
昨年のドライビングディスタンスが296.76Y(22位)だった杉浦悠太。300Y級の飛ばしの秘けつとは?
トップで作った「最強の軸」をどう使うか

トップは「右股関節の上に左肩が来る」のと「頭・背骨付近から左足に向かって一本の斜めの線」が引けるような形が理想的
「前回、杉浦プロのトップの形は、正面から見た際、頭(背骨)から左足にかけて引ける一本の斜めの線がスウィングの軸になっていると説明しました」
この「斜めの軸」が、トップからインパクトにかけて最大限のエネルギーを放出するための重要な役割を果たしているという。
「多くのアマチュアのみなさんは、体重移動を『右から左へ』という横の動きで飛ばそうとします。しかし、杉浦プロはトップで作った『頭から左足への斜めの軸』をそのままに、インパクトでこの『斜めの軸回転』でボールを飛ばします」
軸は地面から垂直ではなく、あくまでも斜め。だから回転のエネルギーをアッパーブローでダイレクトにボールへ伝えられるのだ。
「頭から左足への斜めの軸」でインパクト

トップで作った「頭から左足への斜めの軸」を利用して、インパクトでボールを飛ばす
また、この軸を利用するインパクトの重要なポイントは「脱力スウィング」だ。1回目に触れたポイントだが、杉浦は切り返しで力を抜くことで、クラブが自然落下するのを待つことができるという。
「トップから打ちに行こうと力むと、体が開いたり、クラブが外から入ったりします。杉浦プロは、切り返しで脱力しているので、腕とクラブがスッと落ちてくる。その結果、インパクトゾーンでも両ひじが適度に曲がった状態が保たれて、体の正面でボールをとらえることができます」

両腕が伸びきらず、五角形のような形になる杉浦のインパクトは脱力によるもの。体の正面でボールをとらえているのもよくわかる
杉浦のインパクトは、両腕が伸び切らず、五角形のような形になる。これは決して手打ちではなく、体の正面でボールをとらえた脱力によるものだ。
「あえてひじを伸ばそうとせず、曲がったままインパクトを迎えることで、フェースの開閉(ローテーション)を抑えています。急激に腕を伸ばしてフェースを無理やり返せばまぐれで飛ぶかもしれませんが、曲がるリスクも増えます。杉浦プロは『シャットフェース』で下りてきたクラブを、そのまま体の回転でボールにぶつけていく。だからこそ、飛距離が出て曲がらないのです」
「一度沈みこんで左足を伸ばす」と飛距離は伸びる

切り返しから一度グッと沈み込み、インパクト直前から左足を伸ばしていく
では、脱力したままどのようにしてボールに強烈なパワーを伝えているのか。それは下半身の使い方がポイントになる。
「インパクト直後の写真を見ると、杉浦プロの左足はピンと伸び、ジャンプしているように見えますよね。これは意図的にジャンプしているというより、強烈に地面を踏み込んだ反動を使っている証拠です。『しゃがんで、伸びる』。この上下動のエネルギーを斜め軸の回転に変えているからこそ、腕力に頼らなくてもボールは飛んでいくのです」
ボールに向かって前傾をキープしたまま、一度しゃがんで、インパクトの瞬間に左足に踏み込んでジャンプ。よく言われる「地面反力」を意識しているわけではないが、軸回転に合わせて下半身を使ったエネルギーをボールに伝えることができる。

「『しゃがんで、伸びる』。この上下動のエネルギーを回転に変えているからこそ、腕力に頼らなくてもボールは飛んでいくのです」(奥コーチ)
インパクトの瞬間、左足から背骨にかけての「軸」は一直線になり、そこに全てのエネルギーが集約される。これこそが、172センチの体で300Yを飛ばす秘けつといえる。
23年にダンロップフェニックスでアマチュア優勝を果たし、24年は日本プロでプロ初優勝を飾り、昨年はACNチャンピオンシップでツアー2勝目を挙げ、今年の米下部ツアー出場権を得た。世界にひけをとらない杉浦の飛距離と米下部ツアー初優勝、そして米ツアー昇格への挑戦に注目したい。
撮影/岡沢裕行


