「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はマキロイがアイアンを替えた意図とヘッド構造による違いについてクラブ設計家と考えてみた。
画像: ローリー・マキロイがアイアンをテーラーメイド「P7CB」にチェンジ(Photo/Getty Images)

ローリー・マキロイがアイアンをテーラーメイド「P7CB」にチェンジ(Photo/Getty Images)

マッスルと同じ打感を求めているマキロイ

みんゴル取材班(以下、み):ロリー・マキロイが2017年から使い続けてきた「RORS PROTO」を「P7CB」に替えたことが話題になりました。完全な自分仕様で23勝も挙げてきたアイアンをよく替えられたものだと思います。

宮城:「P7CB」はキャビティといってもヘッドが小さいです。かまえたときに違和感がなく、ラフでヘッドが抜けてくれて、スタンダードロフトならすぐに使えます。

み:マキロイいわくちょっとのミスで10から15ヤードもショートするようになったことがきっかけだったそうです。一方、キャビティを試す前は飛びすぎを心配していたとか。マッスルバックとキャビティではそんなに違いがありますか?

宮城:まず、ミスしたときのショートと距離を落としたいときの飛びすぎは表裏一体です。ただ、マッスルバックと「P7CB」のようなハーフキャビティなら飛び方が劇的に変わることはありません。マキロイとしても少しでも距離をカバーしてくれたらいい、それくらいの考えだと思います。

み:流行りの中空アイアンならもっと飛距離をカバーできるのでは? ツアープロもけっこう使っているし、マキロイ本人も4番に「P760」を入れています。

宮城:マキロイはマッスルと同じ打感を求めていると思います。「P7CB」は軟鉄一体鍛造で打点の裏側が厚いので打感もそんなに違わないはずです。一方、バネ鋼フェースの中空アイアンはパチンと硬い打感なのでまったくの別物です。そもそも中空構造だからといっていうほど飛ぶわけでもありません。空洞に樹脂が入っているのでそんなにフェースがたわまないからです。中空アイアンが飛ぶのはロフトが立っているからです。スピンコントロールできないことも致命的で、飛ばしたいアマチュアならともかくプロが中空を使うメリットはほとんどありません。

み:それなのになぜ中空アイアンが増えたのですか?

宮城:いちばんかんたんに作れるからでしょう。フラットなボディとフェースを溶接して樹脂を流し込むだけですから。中空でもツアーモデルはやがて廃れていくと思います。

み:これもマキロイは使わないと思いますが、ポケットキャビティなんかはどうでしょう?

宮城:フェースを薄くできるし、重心を深くできるのでアマチュアにはすごく恩恵があると思います。ただ、真ん中の重量を削ってフェースも薄くするとヘッド重量が足りなくなるので、ヘッドが大きくなったりソールが厚くなったりします。フェースが割れないようにトップブレードも厚くなるので、見た目がプロモデルではなくなってしまいます。


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