アリゾナ州・TPCスコッツデールで開催されているPGAツアー「WMフェニックスオープン」2日目。2016年、2017年と連覇を達成した好相性の地で、松山英樹がその実力を遺憾なく発揮した。

怒涛の6連続バーディ。メジャー覇者をもしのぐ安定感

この日、松山は通算10アンダーまで伸ばし、ホールアウト時点ではリーダーボードの頂点に立った。しかしその後、午後組の久常涼が「63」というビッグスコアを叩き出し、通算11アンダーで単独首位へ浮上。松山は1打差の単独2位となったが、これにより決勝ラウンド初日は、日本人選手2人が最終組でプレーするという、日本のファンにとって最高の舞台が整った。

後輩・久常の猛チャージに沸いた2日目だが、松山のプレーもまた凄まじかった。

インコースの10番からスタートした松山は、12番までパーを並べる展開。しかし、13番でこの日初バーディを奪うと、そこから18番にかけて怒涛の「6連続バーディ」を奪取。前半だけで一気に9アンダーまでスコアを伸ばし、リーダーボードを駆け上がった。

「6連続バーディというのもなかなかないことですが、気持ちよくバーディを取っていけたラウンドでした」(松山)

後半のアウトに入ってパーを重ねた後、4番、5番でも連続バーディ。最終9番ではこの2日間で初となるボギーを喫したものの、終わってみれば「64」。まだ大会は折り返し地点ではあるが、優勝の最右翼へと一気に躍り出た。

「(11年前にここで63で回っていますが、)そのスコアに迫るようなプレーができました。気持ちよく週末へ向かっていけそうです。16番ホールも、あの距離(9m)が入ったのは初めてなので嬉しかったですね」(松山)

画像: 13番と5番ホールでは砂地からの2打目となったが、いずれもバーディ!(写真は5番ホール)

13番と5番ホールでは砂地からの2打目となったが、いずれもバーディ!(写真は5番ホール)

同組で回ったのは、メジャー2勝のコリン・モリカワと、2022-23年間王者のビクトール・ホブラン。実力者2人とのラウンドとなったが、松山はドライバーの飛距離で彼らより30ヤードほど先に行く場面もあり、フェアウェイキープ率も高かった。時に大きく左に曲げ、2度ほど砂地(ウェイストエリア)からのショットを余儀なくされたが、そこからはいずれもバーディにつなげた。

「手応え自体は(初日と)変わりませんが、修正がうまくいったのだと思います」(松山)

代名詞であるアイアンショットは切れ味を増している。初日とは違い、風のない午前組でのスタートだったことも好材料となったようだ。

ライバル達が苦戦した「魔のコレクションエリア」

そしてもう一つ、スコアメイクを支えたのがアプローチだ。TPCスコッツデールはグリーンが砲台状になっているホールが多く、その周辺は短く芝が刈り込まれた「コレクションエリア」が待ち受けている。この日はピンが端に振られているホールが多く、ニアサイドからのアプローチは、共に回ったコリンもホブランも苦戦。初日にはコリンやシェフラーでさえも、いわゆる“チャックリ”のミスをするなど、非常に繊細なクラブさばきと距離感を要求される。コリンはそれを警戒してかFWで転がし、ホブランもパターを多用するケースが目立った。

画像: コリン・モリカワのFWを使った転がしアプローチ

コリン・モリカワのFWを使った転がしアプローチ

一方の松山はショットが好調だったためアプローチの機会こそ多くはなかったが、それでも世界一とも言われるウェッジショットで、たびたびピンチを凌いだのはさすがだった。

「打音が違う」 佐久間朱莉が受けた衝撃とヒント

この日、松山の組のギャラリーの中に、日本から訪れていた女子プロゴルファー・佐久間朱莉の姿があった。昨日ピンの本社でフィッティングを終えたという彼女は、これで3年連続の現地観戦だという。

画像: 2025年4勝を挙げ、JLPGA年間女王に輝いた佐久間朱莉。3年連続でフェニックスオープンを訪れている

2025年4勝を挙げ、JLPGA年間女王に輝いた佐久間朱莉。3年連続でフェニックスオープンを訪れている

当然、日本の先輩である松山をウォッチングしていると思い、あえて「もちろん(ピン契約の)ホブランの応援ですよね」と聞くと、「いえ、まさかのコリンです(笑)」と笑顔で返された。冗談めかして答えた佐久間だったが、目の前で繰り広げられる松山のプレーには、同じプロとして衝撃を受けていたようだ。

「でも本当に、松山さん凄いです。インパクトの音が違います。特に調子が良いからかもしれないですが、アイアンで聞いたことないような乾いた音がします。(圧のかかった)ドライバーの音も凄いですね。でも速すぎて球を追えません」

観戦していて吸収したいことなどあるかと聞くと、彼女はこう語った。「ショットはもちろん凄いんですけど、そこはパワーが違いすぎて、ちょっと…。でもアプローチなら取り入れられる要素があるかなと思って見ています。私の今の課題でもあるので。コリンとかはいろんなクラブで寄せますよね。去年全英女子オープンに行ったときにアプローチが通用しなかったので、いろいろなバリエーションを増やしたいと思っています」

画像: 「みんな苦しんでいるのに、松山さんだけ簡単に寄せているように見えました」(佐久間)

「みんな苦しんでいるのに、松山さんだけ簡単に寄せているように見えました」(佐久間)

そして話題は、松山の巧みなウェッジワークへ。 「松山さんは今日、全部ウェッジでアプローチをしたと思いますが、そのクラブの入れ方がひと際凄い。聞いたらウェッジのバウンス角が全然ない(0度)らしいんですよね。それでもバウンスを使って(当てて)打っているようなアプローチなんです。ああいう風にウェッジを使えれば、こういう海外の下が硬いライからでも寄せられるんだろうなって思って見ています。私が打ったらチャックリ連発でしょうけど(笑)。今年もまたヒントをもらって帰りたいです」

最後に彼女は、初日のあるシーンを思い出しながらこう付け加えた。「シェフラーのチャックリ、見ました。あんな凄い人でもやっちゃうんだなって、ちょっと安心しました」

世界トップの技を肌で感じ、自身の糧にしようとする佐久間プロ。その後輩プロの視線を背に、松山英樹は3度目のフェニックスオープン制覇へ向け、週末の戦いに挑む。

PHOTO/Yoshihiro Iwamoto


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