
サヒス・ティーガラ(写真は25年ベイカレント C レクサス、撮影/岡沢裕行)
ティーガラは、両親がインドからアメリカへ移住した後にカリフォルニアで生まれた。
「大学院進学のためインドから米国に移住した父ムラリダールと、同じくインドからの移民である母カルナの間にカリフォルニア州で生まれました。ケビン・ナらを輩出したダイアモンドバー高校で過ごし、ペパーダイン大に進学します。そして彼はNBAロサンゼルス・レイカーズのスター、故コービー・ブライアント氏に憧れていました」(以下、杉澤)
ティーガラはコビー・ブライントのユニフォームでラウンドしたことも【PGAツアー公式X】
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x.com順風満帆なキャリアに見えるが、その道のりは決して平坦ではなかった。
「10歳の時に、父親と練習をしていたら差別的な言葉を投げかけられたそうです。またゴルフに熱中した少年時代にはロサンゼルスのクラブで人種を理由に入会を断られたこともあったそうです。そんな経験が、彼をハングリー精神に溢れる選手へと変えたそうです」
ティーガラは大学時代からとても強く、様々な賞を総なめにした。
「彼はアメリカ学生ゴルフ会の最も名誉ある賞(3つ)ハスキンズ賞、ベン・ホーガン賞、ジャック・ニクラス賞を独占し、同じ年に三冠達成しました。同じ年に三冠達成したのは、歴代タイガー・ウッズなど僅か数名しかいません」
彼の頭脳明晰さは、趣味のチェスにも活かされている。彼はチェスと数学が得意で、IQが高い選手としても知られており、ペパーダイン大学出身で、常に名誉学生であったというのも頷ける。
「彼は不完全であることを最大の武器に変えたアスリートです。ナイスショットを出すのは難しいから難しい場面でのショットの練習をたくさん行い、そういう難しい場面での抵抗を減らす練習をしているそうです。練習の仕方がユニークですよね」
そんな彼のプレースタイルでまず目を引くのは、その独特なスウィングだろう。
「彼のスウィングはダウンスウィングで、頭を大きく右に傾けるのが特徴的です。生まれつき脊柱側湾症を患っており、その影響で自然とこの打ち方になったそうです」
そしてティーガラの魅力は、その実力や個性的なプレースタイルだけではない。2025年のベイカレントクラシックのために来日した際のエピソードは、彼の人間性をよく表している。

雨のなか、ホールアウト後のレッスン会終了後、子どもたちに笑顔でサインをするティーガラ(撮影/岡沢裕行)
「最終ホールをダブルボギーにした直後の出来事です。大会3日目が終わり、ホールアウト後にジュニア向けのレッスン会が予定されていました。あいにくの急な雨で、しかも寒く、風も強い悪天候でしたが、彼はジュニア達のために熱心にデモンストレーションを行いました。レッスン会後、関係者がお礼を述べて彼を帰そうとしたところ、30人くらいの子どもたちがサインを求めて集まってきました。通常であれば、選手のコンディションを考慮して断ることもできたはずですが、彼は子供たち一人ひとりに丁寧にサインをし、写真撮影にも笑顔で応じて、クラブハウスへ帰って行きました。彼の人としてのスタンスがよく表れたエピソードだと思います。そりゃファンも増えますよね。実力はもちろんのこと、その温かい人柄こそが、彼を世界のトッププロへと押し上げているのだと、日本のゴルフ界に伝えてくれたと思います」
【動画】ティーガラの人柄がわかるTGLでのひとコマ【PGAツアー公式X】
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x.com2020年にプロ転向を果たしたティーガラ。その才能はすぐに開花し、PGAツアーへの道を駆け上がっていく。
「下部コーンフェリーツアーを経て21年秋にPGAツアーへ昇格しました。ルーキーイヤーから優勝争いに加わるなど、その実力をいかんなく発揮し、23年9月には地元カリフォルニア州で開催された『フォーティネット選手権』で悲願の初優勝を飾りました」
PGAツアーに2021-2022シーズンから本格参戦したティーガラは、学生時代から注目されていた選手だった。その才能を証明したのが、2022年の本大会だ。
「ツアールーキーとしてバタバタしていて遠征が続いていたなか、実家から通っていて、親戚一同で応援に来ていたそうです。当時も名前の呼び方がどうなのか、話題になるくらい、会場からも応援されていた選手でした」
最終的に優勝スコアとなる16アンダーで17番ホールを迎えた。
「彼は優勝まであと一歩というところまで迫る中、17番ホールを迎えました。17番はワンオンも狙える短いパー4です。イーグルが出るかもしれないし、バーディが出るかもしれないし、周りは17番で単独トップで立つだろうと思っていたはずです。しかし、無情にもそのティーショットが池に入ってしまい、そのホールはボギーとなってしまい、惜しくも優勝を逃してしまいます」
【動画】22年WMフェニックスOP最終日、ティーガラ17番で痛恨のミス【PGAツアー公式X】
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x.com当時の上位陣を見ると、スコッティ・シェフラー、パトリック・カントレー、ブルックス・ケプカ、ザンダー・シャウフェレといった錚々たるメンバーが名を連ねていた。
「ティーガラはプレースタイルが若々しく、笑顔が多いことから人気がありました。ホールアウト後、負けた悔しさもあるし、ホッとし緊張が切れたのか、強烈に泣いていました。こういうところも初々しく人気が出て、ここで大きく彼の存在が知られた試合だったと思います。ティーガラにとって、起点となる大会であったと言えるでしょう」
本大会は、ティーガラにとって特別な大会だ。
「彼は今回が本大会5回目の出場となります。2024年には5位にも入るなど、本大会との相性は良い大会です」
しかし、昨年は怪我に苦しんだ。
「昨年は怪我で苦しい一年だったそうです。予選落ちが4回続き、シーズン中に棄権した大会もあったとのことです。しかし、そこから見事に復帰し、今シーズンは良い調子で来ていて復活の年になるだろうと思います」
その苦難を乗り越え、今年は好調を維持している。
「2026年に入ってからの直近2試合でトップ10に入っており、『ジ・アメリカン・エキスプレス』で8位タイ、『ファーマーズ・インシュランス・オープン』で7位タイと、好調を維持しています。相性の良いこの大会で、悲願の優勝を飾ることができるのか、注目したいですね」
さあ、そんなサヒス・ティーガラの熱いプレーにぜひご注目ください。
U-NEXT 木村真希
