常に最新のスウィング理論を研究し、情報をアップデートしている永井延宏コーチが、近年注目しているスウィングがある。世界で活躍するトッププロ、若手注目プロは、皆この動きだと言う。キーワードは「向心力」。週刊ゴルフダイジェスト2月17日号で解説してもらっている。「みんゴル」でもその一部を紹介しよう。
画像1: 「遠心力」だけでは飛ばない? シェフラーも実践する「向心力」の正体

解説/永井延宏
ながい・のぶひろ。69年生まれ。94年渡米、ミニツアーを回りながら最先端のティーチング理論を学ぶ。帰国後多くのプロ・アマを指導。06年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。現在もレッスンをしながら、国内外のスウィングと最新理論を観察・研究し続ける

「昔からよく我々ティーチングプロは、『遠心力で飛ばせ』、いわゆる『軸を作って回転して遠心力を使う』と言っていたけれど、現代では『向心力』とセットで使うべき言葉になったんです」

円運動する物体には、円の中心に向かう力が働く。これを「向心力」という。

「ジャンボ(尾崎)さんたちから続く時代は『遠心力』がメインのスウィング。グリップエンド支点
で、クラブを下方向に積極的にリリースし、グリップエンドをターゲットラインに沿って大きく放り投げていく使い方で、体幹から外へエネルギーを放出して飛ばしていました。しかし近年、クラブの大型ヘッド化で慣性モーメントが高まり、グリップエンドを支点にするとトウダウンが起こり、遠心力に負けてエネルギーロスになったり、フェース面の管理をすることも難しくなってきた。アマチュアにはアウトサイドイン軌道の“大根切り”になったり、どこに飛んで行くかわからないミスが出る人
も多い。もちろん遠心力はその人の最大の飛距離を得るために必要。ただ、遠心力だけを使いながら常にクラブコントロールができる人は数%の世界なのです」

画像: 全米オープン覇者JJ・スパーン(画像左)、新星ロッティ・ウォード(画像右)、М・ソービヨンセン、入谷響など古今東西の注目プロも“向心力”メインだという。「松山英樹選手も近年ではフィニッシュで左サイドが少し高く、胸を縦に使うような動きが見られ、“向心力”を意識している気がします」

全米オープン覇者JJ・スパーン(画像左)、新星ロッティ・ウォード(画像右)、М・ソービヨンセン、入谷響など古今東西の注目プロも“向心力”メインだという。「松山英樹選手も近年ではフィニッシュで左サイドが少し高く、胸を縦に使うような動きが見られ、“向心力”を意識している気がします」

今のトップ選手は「向心力」メインで「遠心力」を使いこなす方向に進んでいると永井コーチ。

「遠心力は体に対して離れていく力。ダフりやテンプラは遠心力が余ってしまいコントロールできていない状態。その力に対して、引き上げる方向の力(向心力)を入れて相殺しないといけない。少し壮大な話をすると、太陽系では、太陽が止まっていて地球などが回っているのではなく、引っ張り合いながら回っている。このバランス感が安定感を作ります」

画像: クラブには“振りやすさの指標”とされる「バランスポイント」がある。「これはシャフトの途中にあり、グリップエンドにはない。グリップエンドを支点にしては上手く振れないことにつながります」

クラブには“振りやすさの指標”とされる「バランスポイント」がある。「これはシャフトの途中にあり、グリップエンドにはない。グリップエンドを支点にしては上手く振れないことにつながります」

現在“世界一”のS・シェフラーの正確性、飛んで曲がらない理由はこのためだという。

「シェフラーを始め、トップ選手は左サイドの動きが大きい。軸がブレないようにすれば当たるということではなく、自分の体を積極的に動かすことで向心力を使い、クラブを正確に、かつ強くコントロールしているんです」 

言葉で説明してもわかりづらい「向心力」。ボール(練習で使うゴムボールなど)を使って向心力を体感するとよいと永井コーチ。

「100円ショップでも売っています。左胸、左のあばら骨あたりにボールを置き、左の腕で抑え、左サイドを動かすと向心力が見えてきます。このようなボールを使うとき、両腕に挟んでスウィングするドリルを思い出す方も多いと思います。その場合は、初心者などが手打ちを防ぐためのものとしては役立ちますが、グリップエンド支点になりやすい。より上達するためには、別の場所でボールを挟んで、向心力を体感してほしいのです」

ただ、その違いを知るために、まずは両腕に挟んで、「遠心力メイン」のスウィングを体感してみよう。

「ボールとクラブが同じ方向に動くことこそ向心力が使えていない証拠。軸中心の振り子運動です。三角形を崩さずに動かし、インパクトではアドレスの再現を目指す。グリップエンド支点で、それを縦に上げ下げする“餅つき“のようなスウィングとなります。結果的にトップは(時計の針で)12時くらいと大きくなり、また、軸で回転するので、軸がブレたら上手く当たらず球がバラつきます」

一方、「向心力メイン」のスウィングは?

「ボールとクラブが引っ張り合う感覚がわかれば向心力が使えている証拠。アドレスからバックスウィングにかけて、左の背中に向かってボールを動かすイメージで、そのままトップまで行く。ここからボールを左に引き上げながらダウンし、インパクト後の(時計の針で言う)3時までボールの下にヘッドがある状態をキープする。最後は一緒に抜けていく感じです。結果的に、小さなトップでフラットなスウィングになります」

ボール(向心力)が自分のスウィングをリードしていく感覚を覚えたい。ポイントは、「グリップエンドを引っ張りながら打つ」こと。ボールがつかまる感覚も出てくるという。

「アマチュアの皆さんを見ていて、上手くいっていない人は、最下点が球の手前(右側)に来ています。遠心力メインだとそうなりがちです。上手い人たちの最下点は球の左側です。グリップエンドの動きが、インパクトゾーンからフォローにかけて左サイドに入ってくることが大切です。このときにヘッドが一緒に付いてきたら、アウトサイドイン軌道になりますので、そこは注意してください」

両方使うことが大事!
向心力を使うから、遠心力をコントロールできる。それぞれが引っ張り合うからこそ、スウィングが安定し、再現性も高まる

画像5: 「遠心力」だけでは飛ばない? シェフラーも実践する「向心力」の正体

左腕にボールを挟んで行う「向心力メイン」の素振りは、「向心力スウィング」のキモのドリルとなるのでじっくりやってみよう。

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左腕にボールを挟むドリルで「向心力」の感覚をつかんだら、いよいよ実践編。2月17日号の「週刊ゴルフダイジェスト(以下のMyゴルフダイジェスト)では、昨年の賞金王・金子駆大やメジャーリーガー・大谷翔平の動きを引き合いに、向心力を活かしたスウィングの核心に迫っている。永井コーチが語る「体は開いてもいい」「左の壁はいらない」という言葉の真意とは? これまでの常識を覆す、飛ばしの新常識を解説しよう。

PHOTO/Yasuo Masuda、Yoshihiro Iwamoto、Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Getty images

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