英国の300以上のコースを踏破しているリンクス研究家の武居振一氏。氏が印象深かったクラブハウス(19番ホール)を2例紹介する。
画像: 写真はムーアパークのクラブハウス

写真はムーアパークのクラブハウス

1つは1679年に建築されたスコットランドのカントリーハウス、ムーアパーク。元々、同ハウスはグレートブリテン島の田園地帯に、貴族たちが住居として建設した邸宅。その後、1720年に再建。鬱蒼(うっそう)とした森林と緑地に囲まれた敷地に、1923年、36ホールのムーアパークGCが開場している。設計は近代コース設計の祖、ハリー・H・コルト。

「17世紀建築の壮大な規模、館内の美術館のような佇まいに圧倒されました。すべての壁面や天井は絵画で装飾され、サロンには著名なウィリアム・ランケン(1881~1941)の絵画が飾られていました。えっ、これがクラブハウス? と心底驚きました」(武居氏)

訪ねた時には1階の大ホールで女性メンバーたち100名以上がワインやシガーを片手にブリッジゲーム大会を行っていて、宴たけなわ。メンバーライフの彼我の違いを痛感させられたという。

「私もギネス(黒ビール)のグラスを傾けましたが、目をつぶると17世紀に生きた人たちのさんざめきが聞こえてくる気がしました。歴史を旅するということを実感した瞬間でした」(同)

戦時中は英国空軍落下傘部隊の本部として徴用された。それだけサイズが大きく、しかもクオリティが高い証左でもあろう。一方、小粒ながら宝石のごとき優雅な19番ホールは? 武居氏が推すのがイングランドにあるロイヤルウォリントン&ニューマーケットGCだ。

設計はムーアパークと同じくコルト(原設計はトム・ダン)。希代の評論家、バーナード・ダーウィンは「神聖なフェアウェイ、コース設計の最も凝縮された力強いコース」と評した。伝統的"2ボール"(4人1組で2つの球[2人が1つの球]を打つ)のコースとしても名高い。さて、19番ホールはというと。

「不思議の国のアリスの世界。小さなプロショップにカウンターだけのドリンクバーがあり、奥には20人程度で満席になるラウンジ。おとぎ話に出てくるような雰囲気を醸し出していました」(武居氏)

プレジデントのイアン・パティソン氏(R&Aの元キャプテン)が、同じくR&Aの会員でもある武居氏に薦めてくれたのはクラブのロゴにもなっている「ピンクジャグ」、シャンパンにブランデー、レモンなどを配合したカクテル。英国において19番ホールのないラウンドは「ゴルフ」とは言わないのである。

※週刊ゴルフダイジェスト2026年2月10日号「バック9」より


This article is a sponsored article by
''.