしかないんですけど……。またこんなことを考えすぎると、寝る時間がなくなってしまいますね(笑)。ほどほどにしながら、2026年、ヨーロッパで1勝できるように頑張って、さらにゴルフも人生も楽しくいきたいなと思います。
来年もこの連載は続きます。戦う“体づくり”もあるので2週間に1度のペースでのんびりいきますので、ぜひ楽しんでくださいね。皆さん、どうぞよいお年をお迎えください!
写真/本人提供、Tadashi Anezaki



