孤軍奮闘の金谷拓実。データが示す「アイアンとパットの覚醒」

日本勢で唯一予選突破を果たした金谷拓実(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ、撮影/岩本芳弘)
今大会、日本からは金谷のほか、平田憲聖、中島啓太の3人が出場していたが、平田は初日「75」、2日目「72」で無念の予選落ち。中島は棄権と、日本勢にとって苦しい展開となっていた。
その中で、ただ一人決勝ラウンドへ駒を進めた金谷のバウンスバックは鮮烈だった。初日は「73(2オーバー)」と出遅れ。スタッツを見ると、アイアンショット(SG: Approach to Green -2.314/114位)とパッティング(SG: Putting -1.195/95位)が明確に足を引っ張っていた。
しかし2日目、この2つのスタッツが劇的なV字回復を見せる。アイアンショットは「+1.237(29位)」へとキレを取り戻し、パッティングに至っては「+3.162(6位)」と、面白いように決まり始めたのだ。沈めたパットの総距離も、初日の約55フィートから94フィートへと大幅に増加。「66(5アンダー)」というビッグスコアは、グリーンを狙うショットの精度と、グリーン上での研ぎ澄まされた集中力が完璧に噛み合った結果だった。
「予選通過が目標なら、俺は終わりだ」(ブルックス・ケプカ)

ケプカは金谷と同じ「66」でラウンド。米メディアによるとボールを変更したという情報も(PHOTO/Getty Images)
一方、初日「74(3オーバー)」と絶望的な位置にいたケプカも、2日目に「66(5アンダー)」をマークしてあっさりと予選を通過してみせた。
面白いのは、ケプカ自身が「今日は昨日よりショットがずっと悪かった。ドライバーもアイアンもダメだった」と語っている点だ。実際にティーショットの貢献度を示す「SG: Off The Tee」を見ると、初日の「+0.672(40位)」から、2日目は「-0.169(67位)」へとマイナスに転落している。不調なショットを救ったのは、金谷と同じく「パッティング」だった。この日の「SG: Putting」は驚異の「+3.935(フィールド2位)」。パットの総距離はなんと「131フィート(約40メートル)」に達した。
たった一夜でのパット激変。ラウンド後の会見でその理由を問われると、彼は「15分の対話と30分の練習」について明かした。
「昨日のラウンド後、パッティンググリーンに走ってビデオを撮って、チームと話し合ったんだ。問題はセットアップ時の『手の位置』だった。少しごまかして、手を後ろに置きすぎていたんだ。それを前(ハンドファースト気味)に戻しただけで、ラインがはっきりと見えるようになり、視覚的に正しいラインへ打ち出せるようになった」
肉眼では気づきにくいわずかなズレを映像で即座に特定し、翌日には結果を出す。これぞ、世界トッププロの修正力である。記者から「カットライン外からスタートして予選通過を果たしたのは、小さな勝利と言えるか?」と問われると、メジャーハンターは鼻で笑ってこう言い放った。
「いや。もし俺が予選通過のためにツアーに出ているなら、俺はもう終わり(done)だよ」
見事な修正力で決勝ラウンドへ駒を進めた金谷拓実とブルックス・ケプカ。劇的なバウンスバックを見せた二人が、予測不能の風と水が絡み合う週末のPGAナショナルでどんなドラマを見せてくれるのか。上位進出への期待は高まるばかりだ。
【動画・約8分】66でラウンドしたケプカのコグニザントクラシック2日目ハイライト【PGAツアー公式YouTube】
Brooks Koepka's surges with 66 to make the cut | Round 2 | The Cognizant Classic | 2026
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