
パッティングが決まれば上位進出間違いなしのスタッツを見せる山下美夢有(写真は2025年北海道meijiカップ、撮影/岡沢裕行)
揺るがない安定感。驚異の「パーオン率89%」
初めてのタイ遠征、そして初めてプレーするサイアムCCオールドコース。独特の気候と芝質、そして強烈なアップダウンに多くの選手が手を焼く中、山下のショットは微塵も揺らがなかった。
初日のスタッツを見ると、フェアウェイキープ率は約86%(12/14)。さらに特筆すべきは、パーオン率が約89%(16/18)に達していることだ。 18ホール中16ホールで、確実にグリーンを捉える。これは、ピンポイントでターゲットを狙うPGAツアーやLPGAツアーのトップランカーがなせる業で、まさに“世界基準”のショットメーカーの数字である。未知の難コースを相手に、初日からこれだけの精度を叩き出せるポテンシャルはさすがの一言だ。
オフトレの成果が即座に数字へ。「下半身強化」の伏線回収
この圧倒的な安定感は、決してフロックではない。開幕前の会見で、彼女自身が語っていた言葉がその根拠だ。
「オフの間は、スウィングをより安定させるために下半身の筋力トレーニングに集中しました」
サイアムCCの激しいアップダウンでもバランスを崩さない強靭な下半身。開幕に向けて自らに課したその過酷なトレーニングの成果が、26年ツアー2戦目の初日、「FWキープ率86%」「パーオン率89%」という見事な数字として、早くも伏線回収された形だ。有言実行のプロセスは、データを見れば一目瞭然である。
上位との差は「グリーン上」のみ。週末の爆発への期待感
ショットが極めて高いレベルで安定している一方で、首位の畑岡奈紗(7アンダー)らとの差はどこにあるのか。答えは「グリーン上」に集約されている。
この日、山下のパット数は「30」だった。対して、首位タイのチャネッティー・ワナサヤンは「28」、同じく首位タイの畑岡はわずか「26」パットに収めている。山下がパーオンした16ホールのうち、あと2〜3個のパットが決まっていれば、トップに並んでいた計算になる。
事前会見でも「アップダウンが多くてコントロールが難しい」と警戒していた通り、強い傾斜と特有の芝目を持つグリーンへのアジャストは、初日ゆえの課題だったと言えるだろう。しかし、裏を返せば、これは明確な「伸びしろ」だ。
ラウンドを重ねるごとにグリーンのスピードや傾斜の読みに適応し、持ち前の多彩なショートゲームとパッティングが噛み合い始めれば、どうなるか。ショットの土台はすでに完璧に仕上がっている。パターが温まりさえすれば、週末にかけて一気にリーダーボードを駆け上がり、トップ争いに食い込んでくる姿が容易に想像できる。日本の“鉄人”が世界を驚かせる準備は、すでに整っている。



