シンガポールで開催中の「HSBC女子世界選手権」2日目。通算9アンダーで単独首位をキープしたのは、アメリカの25歳、オーストン・キムだ。彼女の圧倒的なパフォーマンスは、スコアカードだけでなくスタッツを見れば一目瞭然である。この2日間の平均飛距離281.5ヤード、奪ったバーディ数12個、そしてパット数は最少の48。飛んで、乗せて、確実に入れる。いずれの指標でもフィールドトップの数字を叩き出し、並み居るトッププロたちを抑えてリーダーボードの頂点に君臨している。
画像: 2日間首位をキープし、週末に挑むオーストン・キム(PHOTO/Getty Images)

2日間首位をキープし、週末に挑むオーストン・キム(PHOTO/Getty Images)

酷暑を乗り切る「1000キロカロリー」の掟

高温多湿で、体力が容赦なく削られるシンガポールの過酷な気候。この環境下で最高のパフォーマンスを維持するために、キムは独自の「掟」を自らに課している。それは、ラウンド中の徹底したエネルギー管理だ。

「水分やナトリウムをたくさん摂り、電解質レベルを保つのはもちろんですが、今年はラウンド中に最低でも700〜800キロカロリーを摂取するようにしています。そして今週は、コースにいる間は最低でも1000キロカロリーを摂るようにしています」

今年からベースラインとして700〜800キロカロリーの摂取を徹底している彼女だが、今週の過酷な環境下では、意図的にその基準をさらに引き上げているのだ。暑さで食欲が落ちる中でも、車のように「燃料」を常に満タンにしておくことで、終盤までバテない強靭な肉体と集中力をキープしている。

「4パット」を引きずらない究極のマインドセット

しかし、彼女の本当の恐ろしさは肉体ではなく、その「強靭なメンタル」かもしれない。

2日目の16番ホール。約6.4メートル(21フィート)のバーディパットから、彼女はなんと「4パット」を喫し、痛恨のダブルボギーを叩いてしまった。首位争いの中でのこのミスは、普通の選手なら完全に心が折れ、その後のホールを引きずってもおかしくない悪夢である。しかし、彼女の反応は驚くほどあっさりしたものだった。

【動画】キムの2日目ハイライト。あの距離から4パット!? 9:37~【LPGA公式YouTube】

画像1: Auston Kim kept her place on top after the second round in Singapore www.youtube.com

Auston Kim kept her place on top after the second round in Singapore

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「あまり気にしないようにしています。それがゴルフですから。運が悪かっただけ。人生そんなものです」

この達観したポジティブな姿勢の裏には、昨年から師事しているメンタルコーチ、リック・セッシングハウス(ジュニア時代からコリン・モリカワを指導)との取り組みがある。

「結果は自分のやっていることの副産物に過ぎない」と語る彼女は、未来(スコアや優勝)を心配しすぎる自身の癖を自覚し、徹底的に「目の前の一打」にフォーカスする訓練を積んできた。

「今、この瞬間のすべてを楽しもうとしています。ゴルフをして競争しているこの瞬間が、最も『自分が生きている』と実感できる時だから」

週末への期待。初優勝は目前か

第1ラウンド終了時を含めなければ、LPGAツアーでラウンド終了時に単独首位に立つのは、彼女のキャリアにおいてこれが初めてのことだという。

「4パット」すら笑い飛ばす究極のマインドセットと、過酷な環境を計算し尽くしたエネルギー管理。心・技・体が完璧に噛み合ったオーストン・キムが、週末もこの「ブレない強さ」を維持できれば、悲願のツアー初優勝は決して遠い夢ではない。

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