
デビッド・フォードはラドビッグ・アバーグ(2023年)、マイケル・ソービヨンセン(2024年)に続き、PGAツアーユニバーシティの1位選手として2025年にPGAツアーカードを獲得した期待の若手レフティ(PHOTO/Getty Images)
絶望の「+4」。悪夢の17番ホール
スタート直後、フォードのゴルフは完璧だった。最初の3ホールを終えて2アンダー。リーダーボードの上位を快調に走るかに見えた。しかし、PGAナショナルの罠が突如として牙を剥く。ショットの乱れとクラブ選択のミスが重なり、彼はズルズルとスコアを落としていく。
そして迎えた、彼にとっての8ホール目である17番(パー3)。ベア・トラップの締めくくりとなるこの水に囲まれた難関ホールで、フォードは完全な悪夢に捕まった。 結果は「7」。パー3での「+4(クアドラプルボギー)」という大惨事である。
好スタートを切ったはずのスコアは、わずか5ホール(13番〜17番)の間に、スコアを7つ落とし、なんと「5オーバー」まで転落してしまったのだ。プロのトーナメントにおいて、これは予選落ちを覚悟する絶望的な数字である。
【動画】フォードの「+4」は2度池から打ち、諦めてドロップエリアから3パット【PGAツアー公式X】
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x.com20年ぶりの快挙! 怒涛の「3連続直接カップイン」
しかし、デビッド・フォードという男の真骨頂はここからだった。後半のアウトコースに入ると、ゴルフの神様が彼に憑依したかのような奇跡が立て続けに起こる。
まずは2番(パー4)。残り142ヤードのセカンドショット、フォローの風に乗せて50度のウェッジで放ったボールは、なんと直接カップに吸い込まれる「イーグル」。
【動画】フォード、2番・144ヤードのセカンド地点からイーグル【PGAツアー公式X】
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x.com続く3番(パー5)。今度はグリーン周りの残り30〜35ヤードから、絶妙なアプローチでチップイン「イーグル」!
【動画】フォード、3番残り約30ヤードからチップインイーグル【PGAツアー公式X】
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x.comPGAナショナル・チャンピオンコースにおいて、「2連続イーグル」が記録されたのは過去20年間で初の快挙である。
だが、これだけでは終わらない。続く4番ホールでも、今度はバンカーからのリカバリーショットを見事に直接沈めてチップイン。 なんと、2番から4番にかけて、「3ホール連続でグリーン外から直接カップインさせる」という、離れ業をやってのけたのだ。
【動画】フォード、4番は3打目がバンカーから出ず、続く4打目がチップインパー【PGAツアー公式X】
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x.com終わってみれば1オーバーの「72」(68位タイ)。あれだけの地獄を見ながら、見事に予選通過圏内に踏みとどまったのである。
アマチュア必見! 絶望から蘇る「思考の転換」
なぜ、彼は致命的な「+4」を叩いた直後に、これほどのバウンスバックを見せることができたのか。ラウンド後、フォードは17番ホールを終えた直後の自身の“脳内”を明かしてくれた。
「17番で『+4』を叩いたのは確かに悲しいし、バカげていた。でも、僕はすぐにこう考えたんだ。『このトーナメントで本気で勝ちたいのなら、1ホールで4打落としたくらいで致命傷になるわけじゃない』と」
多くのアマチュアゴルファーは、大叩きをしたホールを引きずり、「今日はもうダメだ」とラウンド全体を投げてしまいがちだ。しかしフォードは違った。
「トップでフィニッシュするためには、ただ『1ホールのミスを引きずらない』以上の素晴らしいプレーが必要になる。もし自分のゲームが勝つに値するレベルにあるなら、クアドラプルボギーを叩いた後でも、残りを完璧にプレーすれば上位でフィニッシュできるはずだ。そう切り替えたんだ」
起きてしまったミス(過去)を嘆くのではなく、「自分の本来の実力なら取り返せるはずだ」という強烈な自己肯定感で未来を上書きする。この強靭なポジティブシンキングこそが、奇跡の「3連続直接カップイン」を呼び込んだ最大の要因だ。
大叩きをした時こそ、フォードのこの言葉を思い出してほしい。「1ホールのミスで、あなたのゴルフが死ぬわけではない」のだと。


