世界で活躍するプロたちにも、「欲」がプレーの邪魔をすることがあるという。我々アマチュアはなおのこと。「欲」を手放すためには何が必要なのか。「週刊ゴルフダイジェスト」3月3・10日合併号ではメンタルコーチの赤野公昭氏に話を聞いている。「みんなのゴルフダイジェスト」ではその一部を紹介しよう。
画像: 左から金谷拓実、星野陸也、小斉平優和

左から金谷拓実、星野陸也、小斉平優和

実例! 僕らの“欲”が ミスにつながった

まずは、トッププロたちが味わった「欲」によるミスの実例を見てみよう。

「『シードが決まる!』、欲まみれで打ったら、1mを外しました」(金谷拓実)

昨年終盤、バミューダの強烈な風の中の試合で、「最後の1mのパーパットが入れば、ほぼシード確定だとわかっていた。でも体も結構しんどく、決めて早く日本に帰りたい、決めたら最終戦に行かなくてもいい、と欲まみれでした」。

画像: 金谷拓実

金谷拓実

「『芝が違う難しさ』、PGAツアーの最初の10試合、まったく入らなかった」(星野陸也)

昨年、PGAツアーという夢の舞台で、未経験の芝目の強いグリーンに最初は適応できず。「活躍したい」思いが「入れたい」焦りに。「1~2ピンくらいのバーディパットでも、以前はストロークなど気にせずに打っていたんです」。

画像: 星野陸也

星野陸也

「『フェアウェイなら断然有利』、初優勝を意識しすぎて連続OBです」(小斉平優和)

一昨年、SanSan KBCオーガスタでの香妻陣一朗とのプレーオフにOB3連発で初優勝を逃す。「先に打った香妻プロの2オンは難しそうでした。フェアウェイにドローで強い球が打てれば2オンして有利になると頭によぎって気合いが入り過ぎたのかも……」。

画像: 小斉平優和

小斉平優和

思考が身体を力ませるんです

画像: 金谷拓実も「欲まみれ」で1mを外した! トッププロを狂わせる「頭の力み」の正体。思考が増えると体は固まる

解説/赤野公昭
あかの・きみあき。1972年岡山県生まれ。世界のアスリートを育てたアメリカのトップメンタルトレーナー、ジョセフ・ペアレント博士に師事。日本古来の「禅」と欧米の最新理論を融合させた独自のメソッドで、プロゴルファーはじめ多くのアスリート、企業人などを指導

「欲」とは「我」だと赤野氏。

「人間がもともと持っている一番基本的な“機能”です。欲があるから人間は進化してきたし、進化していく。ですから欲というものは悪い働きをするばかりではないんですけど、『欲張り』という言葉があるように、欲だけでプレーをすると、ある一定以上のパフォーマンスはできないのです」

なぜ欲がプレーを邪魔するのか。

「欲というものは『思考』でもある。もっと上手くなりたい、もっといいスコアで上がりたい、もっと飛ばしたい、勝ちたい、入れたい……思考が中心になると、頭が力む。その結果、身体に力みが出ます」

よくいう“力んでいる”状態。これは“頭の力み”だと赤野氏。

「ゴルフで一番よくない力みは、頭からくる身体の力み。それなのに、どこが力んでいるのかわかっていない人が多いのです」

冒頭で紹介した3人の男子プロにもすごく大きな「欲」があった。

「シードを取りたい」(金谷)
「(初参戦のPGAツアーで)活躍したい」(星野)
「初優勝したいから飛ばしたい」(小斉平)

「強風や今まで経験したことのない芝、同伴競技者との比較など、周りの環境の要素によって思考は増えます。言葉の量が増えてまさに頭の力みが大きくなっている状態ですよね。これが身体の力みとなり、彼らのミスにつながったのです」

欲からはじまる思考は、どんどん増えていく。

「フェアウェイに打ちたいから左はダメだけどさっきは右にいったからどう打ったらいいか、バーディは取りたいけどボギーは打ちたくない、など考える量が増える。頭で言語化することが増えます。頭が力んでいるときは言葉がものすごく多いとき。欲の多さと言葉の多さはイコールなんです。仕事でもゴルフでも言葉が多くなっているときは思考が優位で頭に力みがあるときです。

仏教には『貪瞋痴(とんじんち)』という“三毒”と言われているものがあります。『貪』は『むさぼり』で、もっと欲しいという『欲求』、『瞋』は『怒り』で、欲しくないものへの『嫌』。人間は嫌なものは排除しようとします。『痴』は人間の『愚かさ』で、ああなったらどうしようなどといろいろ妄想してしまう。『貪瞋痴』をいかに減らしていくかが禅の修行ですが、そこでは、貪らない、怒らない、妄想しない……と自分に言い聞かせる必要があるんです」

「ゴルフには必ず重圧が伴う。『欲(~たい)』と『嫌(~ない)』との狭間で球を打つからだ」(イガイガ)

画像: 『オーイ!とんぼ』の五十嵐一賀

『オーイ!とんぼ』の五十嵐一賀

『オーイ!とんぼ』の五十嵐一賀はこう話す。「“欲(~たい)”は『パーを取りたい』『飛ばしたい』気持ち、“嫌(~ない)”は『OBを打ちたくない』『ダフりたくない』気持ち。『欲』と『嫌』は得るものと失うもの。得るものが大きければ大きいほど人は緊張する。失うものが大きければ大きいほど人は硬くなる。それがゴルフ、それが人間」(画/古沢優)

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トッププロですら陥る「欲の罠」。ここまでは、言葉(思考)が増えるほど頭が力み、体が動かなくなる恐怖をお伝えしました。では、どうすればその呪縛を解き、練習通りのスウィングを取り戻せるのか? 後編ではメンタルコーチ・赤野氏が提唱する秘策「三位一体」の理論に迫っている。松山英樹の強さの根源、そして今日から使える「魔法の言葉」まで。あなたのゴルフを変える“深い安心感”の作り方は「週刊ゴルフダイジェスト」3月3・10日合併号、もしくはMyゴルフダイジェストをチェック!

PHOTO/Shinji Osawa、Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki、Yoshihiro Iwamoto、Getty Images

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