
ザンダー・シャウフェレと並び、4位タイまで浮上したアダム・スコット(PHOTO/Getty Images)
感覚派のベテランが「ラボ」へ駆け込んだ理由
昨夏以降、ショットの調子は良いものの、結果が伴わない日々が続いていた。その原因は明確だった。
「ツアーのレベルは信じられないほど高い。いまのような『並のパッティング』では、どうにもならないんだ」
実際のデータを見れば、彼の苦悩は一目瞭然だ。2021年から2024年まで、彼の「SG: Putting(パッティングのスコア貢献度)」は常にプラスを維持し、ツアー上位陣に名を連ねていた(22-23シーズンは19位)。しかし、昨季(2025年)はその数字が「-0.100(122位)」へと急降下。パットが完全に彼の足を引っ張る弱点と化していたのだ。
長年、己の感覚を頼りにパッティングを作り上げてきたスコットだが、この不振を打破するために彼が取った行動は、これまでの流儀を覆すものだった。数週間前の「ファーマーズインシュランスオープン(トーリーパインズ)」を終えた後、彼はパッティングの「ラボ(研究所)」に足を踏み入れたのだ。
そこで詳細なデータ解析を行い、ストロークのメカニズムを客観的に見直した。長年の感覚だけに頼るのをやめ、科学的なアプローチで自身の弱点と向き合ったことが、今週のグリーン上での自信へと繋がっている。
初日と2日目でパターを変更。決断がもたらしたビッグスコア
さらに今週、スコットは練習グリーンに2本の異なるパターを持ち込み、テストを続けていた。初日は自身のエースパターであるマレット型の「L.A.B. Golf OZ.1i」を握ったが、この日の「SG: Putting」は「-0.163(36位)」。昨季の低迷時と変わらない、まさに彼が言う「平均的」な数字に留まっていた。

2日目に投入し、スタッツが劇的に向上したパター(PHOTO/Getty Images)
しかし、ツノマレット型「L.A.B. Golf MEZZ.1 MAX」にスイッチして臨んだ2日目、数字は劇的な変化を遂げる。「SG: Putting」は驚異の「+2.973(5位)」へと跳ね上がり、パーオン時の平均パット数(Putts per GIR)も「1.42(2位タイ)」を記録。「今朝の練習で感触が良かったほう」を実戦で直ちに投入するという決断が、そのままビッグスコア「63」の原動力となったのだ。週末の決勝ラウンドも、もちろんこの日の相棒で戦い抜くと決めている。
一つの道具や理論に固執せず、ラボでの緻密な解析と、現場でのデータに裏打ちされた実戦テストを経て「今のベスト」を導き出す。ベテランならではの柔軟な決断力こそが、リビエラの難グリーンを攻略する鍵となった。
「ツアーで一番好きな場所」で放った最高の一打
そして何より、彼を力強く後押ししているのは、ここリビエラCCに対する深い愛情だ。過去2度この大会を制している(※2005年は非公式)スコットは、この地を「ツアーで一番好きな場所(favorite stop on Tour)」と公言してはばからない。
「13番を終えた時点で9アンダーなんて、コースに出る前は想像もしていなかったよ」と笑うスコットだが、彼がこの日「最高のショット」に挙げたのは、お気に入りの12番ホールでのセカンドショットだった。
「6番アイアンでのスリークォーター、わずかなフェード。あれは本当に美しいショットだったね」
【動画】アダム自身が「最高」と話した12番セカンドショットは右に2回スクロール! 【PGAツアー公式インスタグラム】
美しいスウィングは健在、そして最大の課題だったパッティングは最新技術と大人の余裕で克服した。 相性抜群の舞台で完全復活の狼煙を上げた45歳のアダム・スコット。週末のリーダーボードの頂点に、再びこの男が立つかもしれない。

